広告主×広告会社の共創の形 デジタルによるCRMでファンと育てるブランドへ

share

生活者の購買行動が劇的に変化する中、従来よりも顧客のニーズを理解した上でコミュニケーションを行うことが求められている。ヘアカラーブランド「syoss(サイオス)」を展開するヘンケルジャパンでマーケティングを統括する栃谷亜紀子氏と、企業のマーケティング活動を調査・分析のフェーズからマーケティング戦略立案、施策実行まで一気通貫した支援を行うヴェネクトの依田 勇氏に、企業と顧客のつながりを活用する方法を聞いた。

(左)ヴェネクト取締役 依田 勇 氏(右)ヘンケルジャパン ビューティケア・リテール事業本部マーケティング部 栃谷 亜紀子 氏

CRMサービスを活用したマーケティング体制を共創

—「syoss」では顧客の声をマーケティングに活用する仕組みを構築していると聞きました。

栃谷:ヘアカラー製品を扱うブランド「syoss」は、2017年よりヴェネクトさんと協業し、デジタルを中心に戦略的なマーケティング活動を行っています。当時はまだ、ブランドとしてターゲットにすべき顧客の具体的なイメージを描けていない状態。また、私たちが実際に消費者の方にお会いしてインサイトやニーズを理解する機会が少ないという課題もありました。そのような中で、ヴェネクトさんには生活者を基点としたマーケティング戦略や、インフラの構築から施策実行に至るまでを支援していただきました。

依田:その頃ヘンケルさんから消費者とのコミュニケーションを密に取っていきたいというお話をうかがい、ブランドの方向性を踏まえてヘンケルさんがすでに運用されていた会員組織「ビューティパネル」を有効活用する提案を行いました。具体的には2018年に新発売された「カラージェニック」のマーケティング施策からビューティパネルを活用して施策を担当。その後も、マーケティングプロセスや体制の構築、運用を行っています。

栃谷:ビューティパネルのデータベースは2015年から導入していましたが、こちらから一方的に登録者にメルマガを送るだけで、せっかくの顧客データベースを活用できていませんでした。まずは、双方向でのやり取りを可能にするため、2017年から登録者をLINEのコミュニティへ移行させるということを始めました。

私たちが求めていたのは、製品開発などにも積極的に携わり、ブランドを一緒に考えてくれるファン。一方的な広告だけでなく、商品の使い方や美容師からのTipsなど、消費者にとって役に立つ情報も高い頻度で配信して、顧客との関係性を徐々に構築していきました。現在では新製品のモニターやタイアップ記事のモデル募集をはじめ、お客さまのニーズや製品についてのアンケート、インサイト調査や口コミの創出まで、さまざまな用途でビューティパネルの顧客データを活用できています。

2018年のカラージェニック販売開始時はビューティパネルのデータを活用することで、POSデータだけでは見えないニーズを取り入れることができ、生活者が求めているとわかったカラーを中心に展開することができました。また、2020年4月にリニューアル発売したカラートリートメントについても“1回で染まる”というシンプルな便益訴求であえていこうと決断。この決断ができたのはモニターの方からの「一度使っただけでよく染まる」「競合商品ではなかなか染まらない」など、商品の性能へのポジティブな評価コメントのおかげです。

また、発売前にビューティパネルの登録者にサンプリングを行うことで、商品を気に入った熱心なファンの方が評判を広めているという状況も生まれました。4月のカラートリートメントの施策後、広告やWebサイト内のエンゲージメントは、過去の施策と比較してターゲットからの反応が高く、当初の想定を上回っています。「syoss」はカラートリートメントでは後発のブランドであり、競合がひしめく市場にも関わらず、10月には取り扱い店舗が全国で1万3000軒を超える見通しで、店頭での売上はリニューアル前の10倍以上となりました。

1回の施策で終わるのではなく有機的につなげる戦略を立てる

—2社でマーケティング戦略を共創してきた中で、ブランドとして新たな発見はありましたか?

栃谷:ヴェネクトさんとマーケティング戦略を検討する中で学んだのは、製品開発時から製品が生活者の手に届くまで、それぞれの施策を有機的につなげられるということです。

依田:「マーケティング施策を有機的につなぐ」という点で詳細の話をすると、4月にリニューアルしたカラートリートメントでは、LINEで新製品のモニターを募集し、試作を使用したモニターの方から得たフィードバックを製品開発に生かしました。さらに、フィードバックに含まれる感想の内容が新規顧客の興味・購買喚起に対して定性データとして良い影響があるのではと判断。モニターの方の感想を広告やWebサイトに掲載するなど販促活動にも活用しています。モニターの方には熱心なファンやインフルエンサーのように影響力のある方が多く、カラートリートメントのリニューアル発売後にそのような方々から発信された情報が自然と広がっていくコミュニティが形成されています(図)。

このように、モニターの方にいただいた意見を、開発から販促にかけて生かし、有機的なつながりのある戦略をとることができたのです。

栃谷:カラートリートメントの施策は、デジタルマーケティングが有機的につながって成功したキャンペーンのひとつでした。この3年間、ヴェネクトさんとの共創によりブランドとしてマーケティング活動の仕組みが構築され、知見が蓄積されてきました。それが「syoss」のマーケットシェアの向上や、ブランド育成につながっていることを実感しています。

依田:ヘンケルさんとはマーケティング部の方々はもちろん、事業部長やR&D部門の方、営業部の方などさまざまな部署の方と良い関係性を保ちながら支援をさせていただいています。クライアント企業との共創によって、ブランドの価値を生活者に伝え、ブランドのさらなる成長につなげられると考えています。

現在はデジタルを中心とした中長期的な戦略を考えている企業が増えており、ヴェネクトは今後も引き続き良いパートナーとしてクライアント企業への価値提供を行っていきます。

「syoss」は、会員組織のデータベースを生かし、開発から販促にかけて有機的なつながりのあるマーケティング戦略を実施している。

お問い合わせ
ヴェネクト株式会社
TEL:03-5422-7047
MAIL:press@venect.jp
URL:https://www.venect.jp/
 

Follow Us