「探す」をテーマに秀作がそろい踏み 第2回TYO学生ムービーアワード受賞作品発表

2回目を迎えた「TYO学生ムービーアワード」の表彰式が、11月28日に恵比寿ガーデンプレイスザ・ガーデンルームにて開催。エントリー総数576件の中から選出された、最終ノミネート5作品の中からグランプリ他各賞が発表となった。

2回目でさらなるレベルアップ

入賞した学生の皆さん。

「TYO学生ムービーアワード」は、広告制作会社ティー・ワイ・オーが、次世代の才能の発掘と育成、さらには、映像業界全体の発展に寄与していきたいという思いから開催している学生向けショートフィルムコンテスト。第2回の今回は「探す」から発想した60 秒のショートフィルムを募集した。

「当初は、どれくらいの学生が応募してくれるのか見当がつかなかったのですが、蓋を開けてみると期待以上の応募がありました。そして第2回は、さらにレベルアップした作品が集まりました」と話すのは、審査員長でもある同社代表取締役社長 早川和良さん。

「前回に続き今回も最終ノミネート5作品のうち4作品が、東京以外の学生が制作したもの。これまで映像を学ぶなら東京と思い込んでいましたが、いまや映像を学べる場所は全国にある。そこで学んだ学生たちがつくる作品は技術力や企画の高さはもちろんですが、センスもよく、映像にかける熱意を強く感じました」。

審査員の皆さん。左から 佐藤渉さん(ティー・ワイ・オー SPARK CMディレクター)、尾形真理子さん(Tang クリエイティブディレクター/コピーライター)、特別審査員 小助川雅人さん(資生堂 チーフクリエイティブディレクター)、早川和良さん(ティー・ワイ・オー 代表取締役社長)、特別審査員 別所哲也さん(俳優/「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア」代表)、浜崎慎治さん(CMディレクター)、中江康人さん(AOI TYO Holdings 代表取締役社長)。

最終ノミネート5作品の中から、最高賞である金賞に選ばれたのは、京都工芸繊維大学 藤崎史織さんの『くまのめ』だ。本作品は、主人公が友人からプレゼントされたくまの人形の目が無くなっていることに気づくシーンから始まる。慌ててくまの目を探す女性と友人。緊迫する音楽が流れる中、時折ダンスのステップを踏む足元が映し出される。そして、くまの目は見つかったが……というホラー仕立てのストーリーが展開される。

「作品を見た時に一瞬で狂気の世界に引き込まれ、驚きました」と、早川さんは講評を述べた。受賞した藤崎さんは「まず、以前から続けているダンスを企画に入れようと決めました。前に大事なものをなくした時に頭の中が混乱した経験をストレートに表現しました」と話した。

銀賞はシーンごとの画作りのクオリティと編集力が高く評価された立命館大学 山津暢之さんの『夢へ』、銅賞は作品の中に強いメッセージを込めた多摩美術大学 有嶋庸子さんの『Find me』。審査員特別賞は、自分探しをモチーフに、音と演者の表情だけで見る人を映像に引き込んだ立命館大学石田康太さんの『FACE』。そして、審査員全員が規格外のエネルギーを感じ、楽しんで映像を作っているのが伝わった京都大学定永悠樹さんの『モッパラ!!』の2作品に決定した。

審査員 尾形真理子さんは審査全体を通して「『探す』というテーマは興味深いけれど、自分をえぐらないといけないのでしんどいテーマでもある。それをこれだけのクオリティと感性で形にした作品に出会えて、私自身貴重な体験をさせてもらった」とコメント。ディレクターとして数々のCMに携わってきた早川さんも「自分の中にこういう発想はなく、皆さんに嫉妬を覚えた」と話した。金賞を受賞した藤崎さんには100万円が贈られた。また、各受賞作品は本アワードの公式サイトで公開されている。

