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行動パターンから属性や心理状況を推測 — 進化する位置情報活用のマーケティング

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データドリブンのマーケティングが標榜され、顧客理解の重要性が浸透する中、スマホを介してオフラインの行動を捕捉できる位置情報の活用に注目が集まっている。

スマホの浸透で可能になるオフラインの行動の把握

Cinarra Systems(シナラ・システムズ)
代表取締役 アレックス・ジニン氏

データを活用した顧客理解が進む中、「位置情報」の活用に広がりが見えてきた。通信キャリアのデータを活用した広告配信プラットフォームを提供するCinarra Systems(シナラ・システムズ)の代表取締役、アレックス・ジニン (Alex Zinin)氏に位置情報をめぐる、マーケティングの潮流について話を聞いた。

—起業の経緯は。

会社の設立は2012年4月。その後、2015年7月にソフトバンクを始めとする企業より約25億円の投資を受け、2016年6月から本格的にサービスを開始した。日本支社設立は2015年5月。現在、世界4カ国に拠点を置き、うち日本のみで営業活動を行っている。

これまでのモバイル広告は、従来のデスクトップに最適化された広告のフォーマット、スタイルが踏襲され、真にモバイルにおいて効果がある形に進化ができていなかった。私はモバイルキャリアとモバイル広告をつなぐことで新しい可能性を拓きたいと考えている。

—マーケティングにおける位置情報の活用と聞くと、販促活用のイメージが強い。

これまでの位置情報は特定のエリアに入ったユーザーにプッシュ型で情報を配信する、ジオフェンシング技術の活用が中心だったと思う。しかし、私たちが提供する広告配信プラットフォーム「Cinarra(シナラ)DSP」は、ユーザーの現在、そして過去の位置情報を活用した、行動パターンを基にターゲットを規定して、広告を配信できるシステムで、ブランドの広告主がターゲットをより深く理解するためにも活用が可能なものだ。

これまでのオンライン広告のターゲティングは、オンライン上のユーザーの行動分析が基盤になっていた。しかし位置情報は、オフラインの行動も捕捉できる点に特徴があり、ユーザーのリアルライフも含めた理解がより効果的な広告活動につながっていくと考えている。

空港を頻繁に利用する人、フィットネスクラブに行く人、カフェに行く人など行動別にセグメントをしていくと、その特性やブランドとの親和性も見えてくる。マーケターは自身が抱く、ターゲット層の仮説についての検証も広告を通じて行うことができるようになる。

これまで、オンライン広告はリターゲティングによるアプローチが主流だったため、ターゲットの母数が限られ、またコンバージョンに重きが置かれていた。オンライン広告でも潜在層にアプローチできる手段として、位置情報の可能性を感じている。また当社は、提携する通信キャリアのデータを活用できるため、ブランドの広告主から見てもリーチの面で満足できるボリュームを担保できると考えている。

—個人情報の保護についてはどのような対策をしているのか。

当社は、個人情報保護の技術に独自性がある。各ユーザーの位置情報データは保存せず、データを取得した際に、行動別のセグメントへと転換して保存する技術を持っている。一人ひとりのユーザーがどこで、どのような行動をしたのか、というデータは当社では保持していない。匿名化されたデータも通信キャリアの外に出さない点に独自の仕組みがある。

—日本市場でのビジネス展開は。

現在、7社ほどの広告会社とパートナーシップの話をしている。まずはパートナーとともに、日本市場でのサービス認知を進めていきたい。

また現在はソフトバンクをネットワークパートナーとして事業推進しているものの、他キャリアとのビジネス連携についても積極的に協議を進めていく。