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サイネージが売り場の課題を解決へ

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ことし4月から実施されている「インストア動画アワード」の受賞作品が決定した。今後、受賞作品は実際に店頭の売り場で配信される予定だ。ここでは、その配信される予定の各サイネージについて、紹介する。

CookpadTV cookpad storeTV

 

買い物客の主要動線で違和感なく広告を訴求

「cookpad storeTV」はスーパーマーケットなど流通企業と連携し、青果、水産、畜産の生鮮食品3部門の売り場に設置されたサイネージ。

2500以上の料理動画を配信し、販促に役立てることができる。再生される料理動画の合間に広告動画枠を設け、マネタイズを行っている。現在では、全国5000店舗に設置されており、店舗での稼働率も9割を超えているという。

【事例】

事例生鮮食品とかけ合わせた広告動画で売り上げアップ

多くの買い物客は、最初に生鮮食品3部門に立ち寄り、新鮮な食材を手に取り、その場でレシピを決める。その後、必要な調味料や飲料を買い足すため、ほかの売り場へ移る傾向がある。

「動線の起点となる生鮮売り場で、コンテンツを訴求できることが『cookpad storeTV』の強み」と、CookpadTV(東京・品川)のストア事業部部長・本澤友行氏は話す。

「cookpad storeTV」で配信する広告動画は、生鮮売り場になじむよう、コンテンツを自社で制作しており、買い物客に違和感のない訴求をしている。

「たとえば、水産売り場でヨーグルトのプロモーション動画を唐突に流すのではなく、『ヨーグルトとみそを合わせ、魚を漬け込むと味に深みが出る』というレシピで訴求します。すると、水産売り場でも違和感なくヨーグルトの価値をアピールできるだけでなく、一緒に陳列されるという流れができます」(本澤氏)

実際に、エバラ食品工業が「黄金の味(甘口・中辛・辛口)」で配信した際には、青果、水産、畜産それぞれの売り場に商品が並び、昨年比で売上個数が364%に、売上金額が同比301%になった店舗もあるという。

「売り上げだけではなく、レシピ訴求によって通常配架されにくい水産売り場にも『黄金の味』が置かれるという成功事例でもある」と本澤氏は話す。

「買い物客」と「販売の現場」が抱える課題を解決

「cookpad storeTV」をスタートした背景には、こんな買い物客の課題がある。

「店舗の中でスマホを取り出し、レシピを決めるお客さまは多くいらっしゃいますが、子どもの手を握ったり、カートを押したり、野菜を手に取ったりしながら、レシピを探すことは困難です。この課題を解決できないかという視点から誕生したサービスが『cookpad storeTV 』です。その日に作る料理のインスピレーションを得ていただき、お買い物を楽しんでいただくことを目指しています」(本澤氏)

また、導入を進めている流通企業へは、現場の抱える課題を解決するサービスにもなっているという。

「私も小売業出身ですが、販売の現場では、スタッフは発注や商品の運搬、棚への補充、売価の修正、棚づくりなど目まぐるしく動きます。また、本部や経営の立場では、チェーンストアとしての一貫性を保ちながら、店舗や地域ごとの特色を出すという、永遠の課題もあります。まさに振り子のようなバランス感覚が求められるのです。このような状況で、『現場に手間のかかる販促物』『費用対効果の乏しいサイネージ』など、KPI(主要業績評価指標)につながらない販促物は意味がありません」(本澤氏)

「cookpad storeTV」は、ネットワークにつながり、動画は自動で追加更新されるため、現場の手間がかからない上、機材設置の費用などの必要がないという特徴がある。

また、コンテンツも「クックパッド」に投稿されている人気レシピなどを活用して動画化しているため、常にハズレのないコンテンツが提供可能となっている。

店頭における販促ツールは、さまざまな選択肢があるが、「cookpad storeTV」導入が短期間で進んだのは、「このような小売店の悩みに答えることができているため」と本澤氏は話す。

impactTV PISTAシリーズ

 

購買前行動のデータを収集し、販促効果を最大化するデジタルサイネージ

「PISTA」は、電子POPとしての商品訴求や商品説明の動画配信はもちろん、人感センサーやカメラを搭載し、可視化が難しい購買前( 売り場における買い物客の自然行動)データも収集できるのが特徴。配信する動画コンテンツも、買い物客の属性に応じて出し分けることができる。

【事例】

事例顧客のニーズに合った商品をデジタルサイネージで提案

クラシエ製薬は、漢方薬ブランド「漢方セラピー」の販売支援ツールとして、買い物客が自分に合った商品選択ができる、「PISTA」を活用している。

「漢方は商品点数が多く、買い物客の症状・悩みにあった商品を的確に店頭で訴求するのは、ほかの商品に比べ、難しいという課題がありました。

また、流通店舗スタッフの負担を軽くすべく、商品説明にかかる時間を減らすこともテーマでした」とクラシエ製薬のヘルスケア事業部 マーケティング部 MD2チーム 植木裕之氏は話す。

そこで、悩みを抱える買い物客が自ら商品情報を得られるよう、タッチパネルを搭載した「PISTA」を導入。さらに人感センサーで検知した買い物客へ訴求する、オリジナルコンテンツも流通企業ごとに用意した。

「結果的に、人感センサーによるタッチパネルへの誘導や、オリジナルコンテンツによって、買い物客ご自身が選べる仕組みがつくれました。また、商品説明などもサイネージ上でできるため、店舗スタッフがその分の時間をほかの業務に回せるようになり、流通企業さまにも評価をいただいております」(植木氏)

流通の現場の課題を解決人に替わるサイネージ

「人手不足」が叫ばれる昨今、流通の現場では省人化、業務効率の向上が喫緊の課題となっている。しかしながら買い物客対応を省くことはできない。

「『PISTA』は、専任スタッフまでは用意できませんが、説明をすることで実売につながる商品のための接客ツールともなります。たとえば、来店客の多国籍化も急速に進み、店頭での多言語対応が求められていますが、多言語対応のコンテンツを活用すれば、買い物客を逃さずに商品を訴求することができます」とimpactTV(東京・渋谷)の経営管理部・関篤志氏は話す。

「PISTA」は、単なる電子POPではなく、情報収集のツールとしても活用されているという。通行人数、視聴者数、視聴者属性、視聴時間、画面タッチ数・遷移等など、可視化の難しい買い物客の購買前のデータを取得して、マーケティングや販促施策の仮説検証などに生かすことができ、PDCAサイクルを回すための材料になるためだ。

また、配信する動画コンテンツについて、同社営業部・松本直也氏は「インストア動画は、まず関心をひくことが重要。生活者や店員が登場する動画もあるが、特に人気タレントを起用したマス広告の展開をしているならば、店頭でもその世界観のもとでの連動が望ましい」と話す。

「実売を促すためには概念的なコンテンツよりも、目の前のあなたに呼びかける、帰宅後にすぐに食べてみたくなる、使ってみたくなる訴求のほうが適しています。一方、最近では、スマホ普及の影響からタテ位置の構図が目を引くようにもなり、それに応じて電子POPの縦設置も珍しい事例ではなくなってきました。中にはYouTuberを起用することで注目を集める動画も登場しています」(松本氏)


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今回、インストア動画アワードではパートナー企業(『販促会議』2019年6月号に掲載)から全28作品の応募があった。受賞作品を公開しているので、ぜひチェックしてもらいたい。