「コエドビール」で知られる協同商事(埼玉・川越)など4社は共同で9月26日、渋谷発のクラフトビール「渋生(しぶなま)」を発売した。渋谷区観光協会、TNZQ(タンザク)、コンタツとの共同プロジェクトで、区内の飲食店や酒屋などで取り扱う。
商品はビール酵母、ワイン酵母、日本酒酵母を掛け合わせたオリジナルで、味やパッケージで渋谷の街の多様性を表現した。ボトルラベルデザインや「渋生」のネーミングは、アートディレクターの千原徹也氏(れもんらいふ代表)が手がけた。価格は333ミリリットル瓶入りで390円(税別)。
販売は通年で、目標数量はビン製品で月間700ケース相当。渋谷には3500の飲食店があるといわれるが、その10分の1での取り扱いを当面は目標とする。ECでの販売はなく、「渋谷区でしか飲めないビール」という価値にこだわる。25日夕刻から東急プラザ渋谷の飲食店フロアで先行販売しており、10月7日までは同フロアの店舗で「渋生」に合うおつまみなどをテイクアウトできる連動企画で認知向上を目指す。
開発のきっかけは、TNZQ代表でビアジャーナリストとしても活動する五十嵐糸氏が「渋谷区民として、地元ならではの味わいを楽しめるアイテムが欲しい」という考えから。酒類・食品卸商社のコンタツ、渋谷区観光協会に話を持ちかけた。
ラベルデザインを手がけた千原氏も、渋谷区在住であり区内にデザイン事務所を構える。J-WAVEで渋谷のカルチャーやデザインについて発信する番組なども持つ立場から参画した。
当初のデザインは文字だけのシンプルな構成だったが、「もっと賑やかなデザインを」という依頼があり、イラストを追加した。「渋谷といえばたくさん人が集まってお酒を楽しめる場所。賑やかに楽しんでいる雰囲気をグラフィックとタイポグラフィで表現しています。書体もいろんな種類を盛り込んでいて、渋谷のイメージについて見聞きした言葉をちりばめました。とにかく楽しみながら生み出したデザイン」とコメントしている。
「コエドビール」では地域に特化したクラフトビールのOEMを取り扱うケースは珍しい。協同商事の朝霧重治社長は参画した理由について、「今回はOEMというよりコラボ。単に地域名を関しただけのクラフトビールではなく、ものづくりの面から広がりがあった。あらゆる文化の発信元でもある渋谷と、酵母の多様性を味わいからも感じていただきたい」と説明。「ビールには人々をつなぐ力がある。世界中から多様性ある人々が集まる渋谷のビールとして、地域の潤滑油になれば」と話している。
25日の日中に東急プラザ渋谷で開催された記者発表会では、渋谷区観光大使を務めるホフディランの小宮山雄飛も登壇。初の栓抜きを披露した。
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