チームラボが全面リニューアル
7月に公開された大阪芸術大学のWebサイトは、大学のキャンパスをドローンが俯瞰で捉えた映像から始まる。
さらに、その下には同大学15学科の特徴を直感的に伝える動画チャンネルが並び、クリックひとつで各学科の動画を渡り歩くことができる。演劇のセリフが聞こえてきたり、屋外でデッサンをしている姿が浮かんだり、楽器を演奏しているグループがいたり、プロとして活躍する卒業生の楽曲がBGMに流れたり…背景も次々と変わり、躍動感に溢れる映像が展開される。
大阪芸術大学では昨年アートサイエンス学科を設立し、今年春には妹島和世さんによる新校舎を竣工。こうした新しい取り組みの中で、大学の魅力をよりよく伝える上で重要なメディアであるWebサイトのリニューアルに着手した。同大学への進学を志す若い人たちに見てもらうのを前提に、スマートフォンをベースとして快適に閲覧でき、かつ芸術系の大学らしいアートやデザインを見せられること。
さらにトーン&マナーは「わかりやすく、細かく美しく」を基本としながらも、関西らしい明るさやアクティビティも表現してほしいと考え、アートサイエンス学科の猪子寿之客員教授率いるチームラボに制作を依頼した。
その要望を受けたチームラボは学生たちがスマートフォンから見ることを前提に、トップページのテキストをほぼ取り除いた。そして「ザッピングさながら、動画がサクサク動く」ユーザビリティと、大学の進化と共にコンテンツも成長できる拡張性を備えたプラットフォームを提案。YouTubeのような動画サイトにリンクで飛ばすのではなく、大学のサイト内に動画を入れ込んでいけるシステムを構築した。
「大阪芸術大学は、コンテンツの宝庫。思いつくまま興味を引いた学科にチャンネルを変えて、『ちょっと違うな』と思えば別の学科に飛び、『お!こんなのもあるんだ』と気づいてもらうことが、大阪芸術大学の多様性を伝えることにつながると考えました」(チームラボ)。
苦労したのは、15もある学科の違いをテキストに頼らず映像のみで表現すること。例えば学生がコンピュータに向かう風景などは、画像にすると内容の違いがわからなくなるため、ビハインドシーンにもこだわった。また予定外の細かい撮影を追加し、編集にも時間をかけている。今年度末までには、下層のコンテンツも整理していく考えだ。
本サイトはチームラボの技術を活かし、動画の入れ込みやテキスト変更など、カスタマイズしやすいCMSを導入。インターフェイスも実にシンプルだ。「大学職員の方々にも更新していただきたいし、近い将来、制作に携われる学生が育てば、彼らに任せても面白いかもしれない」(チームラボ)と、公開後のアクティブな運用にも意識を向けている。
チームラボ
最新のテクノロジーを活用したシステムやデジタルコンテンツの開発を行うチームラボは、アーティスト、プログラマー、エンジニア、CGアニメーター、数学者、建築家など、デジタル社会の様々な分野のスペシャリストから構成されているウルトラテクノロジスト集団。アート、サイエンス、テクノロジー、クリエイティビティの境界を越えて、集団的創造をコンセプトに活動している。
編集協力/大阪芸術大学
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