グッドデザイン大賞は、貧困問題を解決するお寺の活動「おてらおやつクラブ」に

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日本デザイン振興会は、2018年度 グッドデザイン賞の「大賞」、「金賞」、「グッドフォーカス賞」の受賞結果を10月31日に発表した。

本年度の「グッドデザイン大賞」の大賞候補であるファイナリストの中から、本年度同賞審査委員とグッドデザイン賞受賞者、受賞展「GOOD DESIGN EXHIBITION 2018」の来場者による投票を実施。その結果、グッドデザイン大賞(内閣総理大臣賞)に選ばれたのは、貧困問題解決に向けてのお寺の活動「おてらおやつクラブ」(特定非営利活動法人おてらおやつクラブ)である。

この活動は、5年前に大阪で起きた親子の餓死事件をきっかけに始まったという。寺にお供えされるさまざまな「おそなえ」を、仏さまからの「おさがり」としてちょうだいし、子どもをサポートする支援団体の協力の下、経済的に困難な状況にある家庭へ「おすそわけ」する活動だ。活動趣旨に賛同する全国の寺と、子どもやひとり親家庭などを支援する各地域の団体をつなげ、お菓子や果物、食品や日用品を届けている。現在、全国800以上の寺院が参加しているという。

同賞の審査では従来、寺院が地域社会で行ってきた営みを現代的な仕組みとしてデザインし直した優れた取り組みであること。また活動の意義と共に、既存の組織・人・もの・習慣をつなぎ直すだけで機能する仕組みの美しさが高く評価された。

おてらおやつクラブ代表理事で、奈良県安養寺の僧侶である松島靖朗氏は、大賞の受賞を受けて、次のように話した。

「この活動を始めてからいろんな声をちょうだいするようになった。いまでも忘れられないのが、「お坊さん、たまにはええことすんねんな」と言われたこと。褒めていただいたのですが、こんな声が出るほどに、お寺という場所、僧侶への期待があまりないことを感じ、そのことを僕たちは反省しなくてはいけないと思いました。

私たちの活動は決して今の時代に合わせて新しい知識、新しいものを用意して活動するものではありません。コストもかかりません。全国の寺、地域の人々が信仰を持ってやってきた習慣を多くの人たちの力を合わせてつなげる、お寺の「ある」と社会の「ない」を繋げる活動です。日本の子供の貧困7人に1人、280万人が貧困状態にあるという現実が遠い国の話ではありません。この日本の話です。今日をきっかけに多くの人が貧困問題に関心を持ち、当事者として動き始めるきっかけになればと思います。子供たちの笑顔を増やすためにこれからも活動を続けていきます」。

おてらおやつクラブ代表理事 松島靖朗氏

本年度審査委員長を務めた柴田文江氏は、審査を次のように振り返った。
「グッドデザイン賞はいい取り組みを見つけ出して、それをみなさんに伝えて、それを次のデザインにつなげてもらう、新しいデザインをファシリテートしていく役割を持っています。そういう意味でも今年の大賞は小さなものを大きく変えていくというデザインの力を改めて教えてくれて、デザインが大変な問題に微力ながら解決していくことができるという勇気をもらえたような気がしました。

今年の審査会で掲げたキーワードは「美しさ」。最終的に見るとファイナリストはいろいろな取り組みの背景になるコンセプトの一貫性の美しさ、志の美しさ、プロセスの美しさなど、いろいろなところに美しさを見ることができて、新しい時代の色や形だけではない美しさを私自身も知ることができました」。

同賞副審査委員長 齋藤精一氏は「おてらおやつクラブは、まさにことのデザイン。もののデザインだけではなく、仕組み、取り組み、伝え方や実施の状況など全てにおいて隅々までしっかりとデザインしてあげることが、「美しさ」にたどり着くのではないかと思いました。また、この活動についてはまだ知らない人もまだ多く、僕らもこんな方法があったのか、という驚きがありました。2018年からあれは変わったよね、という筆を落とした活動と言えるのが今回の大賞であり、ファイナリストの作品も2018年だからこそこうなった、というものが多かったように思います」と話した。

