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エンタメ業界のマーケティングを変革する — Y’s

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誰もが知るアニメタイトルのクリエイティブを多数手がけて来たデザイン会社Y’s。エンタメ業界で培ったノウハウを生かし、最近は一般企業のブランディングにも力を入れている。

左)「銀河英雄伝説 DieNeueThese」ポスター

中)「SAINTSEIYA:Knights of the Zodiac」ロゴ、右)「モンスターストライクTHE MOVIE ソラノカナタ」ポスター

「けものフレンズ2」ロゴ

エンタメ領域を中心に急成長するデザイン会社

Y’sは著名なアニメタイトルのロゴや広告宣伝物、パッケージ、ポスター、グッズなどを制作するデザイン会社だ。2011年に3名で設立し、7年間で社員数が70名に増えるほどの急成長を続けている。案件の約8割がエンタメ関連で、MVや中小企業を中心とした一般企業のブランディングも手がける。

「作品名と制作物の種類まで大枠が決まっていて、その先の全体のデザインコンセプトから任せていただくケースが多いです」とY’s取締役副社長の中館博貴さんは話す。アートディレクターとディレクターが案件統括を行い、現場でデザイナー、プログラマー、映像クリエイターらが形にしていく制作体制を取っている。

なお、Y’sにはこうした制作事業のほかにもう1つ事業がある。それがクライアント先に自社で育成したエンジニアを派遣する人材派遣事業だ。最近では、エンタメ領域とIT技術者派遣で培ってきたIT技術とブランディングノウハウを生かして一般企業のブランディングを手がけるケースが徐々に増えている。

低予算、短納期の業界に対応すべく制作体制を進化させてきた

クリエイティブディビジョンの皆さん。平均年齢は26歳と若い。

比較的狭いエンタメ業界の中で新興の同社が著名タイトルを次々に手がけ、急成長したのには理由がある。Y’s代表取締役社長の米田龍平さんは「エンタメ業界の仕事は予算規模が小さく、スピード感も求められます。数日で数十パターンの看板デザインを制作するような仕事もあります。

こうした状況にスピーディに対応できるよう、弊社ではアートディレクターが自らフロントに立ち、直接クライアントと話ができるように育ててきました。ほかにも、さまざまな仕組みで制作のスピードと効率を追求してきたんです」と話す。

その仕組みの1つが「ヒアリングシート」だ。「クライアントが誰に何を伝えたいのか、イラスト発注はあるか、監修ルールなど、相手に驚かれるくらい根掘り葉掘り聞いていきます。エンタメ業界は制作委員会方式が多いので、広告物にも複数の決裁者が関わってくることが多い。途中で違う意見が出て方向性が変わらないよう、最初にしっかり押さえておくことで無駄な提案を減らしています」(米田さん)。

こうしたプロジェクトマネジメントの結果、急な案件や同時発注案件にも対応できる体制が整っている。また、グラフィックの広告物が中心だったエンタメ業界で、Webや動画領域にいち早く対応したことも、仕事の増加につながったという。

社員を育てる制度としては、「職種別養成シート」がある。グラフィックデザイン、Web、動画の3つのクリエイティブチーム別に身につけるべき項目を、①解決力②話術力③人間力④教育力⑤技術力⑥知力の6つのカテゴリで詳細に記したものだ。これに沿って各クリエイターと密に面談を行い、能力を伸ばしている。社内教育を徹底することで、若い社員でもクライアントに対してロジカルに話ができるようになる。社員の平均年齢は26歳と若いが、こうした仕組みで成長のスピードを早めている。

 

次ページ 「エンタメのノウハウを生かし中小企業のブランディングも」へ続く