表彰式の様子。

金賞

『くまのめ』 藤崎史織

京都工芸繊維大学 大学院 工芸科学研究科デザイン科 学域デザイン学専攻 1年

受賞コメント:金賞をとれると思っていなかったので嬉しいです。大事なものをなくした時に頭の中が混乱した経験をストレートに表現しました。賞金は作品制作と学生にしかできない経験に使いたいです。

審査員コメント:作品を見た時に一瞬で狂気の世界に引き込まれ、驚きました。「探す」というテーマでホラーに持っていく発想が面白いのと、独特の世界に引っ張っていく演出力に感心しました。ステップのシーンは不思議に思いましたが、あのカットがあるから記憶に残る作品に仕上がっていて、圧倒されました。

監督+出演/藤崎史織
撮影+出演/金子実怜奈

銀賞

『夢へ』 山津暢之

立命館大学 映像学部 映像学科 1年

受賞コメント:私は「夢を探す」ということを表現しました。夢を探すことは好きな人を探すことに似ていると感じ、“Boy Meets Girl” 的な作品にしました。

審査員コメント: 編集の上手さ、音楽・キャスティングを含む演出センスの高さなど、総合的に映像の力があるクオリティの高い作品です。一カットごとの気合い(特にプールのシーン)と、ビジュアルで見せるという意志を感じました。

企画+監督+脚本/山津暢之
プロデューサー/鈴木陽斗
助監督+プロデューサー/檜垣さくら
出演/佐竹桃華、辰巳宜優
音楽/わいず
撮影/石田康太、石崎潤、山崎真子
照明/妹脊一也
照明助手/杉山颯太
音響/藤田仁雄、伊藤百恵
美衣装+照明助手/寺田知優
美衣装+撮影助手/中村颯姫
制作/山口璃子、田中健太朗
制作+スタントマン/中尾弓弦
車両/平城佑一郎
スクリプト/松尾龍征
編集+カラリスト/長沼勝大
モーショングラフィックス/槌田彩乃

銅賞

『Find Me』 有嶋庸子

多摩美術大学 美術学部 統合デザイン学科 4年

受賞コメント:映像を見る側の視点が重要で、あっという間に感じてほしいと考えていました。「誰かがあなたを探している」というメッセージが自殺防止につながればというメッセージを込めました。

審査員コメント: 視聴者が参加して「探す」環境を作る手法が良く、テーマにストレートで新鮮味を感じました。アニメーションがシンプルながらもアートディレクションがしっかりしている作品でした。メッセージがあるところがこの映像の強さだと思います。

企画+ディレクター+アニメーション+編集/有嶋庸子

審査員特別賞

『FACE』 石田康太

立命館大学 映像学部 映像学科 2年

受賞コメント:これからの長い人生で最高の作品づくりをしていきたいです。限られた時間の中で自分の世界をいかに表現するかを考え、音楽とマッチさせて言語的な表現なしにメッセージを伝えるよう工夫しました。

審査員コメント:「探す」というテーマで、自分探しというモチーフを選んだ方はかなり多かったですが、その中でも最も真剣に探していると感じ、映像も上質でした。音と演者の表情だけで引き込んでいく表現の新しさと、水に入るシーンの文字通り命がけの演出に、ストイックな映像制作への情熱を感じて評価しました。

監督+撮影+編集/石田康太
出演/染谷怜奈

審査員特別賞

『モッパラ!!』 定永悠樹

京都大学 工学部 地球工学科 環境工学コース 4年

受賞コメント:問題に困って道を探求することを表現してみました。制作するにあたって意識した勢いや意味のつかみにくさを評価してもらえてありがたく思います。

審査員コメント: 何を探しているのかという分かりづらさはありましたが、審査員一同が規格外のエネルギーを感じ、カメラワークをはじめとても楽しんで映像を作っているのが伝わったので選出しました。

監督+脚本+編集+出演/定永悠樹
カメラマン+編集/口羽雄太
出演/中田優作、瀬戸花音

※学年は、2019年11月28日時点。
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