元MITメディアラボ副所長 ジョン・マエダ氏が語る これからの時代に求められるデザイン

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Carrefour、日産、Walmartなどのデジタルトランスフォーメーションを支援してきたPublicis Sapient。同社のチーフ・エクスペリエンス・オフィサーにジョン・マエダ氏が就任した。同氏はMITでソフトウェア工学を学んだ後、デザイナーとして活動を始め、ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン学長、MITメディアラボ副所長、ebay デザインアドバイザリーボードなどを歴任してきた。同社では、デザインとテクノロジーを結び付け、顧客にとって意味のある体験を生み出す役割を担う。

 
―Publicis Sapientのチーフ・エクスペリエンス・オフィサーは、どのような役割なのでしょうか。

よく耳にする役職として、チーフ・デザイン・オフィサー(CDO)という言葉があります。しかし、“デザイン”という言葉からは、グラフィックデザインだったり、デザインシンキングだったりというイメージが思い浮かんできます。しかし私が考えているデザインはそれだけではありません。そこで、もっと幅広い意味を持ち、この役職を聞いた人がどんなことをしているのだろうと興味を持ってくれるのではないかと考え、“エクスペリエンス”という言葉を選択しました。

デザインとテクノロジーを掛け合わせ、Publicis Sapientの新しい仲間とともに、企業のビジネスをより良い方向に導くことができればと考えています。

―これからの企業にはどのようなデザインが求められると思いますか。

私が2015年からSXSWの基調講演で毎年発表しているDesign in Tech Reportでも触れていますが、デザインには主に3種類あると考えています。

「クラシックデザイン(グラフィックデザインなどの見た目のデザイン)」「デザインシンキング」「コンピューテショナルデザイン」の3種類です。そして、これからの時代ではコンピューテショナルデザインが重要になると思います。コンピューテショナルデザインとは、コンピューターやクラウドを使用したすべてのデザインのことです。コンピューテショナルデザインは、AmazonやAirbnbといったプラットフォームのようなものから人工知能デザイナーまで非常に幅広く、その定義は難しい。

しかし、そこから新しい仕組みが生まれています。例えば、AlibabaのAIデザイナー「Luban」は1秒当たり平均8000枚のバナー広告をデザインすることができます。1枚1枚の質はクリエイターが制作したものよりも高くないかもしれませんが、これだけの数を一瞬で制作することができるのは人間にはない強みです。そして、その中にはきっと生活者に響くものもあるはずです。効果検証しながら、デザインを運用していく。これはコンピューテショナルデザインならではの新しいかたちです。

―コンピューテショナルデザインはクリエイターやマーケターにどのような影響を与えると思いますか。

従来のように1つのグラフィックを完成させるのではなく、テクノロジーを活用し、新しいビジネスや仕組みを生み出す、そしてそれをブラッシュアップしていくという考え方は、クリエイターよりもマーケター的な考え方です。

これからの時代はクリエイターもビジネスやテクノロジーを学ばなければ時代に取り残されてしまいます。逆にマーケターもデザインやテクノロジーを学ぶことで新たな可能性を広げることができるでしょう。きっと若い人の多くはそれを肌で感じているのではないでしょうか。新しい考え方や領域に興味を持ち、実際に試してみる。それを繰り返す中で新たなアイデアやビジネスのヒントが生まれてくるはずです。

インタビューの続きは11月1日発売の『ブレーン』 12月号に掲載予定です。

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