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社内向けのブランディングも意識したブランドコンセプト — 三菱鉛筆×GRAPH「3&bC」

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『ブレーン』2020年12月号の特集テーマは、「コンセプトからヒットを生む広告と商品デザイン」です。今回は特集の中から、三菱鉛筆「3&bC」の記事をアドタイ限定で全文公開。誌面では他にも、花王「アタックZERO」、江崎グリコ「カフェオーレ」、アクア・ライブ・インベストメント「カワスイ 川崎水族館」など、さまざまな事例を紹介しています。

三菱鉛筆は2020年10月19日、デザイン会社のGRAPH と協業し新ブランド「3&bC」をスタート。高機能なボールペン「3&bC Pt7」を発売した。

CONCEPT:とらわれない

3&bC Pt7。ボディーの名前は左からtorii、midori、ki、neue gray、sumi、sumire。

既存商品の付加価値を高める

「3&bC(スリーアンドビーシー)」は、「とらわれない」というコンセプトを掲げた文房具ブランドだ。一体どんなブランドなのか。ブランディングを手がけるGRAPH 北川一成さんは、次のように説明する。「3&bCは、既成概念にとらわれず、自由な発想で三菱鉛筆の既存商品の付加価値を高めていく、アートとテクノロジーをテーマにした実験的なブランド。スペックは同じでも、色やタイポグラフィなどを変えたり、ファッションブランドなどとコラボレーションしたり、3&bC 独自の見立てで新しい価値が生み出せると考えており、既存商品とは違った販路も開拓していく」。

3&bC の第1 弾商品である「Pt7(ピーティーセブン)」は、三菱鉛筆が2001年から販売している加圧ボールペン「パワータンク」の0.7 ミリタイプとスペックは同じだ。「パワータンク」の特徴は、上向きでも濡れた紙にも、氷点下でも書けること。それを今回の3&bC では、商品名とロゴを変え、ボディーのデザインや素材はそのまま、色を一新した。インクは黒色で、軸は全6色。パワータンクは200円(税別)だが、Pt7は600円(同)で販売する。

「色を変えることで、色が演出する“ポップさ”と凹凸のある立体的なフォルムの“ゴツさ”とで、ダブルイメージを生み出した。他ブランドとのコラボ商品はアート性がより高まり、トリプルイメージになる」と北川さん。パワータンクのボディーには2 種類の素材が使われており、それぞれを着色して色を合わせている。素材の異なるものをひとつの色に統一するのは容易ではなく、検証は何度も繰り返して行われたという。

3&bC のユニークな点は、ブランドを立ち上げた狙いのひとつが、三菱鉛筆社内のデザインに対する意識改革であることだ。日本の文具業界をけん引する筆記具メーカーのひとつである同社だが、国内の文具・事務用品の市場は成熟し、もはや機能性の高さだけでは差異化が難しいこともある。そのため機能性に加えて、デザインやストーリーなど情緒的価値を付加した商品開発にも着手。3&bCの取り組みは、その一環だ。

三菱鉛筆独自の技術力に情緒的価値をかけ合わせることで、唯一無二の価値の創出を目指す。三菱鉛筆の既存商品の価値を見直していくために、「とらわれない」に加えて、「very open」「no rules」「live differently」というサブコンセプトも設定。今後はまず、ミナ ペルホネンとコラボした限定モデルを発売予定だという。

2021年2月から発売予定の3&bC Pt7 ×minä perhonen 「peace porter bird」。デザイナー 皆川明さんによる描き下ろしの“peaceporter bird” を施した限定モデル。本体価格1100 円(税別)。/ photograph:Hua Wang

GRAPH 代表取締役/デザイナー 北川一成さん。

 

『ブレーン』2020年12月号

【特集】
コンセプトからヒットを生む広告と商品デザイン

・花王「アタックZERO」
・クラシエホームプロダクツ「mä&më」
・江崎グリコ「カフェオーレ」
・アクア・ライブ・インベストメント「カワスイ 川崎水族館」
・三菱鉛筆×GRAPH「3&bC」
・トリコ「FUJIMI」
・ヤギ「VIBTEX」
・タガヤ「Nœud.TOKYO」
・豊上製菓「信州アップルパイ研究所Q」
・伊良コーラ
・パッケージデザインの好意度をAIで評価ヒットを生むことは可能か/小川亮(プラグ)
 

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・事例にみるブランデッドコンテンツの定義と役割/眞鍋海里(PARTY)
・ビームス「会いたい。」
・経済産業省が補助金でサポート対象となる映像コンテンツとは?

 
【青山デザイン会議】
デジタル全盛時代に見直されるアナログの価値

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