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ベクトルがセールステックに進出 属人スタイルが通用しない時代 データ活用で進化する営業の未来

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PR事業を主軸とするベクトルだが近年、広くマーケティング領域へと事業を多様化させている。さらに2020年9月にはセールステック領域にも進出。リード顧客アタック支援クラウド「アタレル」のサービス提供を開始した。従来型の営業スタイルを変えざるを得ない状況の今、セールステック活用における課題と展望についてベクトルの中根氏とFORCAS CCOの田口槙吾氏が議論する。

受注に至るまでのプロセスを可視化 再現性を持った営業活動を目指す

—約160万社の企業データベースをもとにしたリード顧客アタック支援クラウド「アタレル」のサービス提供が9月15日に開始されました。

ベクトル
セールステック事業部 部長
中根えりか氏

1987年生まれ、新卒で広告会社へ入社、営業を経て新規事業を立ち上げ。2015年にぐっどを設立。新規事業、特にインサイドセールスの立ち上げ支援を行う。2020年3月よりベクトルのセールステック領域への参入に合わせて参画。9月、サービス責任者としてBtoB企業向け営業支援サービス「アタレル」をローンチ。

中根:働き方改革の推進に伴うデジタル化の波に加え、新型コロナウイルスの影響を受けたテレワークの導入により、これまでの属人的な営業スタイルはますます通用しなくなっています。オンラインを中心に効率性の高い営業スタイルをどのように確立するかが喫緊の課題となっています。

このような状況を受け、ベクトルではマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスの効率化をサポートする、サブスクリプション型モデルのリード顧客アタック支援クラウドサービス「アタレル」を提供することになりました。

—「アタレル」とはどのような経緯で誕生したのでしょうか。

中根:もともと私は、ベクトルグループにおけるセールステック領域の担当として、入社しました。その中で、コロナ禍が起き、従来型の人を介した営業活動がますます難しくなり、BtoB企業におけるマーケティング活動、さらにその先のセールス活動におけるテクノロジー活用が喫緊の課題となっていました。

そうした時代背景のなか、当社の知見をクライアント企業に提供できるのではないか、との考えのもと、「アタレル」の開発に至りました。特に、PR会社として創業したベクトルは、ニュースリリース配信サービスである「PR TIMES」の事業も擁し、その導入企業には大手だけでなく、地域の中小規模の企業も多く存在します。こうした企業に対して、ベクトルとして「アタレル」を通じた新しい支援ができるのではないかと考えています。

「アタレル」を活用することで、営業側、クライアント側双方にとって見込の低い商談に費やす時間がなくなり、生産性の向上につながる。さらにムダを排除することによるリソースの集中で、プロセスの潜在化や進捗の見える化による効率性の向上及び営業組織のデジタルトランスフォーメーション(以下DX)がもたらされると考えています。

—FORCASは2017年にユーザベースの新規事業として設立。それ以来BtoBマーケティングを手掛けていらっしゃいます。昨今のセールステックの課題をどう考えていますか。

FORCAS
執行役員 CCO(Chief Customer Officer)
田口槙吾氏

2016年にユーザベースへ参画し、SPEEDAセールスチームを経て、FORCASの営業責任者として着任し、クライアントのABM(アカウントベースドマーケティング)の実践支援に従事。2018年にFORCAS執行役員 COO(Chief Operating Officer)、2019年よりFORCAS 執行役員 CRO(Chief Revenue Officer)を経て、2020年7月、FORCAS 執行役員 CCO(Chief Customer Officer)に就任。

田口:当社はBtoBのマーケティングのプラットフォーム、その中でもアカウントベースドマーケティング(以下ABM)領域に特化したプラットフォームの提供と導入支援、活用支援を3年にわたり行ってきました。その中でBtoBマーケティングの課題として、最も大きいと感じていたのが、営業とマーケティングの連携。

本来、両者を連携させるための手法としてABMが登場したにも関わらず、その実践を目指すと、またこの問題に直面するというのは課題の根深さを物語っていると思います。

これは日本国内だけの話ではなく、グローバルでも起きている問題です。さらに大企業においては、営業とマーケティングの連携のほか、経営戦略部門も関わる必要があります。経営戦略が描いた市場戦略をマーケティングが具体的な計画に落とし込み、営業が動く。要はこの三者が連携して成果も共有しなければ、川上の戦略の適切性を判断することはできない。このサイクルが回るようになることが今、BtoB企業に求められていることだと思います。

—「アタレル」もソリューションの中に、自然と営業とマーケティングが連携する仕組みが盛り込まれています。

中根:両者の連携が必要なのは、受注に至るまでのプロセスを可視化し、再現できるようになることが属人的な営業を打開する鍵になるからです。

「アタレル」は再現性のベースとなるプロセスの見える化を支援するので、ブラックボックス化しやすい営業活動の進捗管理も可能になります。どういうコミュニケーションをクライアントと取っているのかを理解できれば、営業やマーケティングはどういう風にお客さまを獲得していかなくてはいけないのか、そのプロセスがわかり、次のステップに進むことができます。

アタレルが提供するサービスの4つの特徴。

—お二人はセールステックのトレンドについてどうお考えですか。

田口:先ほどお話したように営業、マーケティング、経営戦略がひとつのチームとなり、共通の施策をどう打っていけるかが重要であり、それがトレンドになると感じています。なぜトレンドかと言えば、この実現が企業のDXと大きく関わっているからです。

連携するうえで必要なのがデータ。各部門に散在していたデータをつなぎ合わせ、さらにそのデータを社内で共有することで、データに基づく適切な経営の意思決定ができるようになるのです。当社への問い合わせも4割ぐらいがDX関連で関心の高さを感じます。

中根:確かにDXはトレンドですね。ただベクトルは地域の中小企業にも顧客が多いのですが、こうした企業ではまだデータ取得のためのツールすら入っていない段階ということも多い。一足飛びに行かなくとも、まずは業務の効率化、顧客の行動や営業担当の行動のオンライン化にシフトすれば、データとして蓄積されて、それによって成功要因が分かります。まず小さいことから始めて、より大きなDXへ移行できるのではないでしょうか。

—コロナ禍でセールステックの浸透やDXの推進には、追い風の状況にあると思います。今後の展望をお聞かせください。

田口:引き続き「営業とマーケティングの連携」を推進していきます。最終的に営業がゴールを決めて売上を立てなければマーケティングの成果は生まれません。両者を連携させ経営における影響を可視化することで、改めてBtoB企業におけるマーケティングやセールステックの重要性の理解促進を図りたいと思っています。

中根:「アタレル」は中小企業の方々にとっても最初に導入できる、使いやすいツールです。オンラインの相談が可能になれば、移動時間がなくなり、1日に相談できる件数が増えるかもしれません。現在、営業の手法と、それを効率化ができる選択肢が増えています。そのお手伝いを「アタレル」のサービスでできたらよいなと思っています。

ベクトルは1993年の創業以来、コミュニケーションに特化して、企業とメディアのリレーション構築の手伝いをしてきました。その知見を生かし、今度は「アタレル」で、企業と営業マンとのリレーションを築いていきたいと思っています。


株式会社ベクトル
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