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多様性が生み出す、新たなビジネスチャンス — DACホールディングス 梨本美里さん

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【前回記事】「それぞれの価値を最大限に生かせる職場をつくりたい」はこちら

クリエイティブを一生の仕事にしたいと考える人に、今後のキャリアを支援するプロジェクト「しゅふクリ・ママクリ」。今回は、平成27年度「東京都女性活躍推進大賞」を受賞したDACホールディングスに訪問。企業として「女性活躍」を推進させる意味を、執行役員で旅マルシェ事業部の統括責任者である梨本美里さんに聞いた。

 

経営戦略としての「女性活躍」

—ダイバーシティ推進プロジェクトを始められた経緯を教えてください。

もともと代表の石川(和則氏)が、1980年代から女性の社会進出に必要性を感じていたんです。100年継続する企業をつくるために、多様な人材を育成・採用する必要があり、その一環として女性に継続して活躍してほしいというビジョンがありました。その思いから2011年に発足したのが、女性活躍推進のためのダイバーシティ推進プロジェクトです。

DACホールディングス 梨本美里さん

その頃は、全社員の約半数が女性で、彼女らに対してアンケートを実施したところ、「結婚し出産しても復帰する」と答えたのが28%だけだったんです。要するに、残りの72%の女性は復職に懸念があるということですよね。そこで、女性社員の継続的な雇用のためには、どうしたらよいのかを考えました。まず課題としてあがってきたのは、社内にロールモデルがいないということでした。プロジェクトが始まる以前から、ワーキングウーマン制度という働く女性を応援する制度は存在していたのですが、うまく活用している人がいなかったのです。それに気づいてからは、制度づくりではなく風土づくりを会社として重視しています。
現在では、ダイバーシティ推進プロジェクトのメンバーをはじめ、男女の幹部社員や若手社員など、それぞれのレイヤーに対して意識改革のための研修を行っています。また、プロジェクトの一環として、女性活躍が進んでおり働き方の多様性を受容する意識の高い北欧の企業視察を、2012~2014年にかけて3回実施しました。

—北欧視察ですか! そこではどのような気づきがありましたか。

女性活躍推進は、「経営戦略」の一環であることを再認識しました。あくまでも会社全体の生産性を高めることが目的なんです。そのためのダイバーシティ戦略として、女性を含めた「誰もが」働きやすい環境を整える必要があるということです。例えば、会社全体として退社時間の遵守を徹底することで、全社員のプライベートが充実してモチベーションが上がります。それと同時に、子どものいる女性社員も、無理なく仕事と子育てを両立することが可能になります。「女性専用」の制度によって特別対応されたくないという気持ちを配慮した制度づくりが大切なのだと、改めて考えさせられました。北欧は自立した精神を持った女性が多いこともこの戦略を支えていると思います。
さらには、高齢化社会が進んでいる日本社会にとっても、当社にとっても、女性の雇用環境の改善が必要不可欠だと感じました。北欧諸国でも、人手不足により女性の雇用が進んだそうです。近い将来、同じ事態に直面するであろう日本でも、今から女性雇用への投資を進めていくべきだと思います。

—なるほど。広告業界が女性活躍推進に取り組むメリットはどこにあるとお考えですか。

私は、新たなビジネスの機会が生まれると思っています。まず購買において、女性は決定権を持っていることが多いので、女性のインサイトを掴むことは、広告会社にとって非常に重要です。ただしそれだけではなく、先にも述べたように女性が働き続けやすい環境が整った企業は、ほかの人にとっても働きやすいと思います。多様な人材が活躍できる企業では、多様なアイデアが生まれ、そこからより魅力的な商品やサービスの開発ができるのではないでしょうか。

ライフイベントは、個人と事業両方を強くする

—梨本さんの率いる、旅マルシェ事業部について教えてください。

旅マルシェ事業部の皆さん

旅マルシェ事業部では、『旅モニ』というサイトを運営しています。『旅モニ』は、試食や試着のように旅も気軽に試してほしいという思いから、無料で旅する機会をご提供しています。宿泊施設やレジャー施設のモニターに応募したり、プレゼントに応募することが可能です。当社は総合広告会社なので、自らサービスを持って事業運営するということは新しい試みです。各々が模索しながら業務に取り組んでいます。2012年に新規事業として2人体制でスタートしたのですが、現在は7人でサービス運営をしております。メンバー7人中、6人が女性。6人のうち、育休中が1人、時短勤務中が1人、妊娠中が1人とワーママ率の高いチーム構成です。理想は、時間で働かず、メンバーひとりひとりが実行力を携えた組織編成で、各々の強みを相互的に生かした事業拡張につなげるというところですね。

—リーダーとして、このチームの強みはどこにあるとお考えですか。

まだまだこれから事業を強くしないといけないフェーズなのですが、チームメンバーは、それぞれに強い個性と、旅マルシェに対する思いがあって、それを純粋に伸ばそうと日々奮闘しています。また、アイデアからサービスをつくり事業拡張させているため、0から1をつくる大変さを「面白い!」と思い、やりがいと捉えているメンバーが多いのも特徴的です。新規事業で決まったルールが全くないので、ルールづくりも事業拡大もすべては自分たち次第。だからこそ、メンバーそれぞれが何とかしようという心構えと、何が起きてもすべて自分ゴトでとして捉える発想や意識が強いチームメンバーが多いです。

インタビューの続きは 『しゅふクリ・ママクリ』 へ

梨本 美里(なしもと・みさと)
DACホールディングス 旅マルシェ事業部 執行役員部長

DACホールディングスに新卒で入社。観光営業部セクションにて箱根エリアを担当、営業部最優秀新人賞を獲得、入社当月から3年間連続達成記録を樹立。トップセールスを継続しつつ、新規事業部として小田急ロマンスカー車内誌を立ち上げ、企画・編集・営業の統括責任者に。のちに新規事業開発室を立ち上げ、2012年に『旅モニ』サービスをローンチし現在に至る。業務の傍ら、ダイバーシティ推進プロジェクトメンバーとして北欧視察へ。「女性活用=成長戦略」をテーマに、女性6人、男性1人のチーム構成で日々奮闘中。