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「従業員が共感できるブランド」で社内コミュニケーションの進化へ

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2019年12月9日、都内で「インターナルコミュニケーションフォーラムvol.2」が開催され、登壇した各社のインターナルコミュニケーション事例の紹介や基調対談が行われた。

プログラム

第1部
基調対談
インターブランドジャパン 薄 阿佐子氏
産業編集センター 相山 大輔氏

第2部
企業講演
三菱重工業 酒井 宏忠氏

第3部
企業講演
アクセンチュア 西森 由歌氏

第4部
企業講演
東京国際空港ターミナル 平田 達志氏

第1部では、インターブランドジャパン 戦略グループ エグゼクティブディレクターの薄 阿佐子氏と産業編集センター はたらくよろこび研究所 企画制作部 部長の相山 大輔氏が「ブランディングトレンドから見た、これからのインターナルコミュニケーション」をテーマに基調対談を行った。

産業編集センター 相山 大輔氏

インターブランドは、1974年にロンドンで設立されたブランディング専門会社。同社が毎年発表するランキング「Best Global Brands」は、グローバルでのブランド価値をはかる指標となっている。

当日は「Best Global Brands」の評価基準の中からブランド強度分析で用いられる要素のうち、インターナルコミュニケーションに関わる4項目である 1概念明瞭度 2関与浸透度 3統治管理度 4変化対応度のもと、社内推進のポイントを解説した。

「長期的な視点でみると合理性だけではなく、社員が共感できるブランドになっているかということが重要。他社でもできることでは共感は生まれません。自社ならではのパーパス(目的)を明瞭にし、あらゆる判断の場において基準となるよう、浸透・習慣化、行動までつなげていくのが理想的です」と薄氏。

インターブランドジャパン 薄 阿佐子氏

2020年以降の動きについても触れ、企業の社内報の立案や制作に携わってきた相山氏は「社内報の内容も社外とシームレスに共有する動きが出てきている。実態に即していない、きれいな言葉で飾られた情報は見抜かれてしまう。社内のコミュニケーションの良し悪しが、企業そのものの“信頼” につながる」と話した。

グローバルで方向性を共有

続いてインターナルコミュニケーションに積極的に取り組んでいる3社が事例を紹介した。まず、最初に登壇したのは三菱重工業 グループ戦略推進室 広報部 ブランド事業推進グループ部長代理の酒井 宏忠氏。

三菱重工業 グループ戦略推進室 広報部 ブランド事業推進グループ 部長代理の酒井 宏忠氏。グループ報『Global Arch』の制作に取り組んでいる。

同社は、2010年の中期経営計画でグローバルでの事業拡大や明確な経営コンセプトを掲げた。グループの一体感醸成や、新しい中計への理解を促すために活用したのが2013年から発行しているグループ報『Global Arch』だ。

「グループ報は経営層の考えを直接個人に届けることができることが魅力。間に人が介在すればするほど情報の鮮度や伝わる熱量は落ちてしまう」と酒井氏は説明する。

制作にあたっては、「リアリティ」「取材先のバランス」「垂直・水平方向でのコミュニケーションを喚起する記事の展開」を意識している。「2019年にはウェブ版もローンチし、国内外の隅々まで届くコンテンツづくりを目指している。これからも社内の縦・横の関係構築に寄与していきたい」。

問題解決は長期的視点で

第3部ではアクセンチュア マーケティング・コミュニケーション部の西森由歌氏が登壇し、同社が2015年から推進する働き方改革「Project PRIDE」を紹介した。

アクセンチュア マーケティング・コミュニケーション部の西森由歌氏。同社は2015年から独自の働き方改革「Project PRIDE」を推進している。

社長をはじめとする経営トップ、本部長、各本部の担当者、またプロジェクトごとに担当者を配置することでトップダウンとボトムアップの双方から風土改革を展開している。

具体的には「方向性提示と継続的な効果測定」「リーダーのコミットメント」「仕組み化、テクノロジー活用」「文化・風土の定着化」の4つのフレームを軸にそれぞれ施策を用意した。当日は成果のあった取り組みを紹介しつつ、社内改革のポイントについて「今までのあり方を変えるためには企業文化が形成されるまで根気強く施策を繰り返すこと。明確な方向性は示しつつも、社員の本音を受け止め、共有し、許容しあうことが大切です」と説明した。

東京国際空港ターミナル 企画部 シニアマネジャーの平田達志氏。2020年の東京五輪に向け、空港職員の一体感醸成に取り組んでいる。

最後に登壇したのは、東京国際空港ターミナル 企画部 シニアマネジャーの平田達志氏。

同社は羽田空港の国際線ターミナルの運営・管理を担当している。2020年の東京五輪の開催を控え、機能面だけでなくサービス面を充実させ、空港利用者の満足度を高めることが求められていた。

「現場の職員は業態も所属会社も様々で、方向性を統一しづらい状況でした。そのため空港で働くことへの満足感や誇りから醸成しようと考えました」。

そこで「私たちは日本を代表するひとつのチームだ」という意味を込めた「WE ARE TOKYO」というキーメッセージを設定。コンセプトムービーやブランドブックを制作し、空港内の従業員通路の天井や壁にキーメッセージの装飾を行うことで空港内への訴求を行った。

また、空港内にキーメッセージのフォトスポットや空港内の従業員になりきれる顔出しパネルを設置するなど顧客体験にも拡大させ、ブランドの同一化を図った。「外の期待感とズレのないブランドづくりが社員のモチベーションにつながり、最終的に高品質サービスの提供、顧客価値向上につながっていきます。利用客増加が見込まれる2020年以降もこのレガシーを空港内に残せるよう取り組んでいきたい」と語った。


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