横浜市の新たな産学連携の形 — 大岡川ひかりの川辺2019

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春には桜まつり、夏には水上劇場、秋には「よこはま運河チャレンジ」、冬にはSUPサンタクルーズ – 1年を通して「川」を活用したイベントで賑わう、横浜・大岡川。横浜市と事業構想大学院大学がライトアップイベント「大岡川ひかりの川辺 2019」を通じて目指すのは、地域主体の街づくりだ。

視覚・味覚・聴覚を刺激するライトアップ

「大岡川 ひかりの川辺2019」のライトアップの様子。

神奈川県横浜市を流れる大岡川では、10月29日から11月3日にかけ「大岡川 ひかりの川辺2019」が開催された。これは地域住民や事業者とともに川辺の持つ魅力を引き出し、多くの人に、その魅力を伝えることを目的としたイベントだ。今回は長者橋~黄金橋エリアで、3台のサーチライト、60台のLEDスポットライトを用いて、期間中午後6時から9時半にかけて川辺のライトアップを行った。

初開催となった2018年は約2万4000人が来場。2度目の今回は、「視覚・味覚・聴覚を刺激する新世代イルミネーション」をテーマに、60店舗以上が参加した「黄金町パンとコーヒーマルシェ」や、フードトラックが並ぶ地域主体のフードイベントも開催した。このほか、インスタグラマーによるワークショップ「イルミネーションの撮り方」を実施したり、髪の毛や襟元などに付けることで振動により音を感じられるデバイス「Ontenna(オンテナ)」を体験する機会も設けた。

主催したのは、横浜市と事業構想大学院大学。両者は2017年12月に「横浜市の水辺を活かした新たな魅力創出事業に関する基本協定」を締結し、大岡川流域の地域活性化、魅力創出に取り組んでいる。

今年は横浜市に拠点を置く7社の協賛・14団体の協力を得ており、着実に参画するプレイヤーを増やしている。

今年は期間中1万8000人が訪れ、一日の来場者数は昨年を上回った。

地域主体の持続可能な街づくり

昨年に続きイルミネーションの演出を手がけたのは、SPOON メディアプランナーの谷田光晴さんだ。谷田さんは前回を振り返り「普段の川が突然輝く瞬間を来場者の方々の記憶に残せたのでは」と評価する一方で、「ライトアップそのものだけでは、本当の意味で地域を活性化することは難しいと感じた」という。

「一過性のイベントで集客をするだけでなく、地域の方々とこのイベントを共有し、担い手となる仲間を増やしていくことが、根本的な課題の解決につながるのでは、と考えました」。

川辺にはフードトラックが並び、さまざまな食を提供。

ギャラリーが並び、かねてより「大岡川アートプロジェクト」や「黄金町バザール」などアートに関連するイベントも盛んに行われている大岡川エリア。アートで街の活性化を図ってきた背景から、谷田さんは「表現者を志す人」との親和性が高いと考えた。そこで今回、プロジェクトに参画したのが横浜美術大学の学生だ。

「ビジュアルやライティングのデザインなどを有志の8人の学生に担当してもらい、僕はサポート役に徹しました。約4カ月の期間中、学生には企画書づくりから企業へのプレゼンテーション、実際の制作まで、社会人さながら、あらゆる経験をしてもらいました」(谷田さん)。

中でも、京浜急行の車内広告や公式Webサイトに用いられたロゴやキービジュアルを制作したのは、同大3年生の今井彩花さんと北元杜果さんだ。「地域の方々、そしてイベントに集まる多くの方々に、輝く未来を感じてもらえるようにデザインしました。

大学での授業では、外部の方などからアドバイスをいただいたり、プレゼンテーションをするといった経験はなかったので、貴重な機会になりました」と振り返る。

4人の学生が各自テーマを設けて制作したライティングには、後からそれぞれにまたがる10分間の曲を制作して合わせた。

コンポーザーのHiroshi Watanabeさんは「4種のライトアップの色や動きに音楽が重なることで、一つの音楽がさまざまな表情を見せます。その面白みも感じていただけたら」と話す。

期間中、食イベント「黄金町パンとコーヒーのマルシェ」も開催した。

「学生が主体となり、そこにクオリティを担保すべく僕らのようなプロが入る。そうすることで、学生は社会に出てから実際に取り組むことを体験できます。クライアントの課題があり、それを解決すべくクリエイティビティを発揮する。さまざまな意見をもらい、試行錯誤する、ということです。

企業の方々に学生の実際の取り組みを見ていただけるので、将来的には採用にもつながる可能性があります。既存の産学協業の形を越えた新しい共創の取り組みが、ここで実現できるのではないかと考えています」(谷田さん)。

今回参加した学生は2、3年生がメイン。

2年生は今回の経験を生かし、来年また、同イベントへの参加ができる。その後輩がまた新たに参加し、さらにまた後輩が—と、脈々と続けていけるのも、大学との共創ならではの魅力だ。地域の企業の協力があってこそのこの取り組み。今後は作り手となる“仲間”をさらに増やし、地域主体の街づくりを目指していく。

地元でSUPを楽しむグループ「横浜SUP倶楽部」と連携し、大岡川の清掃イベントも実施。

谷田光晴(たにだ・みつはる)
メディアプランナー・演出家・企画家/SPOON 代表取締役。

1980年兵庫県生まれ。学生時代から映像クリエイターとしてのキャリアをスタートし、音楽イベントなどの映像演出を中心に活動。2009年タケナカに入社。
2014年にSPOON設立。慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科特別招聘講師。

 



INFORMATION
横浜市文化観光局横浜魅力づくり室企画課
https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/yokohamashi/org/bunko/soshiki-gyomu/kikaku.html

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