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ヘルスケア領域のコミュニケーションに特化 サドラー・ジャパンが考えるストーリーテリング

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医療・ヘルスケア市場の拡大はグローバルなトレンドとなっており、ウェアラブルや体内埋め込み型デバイスなどのテクノロジー領域も加わり有望な市場だ。昨年、社名を改称したサドラー・ジャパンは、世界最大の広告会社WPPグループの中でもヘルスケア領域に特化した専門広告会社サドラー・アンド・ヘネシーの日本法人だ。グローバルに広がるWPPネットワークと、高度な知識と専門性を武器に、主に難易度の高い医療用医薬品のコミュニケーションを得意としている。一般的な広告会社とは趣の異なる仕事の進め方とその魅力について話を聞いた。

写真左からサドラー・ジャパン クライアントサービスディレクターの登坂統彦氏、同社 代表取締役社長の花畑謙治氏、同社 クライアントグロースサービスマネジャーの笛木麻美氏、同社 チーフクリエイティブディレクターの金井隆宏氏。

規制が多いヘルスケア領域 専門広告会社の強みとは

サドラー・ジャパンは、ヘルスケア領域のマーケティングコミュニケーションに特化した専門広告会社だ。昨年5月に社名を「電通サドラー・アンド・ヘネシー」から現在の社名へと改称し、ヘルスケアに特化したエージェンシーの集合体であるWPP Health Practiceの一員としてサービスを開始した。

一般にはあまり知られていないヘルスケア領域におけるマーケティングコミュニケーションには高度な専門性を要する。代表取締役社長の花畑謙治氏は、「当社は主に医療用医薬品のマーケティングプロモーションを担当する“ヘルスケアエージェンシー”です。私たちの仕事は革新的な医薬品や最先端の医療技術などを迅速に、かつ的確にお伝えすること。そのため、多くの製薬会社から高い信頼を寄せていただいています」と話す。

「現在、日本は欧州などの先進国が10年前に経験した『医療費増大』という難題に直面していると言われています。加えて、後発医薬品またはバイオシミラーの普及拡大、薬価の引き下げ圧力強化、営業担当による医師への訪問のさらなる制限と情報提供活動に関する規制、地域医療の推進などといった課題も抱えている状況です」と花畑氏は続けた。

そのため、サドラー・ジャパンに期待される役割も年々変化しているのが現状。クライアントグロースサービスマネジャーの笛木麻美氏は「現在、医師との多くの接点を中心に、コマーシャルエクスペリエンスを提供する企業と、デジタルおよびアナリティクスソリューションの導入が進むグローバル企業の二極化が起こっています。またグローバル化の波、医師の科学的な情報交換ニーズの高まりによるメディカルアフェアーズへのシフト、医療技術評価(HTA)モデルに対応するため、医療経済およびアウトカムリサーチ(HEOR)などマーケットアクセス機能の強化が始まっています」と語った。

高まる期待に応え続けてきた同社。チーフクリエイティブディレクターの金井隆宏氏は、「私たちがお手伝いしている医療用医薬品は、医師から患者さんに処方されるもの。そのため、いかにその薬の有効性と安全性を医師に知ってもらうかがカギになります。当社はそれを実現するための戦略からクリエイティブ・エグゼキューションまでをワンストップで提供しています」と、同社の強みを語った。

実際、医療用医薬品の市場規模は巨大だ。一般的な市販薬と比べると、病院で処方される薬の市場は15倍もの規模を誇るという。

また、新製品が発売されるまでの仕事の流れを金井氏は次のように説明する。「薬が承認される1年半ぐらい前から準備を始めます。ブランディング、トレーニング教材、承認時の様々な資材の作成、デジタル関連のコンテンツ、講演会・学会ブースなどを立体的に進めていきます」。

そして新製品のプロモーション時にクライアントと最初に行うのが“キービジュアル”の選定。新製品を象徴するイメージとして大切な役割を果たすのだという。「ロジカルな情報を積み上げながら、コミュニケーションの切り口となるシンボルを採用します」と金井氏は話す。

類稀な新薬の価値を世に伝えるために

ローンチまでの時間が他ジャンルの製品に比べて大幅に長いこともさることながら、ヘルスケアコミュニケーションではクライアントとの関係性にも大きな特徴がある。それについてクライアントサービスディレクターの登坂統彦氏は次のように述べる。

「サイエンスの産物である医薬品は、必ず生み出されるに至ったストーリーが存在します。大事なのはそうしたストーリーを多くの人にいかに効果的に伝えるか。そういった意味で私たちの役割は、クライアントに寄り添う優れたストーリーテラーであることだと考えています」。

花畑氏も「革新的な医薬品の開発・製造には、有効性や安全性など複数の段階を経る必要があり、合わせて莫大な費用も必要になるそうです。こうした厳しい状況の中でやっと生まれるのが新薬。この類稀なる価値を世の中に知ってもらう。これは私たちが担う、非常に大事な役目だと感じています」。

こうしたコミュニケーションを実現するためには、スタッフィングも一般的な広告会社と大きく異なる。

「私たちのユニークさは、医師に納得してもらうために必要なクリエイティビティと医・薬学知識が求められる点です。そのため、社内のクリエイティブチームには薬剤師の資格を持つ者も多くいます。また、クリエイティブの入り口をアートディレクターなどがつくったあとに、メディカルライターがデータからストーリーを組み立て、アカデミックな肉付けをしていくこともあります」と金井氏。規制も多い、ヘルスケア文脈のコミュニケーションの特異性を語る。

サドラーが求める人材は一芸に秀でた人たちサドラー・ジャパンが求める人物像。それは「何か尖ったものを持っている人」と花畑氏は言う。「コミュニケーション能力が高いとか、文献を読み解く力があるなどの一芸に秀でた人間が集まれば、そこは良い集団になります。ヘルスケアに関する領域は今後、様々なライバルが現れるはず。何かに特化し、情熱を持った人間なら時代の変化にも対応できると考えます」。

社員が成長するための環境づくりを惜しまないという花畑氏。働きやすさと学びを両立するため、社内で英会話のレッスンを開催したり、ヨガや朝食会なども定期的に行っているという。

その思いは女性の働きやすさにもつながっている。現在、社員の7割を女性が占め、産休・育休後の復職率もほぼ100%を誇っている。

今後は、ヘルスケアに関するあらゆる領域をサービス対象にしたいと語る花畑氏。「世界中の病気で苦しむ人々のために、ペイシェントセントリック(患者の視点に立った医療)の観点から、患者さんを中心としそれぞれのステークホルダーをつなげ、ひとりでも多くの人に関心をもってもらう、共感コミュニケーションに取り組みたい。これは広告界に関わるものとしての大事な社会的責任だと思っています」。



お問い合わせ
サドラー・ジャパン株式会社
〒104-8427
東京都中央区築地1-12-6 築地えとビル
TEL:03-3546-0463
E-mail:contact.jp@sudler.com
URL:https://www.sudler.co.jp/