Think Experience 2019 ─ブランド価値を最大化する、体験のチカラとミライ─  体験・SDGs・データ活用 注目トピックスレポート

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エクスペリエンス・マーケティング企業の博展が7月25日〜28日に開催したプライベートカンファレンス「Think Experience 2019」では、現在のマーケティング・プロモーションで考えるべきテーマについて対談が行われた。その中、最も注目のトピックスを抜粋してご紹介する。

デジタル×フィジカルをシームレスにつなぐブランド体験

オンラインとオフラインの連携や、融合が重要視され、O2OやOMOといった言葉が世に出て久しい。サイバーエージェントの中橋敦氏と博展の南正一郎氏の対談では、オンラインとオフラインの境界をなくし、一体化して消費者にアプローチするカギとして、「両者をつなぐエクスペリエンス(体験)」が挙がった。

たとえばオンラインなら、膨大な量の情報をただ示すのでは、そのなかから必要な情報を選び取る消費者の負担が大きくなるだけだ。しかし、情緒や共感のある仕方であれば、その情報への興味や信頼感はさらに増す。「体験」は、情報の信頼度を高める要素のひとつだ。

「テクノロジーの発展と共に、オンラインでも消費者が得られる『エクスペリエンス(体験)』の重要さはますます高まっています」(サイバーエージェントの中橋氏)

博展 南正一郎氏
サイバーエージェント/CYPAR 中橋敦氏

一方のオフラインでのフィジカルエクスペリエンスにおいては、「ポップアップストアなどデジタル上の話題を狙った企画が増えていますが、本来は広さだけでなく深さにポテンシャルを持つコミュニケーションです。企業は拡散を目的とするだけでなく、体験者の反応を直に得られる貴重な機会として、その結果をコミュニケーションプランに反映していくことが重要です」(博展の南氏)

また南氏は、「フィジカルエクスペリエンスは、非日常的なイベントだけでなく、日常的にも提供されることが大事」と話す。日頃からオンラインでもコミュニケーションするなら、「オフラインでもオンラインでも、互いの領域や特徴を理解して設計していかねばならない」とした。

では、オンオフを問わない、日常的な「体験」の提供は、その効果をどのように測ればよいのだろうか。中橋氏は、「途上ではあるものの、現段階では、リテンション(顧客維持)が指標としてもよいでしょう。あるものに接触する回数と、それに感じる好意度の高さは相関すると考えられるからです」と話す。

つまり、顧客であり続けるということは、一定の好意度があるとみなせる。顧客がどれだけ維持できているかは、日頃提供している体験の良し悪しに左右されるのではないか、という考え方だ。

「接触頻度が距離を近づけるのは、人間関係にも通じる考え方。今後は、人と企業やブランドの間でも、敬意や愛情を抱かせるコミュニケーションが重視されるようになるはずです」(南氏)

SDGs-ミレニアル世代のマーケティング

これからの消費行動の中心となるミレニアル世代の価値観は、それ以前の世代とは異なる─「サステナブル・ブランド国際会議」のアカデミックプロデューサーの青木茂樹氏は、その価値観のキーワードとして「シェアリング」「ワークライフバランス」「ソーシャル」などを紹介。

「こうした価値観を持つ人たちが新しい消費行動を見せはじめている」と話した。

「SDGs」への注目が高まっているのも、ミレニアル世代の価値観に響くものがあることが一つの要因だ。2018年12月に発売された『FRaU』1月号 SDGs特集に編集長として携わった関龍彦氏は、SDGsを特集した理由について「女性の認知度が低いことを知っていたからこそ特集した。女性はいったん腑に落ちればライフスタイルに取り込み、自分ごとと地球ごととを一体化して行動できる。未来のことを考え、女性の認知を高めることに使命感もあった」と話した。

『FRaU』では今後も毎年12月の特集号を2030年まで継続し、不定期でテーマを絞ったムックを発行するほか、勉強会やBtoBのツアーなどを計画している。

「これからのメディアは、一方的に伝えるのではなく、共創が大事になる。特にSDGsは個人や企業や自治体が、一緒に取り組むべきもの。私たちの活動がそのきっかけやプラットフォームになればと考えています」(関氏)

講談社 関龍彦氏
サステナブル・ブランド国際会議/駒澤大学 青木茂樹氏

青木氏は「社会的な大義を持つブランドから物を購入したいと考える人は65%いるものの、実際に購入しているのはその3割にとどまるというデータに対して、行動につながらないのは企業の責任。買いたいと思わせるようなプロモーションをすべきだし、手の届く価格にすること、店頭に並べることも必要だ」という。6月、アメリカ、デトロイトで行われた『サステナブル・ブランド国際会議』での指摘を紹介しつつ、「とはいえ、なかなか企業としては踏み出す勇気を持てない。関さんたちの取り組みはそこに対する問題提起の意味もある」と評した。


「サステナブル・ブランド ジャパン」サイト
URL:https://www.sustainablebrands.jp/
2020年2月19日(水)・20日(木)、サステナブル・ブランド国際会議 2020 横浜が開催される

〈ご協賛プログラムに関するお問合せ〉
SB スポンサー事務局(博展 内)
E-mail:sbt-sponsor@sustainablebrands.jp

 

体験のプロトタイピング
─フィジカルスペースにおける効果測定とその活用方法

博展が公開した「光りと陰が舞う涼空間 -舞すだれ-」
動画はこちらから

メディアの変容で消費者体験が大きな変化のさなかにある。「移りゆく消費者体験について考え、その在り様を試し続けることを『体験のプロトタイピング』と表現しています」─こう話すのは、カウンターワークスの遠山啓一氏だ。

かつて、物理的なスペースやメディアにおける「体験」は、消費者をいかに企画側の想定通りに動かすかが重要だった。

しかし技術の発展でオンライン同様に消費者の行動データが取得可能となったことにより、体験を提供する側が消費者のフィードバックを受け、すぐに内容を改善できるようになった。

さらに博展の原口氏は「イベントにおいて、広告主からは『購買』というKGIだけでなく、ブランドへの心理変容、態度変容をKPI として測定する手法が求められている」と指摘する。

たとえば博展では、ビーコンを用いて来場者の動きを検知し、属性や滞在時間と合わせて分析することで態度変容を推定している。さらに蓄積した行動データを基にリターゲティング広告も展開可能になる。

また、アンケートから来場者の心理変容を分析することで「消費者の反応からマーケティングに生かすヒント」を探すことも重要だ。

博展 原口寛大氏
カウンターワークス 遠山啓一氏

遠山氏はことし2月にオープンした期間限定店舗「adpt store(アダプトストア)」についても紹介。カメラやセンサーを設置し、来店者の行動データや生の声を企業に随時提供した。「adpt store」は体験のプロトタイピングの第一歩。それをパッケージ化したのが「adpt OS(アダプトオーエス)」だ。このサービスでは、VMD視認量やフロア間回遊などのデータも取得することで、動線や陳列順の最適化、商圏分析なども行う。将来的にはPOSデータや、広告、第三者データとも連動させていく。

「オンラインかオフラインかを問わず消費者の行動データを集め、それを分析し、その結果を製品やブランドのクリエイティブに反映することができるかどうかで、今後、大きな差が生まれてくると思います」(遠山氏)



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株式会社 博展

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