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ロイヤル顧客と向き合う「ファンベース経営」が重要に。さとなおさんと考えるポスト2020のマーケティング

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少子高齢、人口減少など、いま日本という国の形が足元から大きく変容しつつあります。
「ポスト2020」のマーケティング戦略は、どうあるべきなのか。
チーターデジタルの加藤希尊氏が最前線で考え、行動する実務家たちとの対談を通じて考察、解説していきます。今回は「ファンベース」をテーマに佐藤尚之(さとなお)氏に話を聞きに行きます(本文中・敬称略)。

左)チーターデジタル 副社長 兼 CMO 加藤希尊氏
WPPグループ、セールスフォース・ドットコムを経て2019年11月より現職。
2014年にマーケターのネットワークである「JAPAN CMO CLUB」を設立。
右)ファンベースカンパニー 創業者 佐藤尚之氏
電通でマス・ネット広告、コミュニケーション・デザインなどに携わった後、2011年独立。2019年にファンベースカンパニー設立。近著は『ファンベース』。

鍵は心理的ロイヤルティの定量把握にあり

加藤:現在の国内環境に目を向けると、人口減少、消費者のメディア離れなど、従来型の新規顧客へのリーチを最大化するマスマーケティングのアプローチでは立ち行かなくなっている現状が見えてきます。これからはファンやロイヤルな顧客を中心にしたマーケティングが必要になっていくと考え、2019年11月から次世代のロイヤルティ マーケティングを提唱するチーターデジタルに参画しました。

さとなおさんが著書『ファンベース』で提唱している内容にも、とても共感しています。刊行から2年経ち、反響も広がっているのではないですか。

佐藤:考え方に共鳴してくださる方は増えています。特に関心が高いのが経営層。昨年5月にアライドアーキテクツ、野村ホールディングスとファンベースカンパニーを設立しましたが、企業の経営陣とのネットワークがある野村ホールディングスと組むことになったのも、ファンベース“マーケティング”というより、ファンベース“経営”が必要との意識が出てきたからです。

加藤:著書の中で「20%のファンが売上の80%を支えている。8:2のパレートの法則が多くの商品に当てはまる」と指摘されています。私たちが提供する次世代のエンゲージメントソリューション「CustomerEngagement Suite」の導入企業のデータを分析しても、2%のロイヤル顧客が売上の50%を支えているといった極端なケースも目にします。それにもかかわらず、すぐに離反してしまう新規顧客獲得に多額の投資をしてしまっている現状がある。テクノロジーも使って、この課題を解決したいというのが、チーターデジタルが考えていることです。

佐藤:僕は、2020年は企業の意識が変わる境目になる年なのではないかと考えています。東京オリンピック・パラリンピックの閉会式が開催されるのが9月6日。おそらく、この時までは昭和のやり方が通用してしまう気がしています。もしオリ・パラの余韻が残ったとしても、12月末の「嵐の解散」まで。以降はこれまでの成功体験、幻想が崩れて日本企業は課題に直面することになると思います。

加藤:さとなおさんは、日本人は自己肯定感が低いので、良いと思った商品があっても積極的に発信しない。なので、自信を持ってもらう方法を考えることも必要と指摘していらっしゃいます。

佐藤:自信もそうですし、発信するきっかけも必要ですよね。文脈も何もないところで、いきなり商品について話しだしたりしませんから。

加藤:チーターデジタルでは0 Partyデータの活用による顧客のインサイト把握を推奨していますが、他者に発信したくなるきっかけを解明することもできると思います。また、大切なのはテクノロジーを使ったデータの活用で、実施する施策はデジタルに限る必要はないと考えています。顧客の深層心理を理解したうえで、人として真摯に向き合うことが必要なのだと思います。

課題解決のビジョンでつながる新しいビジネスの経済圏

加藤:最近、課題解決のビジョンを掲げ、ロイヤル顧客の経済圏を拡大しているブランドが支持を増やしている傾向にあるのではないか、という仮説を持っています。どういうことかと言うと、同じ課題に対する解決の価値を提供する企業同士が手を組む事例が出てきていると感じているのです。例えば、健康増進という価値を提供するフィットネスクラブの顧客が他社の整体に行ったり、健康に配慮した商品を買ったら、「頑張っているね」とリワードを提供するような仕組み。課題解決の価値という軸で、これまでにない経済圏が生まれているのではないでしょうか。

佐藤:ファンとは商品自体ではなく、その商品が持っている課題解決の価値に共感をして応援してくれる人たちです。課題の解決に際して、自分たちだけで提供できないものがあるのなら、他社と組むことも十分ありうると思います。

加藤:最後にさとなおさんが今、取り組んでいることを伺えますか。

佐藤:ファンベースカンパニーで今、取り組んでいるのが「推奨」に関する新しい指標づくりです。「NPS®」を導入する企業が増えていますが、現在の指標だけでは機能価値、情緒価値、社会価値のいずれに共感して推奨してくれているのかまではわかりません。機能価値を推奨する行動は、購入直後には起きますが継続しないし、より良い機能を持った商品が出たら、離れていってしまう。情緒価値で推奨する人、つまりファンになるとはどういうことなのか。また自社の商品に、どのくらい情緒価値を推奨してくれているファンがいるのかを把握できる指標をつくっているところです。

加藤:私もロイヤルティには「経済的ロイヤルティ」「行動ロイヤルティ」だけでなく「心理的ロイヤルティ」もあると考えています。チーターデジタルでは、「心理的ロイヤルティ」をどのように大量のデータをもとに導き出せるか、にチャレンジしていくつもりです。情緒的価値や「心理的ロイヤルティ」を定量的に捉えるのは従来、難しかったのですが、把握できる指標や分析手段が開発されることで、新規だけでなく既存のお客さまに向き合うマーケティングがより実行しやすくなっていくのではないかと考えています。


対談を終えて

経営層がファンベースという考え方に共感しているという話から、これまで以上に経営とマーケティングが密接に関わってきている日本企業の状況が見えてきました。お客さまとどう向き合うかが、経営における重要事項となっているのだと感じます。

また私たちは「経済的ロイヤルティ」「行動ロイヤルティ」「心理的ロイヤルティ」の3つの軸でロイヤルティを分析・把握するフレームワークを開発しました。大量のデータが取得できる環境においては「心理的ロイヤルティ」を捉えることも可能になってきています。「心理的ロイヤルティ」を理解できれば、もっとお客さまに喜んでもらえる体験や情報を提供できる。さとなおさんとの対談を通じて、データは顧客との等価の価値交換が前提という考えに則って、改めてチーターデジタルが推進している「心理的ロイヤルティ」とテクノロジーの融合にこれからの可能性を感じました(加藤希尊)。

チーターデジタルとは?

1998年に米国で創業し現在、日本を含む世界13カ国、26拠点で事業を展開。2017年にExactTarget、Salesforceのエグゼクティブバイスプレジデントを歴任したサミール・カジ氏がグローバルCEOに就任し、新生チーターデジタルを結成。次世代の顧客エンゲージメントソリューション「Customer Engagement Suite」を開発し、すでにケロッグ、シティバンク、レッドブル、コカ・コーラなどで導入実績がある。「Customer Engagement Suite」は成熟化する市場環境に適応した、新しい思想を持つソリューションで、見込顧客の獲得からロイヤル化まですべての機能を内包する。日本においては2019年12月から新たな経営陣が参画し、2020年からソリューションの提供を開始した。

 



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