左より、本年度グッドデザイン賞副審査委員長 齋藤精一氏、審査委員長 柴田文江氏、松島氏、日本デザイン振興会理事長 大井篤氏。

当日はグッドデザイン大賞ほか、グッドデザイン金賞19件、本年度より設けられた新たなビジネスモデルや新産業の創出、イノベーションの促進に寄与する優れたデザインに贈られるグッドフォーカス賞12件が発表された。

また、受賞作品を見ることができる「2018年度グッドデザイン賞受賞展」は、11月4日まで東京ミッドタウン各所で開催されている。

※ファイナリストとなったグッドデザイン賞金賞受賞作品

・エンタテインメントロボット 「aibo」 ソニー(東京都)

 

・Gogoro Energy and Transportation Platform 「Gogoro Energy Network (GoStation/ Gogoro SmartBatteries/ Gogoro Control Center) + Gogoro Smartscooter (Gogoro 1 & 2 Series/ Gogoro App/ iQ System) 」 Gogoro Inc.(Taiwan)

 

・ポータブルX線撮影装置 「FUJIFILM CALNEO Xair」 富士フイルム(東京都)

 

・宿泊施設 「hanare」  HAGI STUDIO(東京都)

 

・駅前広場と道路空間からなる景観 「丸の内駅前広場から行幸通りに繋がる景観」 東日本旅客鉄道(東京都)+東京都(東京都)

 

※ファイナリスト以外のグッドデザイン賞金賞受賞作品

・絵本 「1人称童話シリーズ」 久下裕二(東京都)+市川千恵(神奈川県)+鈴木久恵(東京都)

・ファスナー 「QuickFree®(クイックフリー)」 YKK(東京都)

・35ミリフルサイズデジタル一眼レフカメラ 「PENTAX K-1 アップグレードサービス」 リコー(東京都)

・4K有機ELテレビ 「ブラビア(R) A9Fシリーズ」 ソニー(東京都)+ソニービジュアルプロダクツ(東京都)

・乗用車 「ジムニー/ジムニーシエラ」 スズキ(静岡県)

・特急車両 「小田急電鉄 70000形特急車両 ロマンスカー GSE」 小田急電鉄(東京都)+岡部憲明アーキテクチャーネットワーク(東京都)+日本車輌製造(愛知県)

・プラネタリウム投映機 「コスモリープ Σ」 コニカミノルタ(東京都)

・戸建住宅 「淡路島の住宅」 SUEP.(東京都)

・堤防のリノベーション 「木津川遊歩空間「トコトコダンダン」」 岩瀬諒子設計事務所(東京都)+大阪府立江之子島文化芸術創造センター(大阪府)+東京製綱(東京都)+小岩金網(東京都)+太平洋プレコン工業大阪支店(大阪府)+大光電機(大阪府)+セントラルコンサルタント大阪支社(大阪府) +復建技術コンサルタント関西支店(大阪府)+トコトコダンダンの会(大阪府)

・津波避難訓練アプリ 「逃げトレ」 京都大学防災研究所矢守研究室(京都府)

・農業と食文化の地域内循環システム 「フードハブ・プロジェクト」 株式会社フードハブ・プロジェクト(徳島県)+神山町役場(徳島県)+神山つなぐ公社(徳島県)+モノサス(東京都)

・ミズベリング・プロジェクト 「ミズベリング・プロジェクト」 ミズベリング・プロジェクト事務局(東京都)

・国際芸術祭 「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレおよび大地の芸術祭の里の取り組み」 大地の芸術祭実行委員会(新潟県)+越後妻有里山協働機構(新潟県)

・Bamboo Bicycle 「Spedagi Rodacilik/ Minivelo, Gowesmulyo/ Joybike」 CV Piranti Works(Indonesia)

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