顧客行動が複層化する中、これまで対面営業を核としてきた証券会社も、デジタルチャネルを活用したマーケティング・コミュニケーションへの対応が求められている。
業界最大手・野村證券が取り組む、顧客チャネルのデジタルシフトに留まらない、新たなビジネスの創出につながるデジタル活用とは? アイ・エム・ジェイ 上席執行役員COOの加藤圭介氏が聞いた。
野村證券
マーケティング部次長 兼 宣伝課長高橋真也 氏(左)
アイ・エム・ジェイ
上席執行役員COO 加藤圭介 氏(右)
Web上の顧客行動の変化をビジネスチャンスにつなげる
高橋:私の担当業務は大きく4つ、①対面営業をサポートするツールの企画制作、②マス広告の企画制作、③Webやメールを活用したデジタルプロモーション、④お客さまが利用する取引サイトの運営です。
元々はWeb 領域のみを管轄していましたが、顧客接点の複雑化に合わせて、店舗・マス広告へと担当領域を広げ、あらゆる顧客チャネルを一括して管理する体制を築いてきました。当社のデジタル対応は、まだ道半ばで、マーケティングの基本である「お客さまが真に求めていることを把握・理解した上で、適切な情報・コンテンツをお届けする」というレベルには至っていません。目指しているのは、お客さま一人ひとりに合わせたワントゥワンのマーケティング・コミュニケーションですが、まずは属性情報に加え、サイト上での行動パターン、当社に対するロイヤリティといったさまざまな要素を組み合わせてお客さまを細かくセグメントし、コンテンツを出し分けることに力を入れています。メールマーケティングではすでに実行しており、これをWebサイト、コールセンター、店頭とあらゆるチャネルに波及させようと、取り組みを加速させています。
加藤:パーソナライゼーションは、デジタルマーケティングの最重要テーマの一つです。そこで課題となるのは、デジタル/リアルにまたがる複数チャネルの統合です。野村證券さんでは、どのように進めていこうと考えていますか?
高橋:デジタル上におけるお客さまの行動変化を捉え、対面営業チームに情報共有することで、ビジネスチャンスへとつなげていければと考えています。マーケティング部で取得したデータを、翌日には店頭に共有する仕組みを構築しました。
加藤:特にリアル店舗を保有している企業において、デジタルチャネルで取得したデータをリアルチャネルで活かすという取り組みが模索されつつあります。しかし、データを重視し、ビジネスに活かそうとする組織風土づくりには、課題を感じていらっしゃる企業も少なくありません。特に現場オペレーションに負荷がかかるものだと敬遠されることもあると思いますが、野村證券さんはいかがですか?
高橋:優秀な営業担当者は、お客さまとの会話の中からビジネスチャンスを察知することに長けていますから、データの必要性を強く感じていない人も確かにいると思います。しかし、すべての担当者がそのような高いスキルを持っているわけではありません。データを提供し、営業活動にどのように活かせるかを合わせてレクチャーすることで、営業部門全体をレベルアップさせていきたいと考えています。
編集協力:アイ・エム・ジェイ
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