若者が考える「かっこいい」の形から、これからの企業活動が見えた!

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【前回記事】「Z世代にとって、かっこよさは外見よりも、内面重視。」はこちら

企業がZ世代(1990年代後半~2000年代生まれ)をターゲットにプロモーションする際、「SNSを活用すれば反応を得られるだろう」とアプローチを図ることが多いことと思います。
 
しかし、実際はそう簡単にZ世代を動かすことはできません。メディアの記事や若者へのインタビューから普段使っているSNSや流行りの遊びなどの情報を収集したとしても、若者の価値観を深く理解するところまで至っていないケースが多々あります。Z世代の実像と、企業が思い描くZ世代像のギャップを埋める手立てが必要なのです。
 
宣伝会議では、電通若者研究部に所属する電通の小島雄一郎氏を講師に迎え、「Z世代を動かすマーケティング基礎講座」を開講。本記事では、同じく電通若者研究部から、電通の用丸雅也氏が最新のZ世代の潮流を読み解くヒントを紹介します。

電通若者研究部が毎月大学生たちと行っている「ツギクルワークショップ」。前回の記事でも紹介したように、このワークショップを通じて、Z世代の若者たちは、「スタンスを持っていることがかっこいい」という価値観を持っていることが分かりました。

「スタンスを持っていることが重要」というのは、企業活動においても同じことが言えます。企業の振る舞いにもあらゆる角度から視線が注がれているからです。ジェンダー視点で問題がないか?公衆衛生上の観点から問題がないか?などさまざまな配慮が必要な時代。では、企業のスタンスに必要なものは何でしょうか?

キーワードは、「常識に反するとも、思想を持つ」「地球/環境視点を持つ」「嘘をつかず、透明性がある」の3つ。大学生たちの意見まとめた「ツギクルレポート」と、実際の企業活動事例をもとに、以下に解説していきます。

筆者作成

常識に反するとも、思想を持つ

ひとつ目は、「常識に反するとも、思想を持つ」です。「芸能人は政治の話をしてはいけない。」「女性は〇〇しなければならない」などの常識や慣習にNOと言えることや、自らのオピニオンを発信できることが、「かっこいい」の重要な要素になっています。

ツギクルレポートでは、「女性だからといって、体にフィットした服は着ない」と発信しているビリー・アイリッシュさんや、「芸能人だからといって、『政治について発言をしない』ことをしない」と言っているテイラー・スウィフトさんの名前も挙げ、彼女たちの「私はこれをやりません!」と宣言する姿勢がかっこいいという、「NOT TO DO宣言」と題したレポートもありました。

また、自分の容姿を自虐ネタにして笑いを取るのではなく、女性としての生き方も大事にしつつ、笑いも妥協しないスタンスの女芸人がかっこいいという意見も。

企業の広告事例ではアメリカで展開されたナイキの「Dream Crazy」が印象的です。アフリカ系米国人への警察暴力に抗議し、米国国歌の斉唱時に起立を拒否したコリン・キャパニックさんを広告に起用することで、人種差別問題に対してナイキの明確なスタンスを示しました。

また日本では、パンテーンが学校での地毛の黒染め指導がなくなることを目指して「#この髪どうしてダメですか」を実施。ヘアケアブランドとしてスタンスを表明するだけでなく、行動を起こしたことでZ世代の支持を集めました。

地球/環境視点を持つ

2つ目が地球/環境視点です。消費の選択肢が増え、「安くていいもの」が当たり前になる中、「明確な理由があるから選ぶ」という“イミ消費”の時代になってきています。その“イミ”の多くを占めるのが、地球や環境に対する視点を持っているかどうかです。

ツギクルレポートの中には、大量生産・大量消費ではなく、地球環境保護の視点を持っている企業の商品を選ぶという「サステナブルな生き方こそが真のかっこよさ」と題したものが。サステナブル消費を訴える水原希子さんや、古着回収活動やフードロス削減に取り組む企業をツギクル「かっこいい」の形として例示してくれました。自社の利益だけを考えるのではなく、先を見通してサステナブル、エシカルな視点を持ち、実行している企業を応援したくなる、という若者の声も。

企業の事例として、ユーグレナの取り組みがあります。同社は創業15周年を迎えた2020年、経営理念やビジョン、スローガンを廃止し、将来にわたって変わることのない哲学「ユーグレナ・フィロソフィー」として「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」を掲げました。未来をつくる企業として、東証一部上場企業初の18歳以下のCFOを募集・選出するなど、若年層を巻き込むことで若者から支持を集めています。

嘘をつかず、透明性がある

3つ目が、「嘘をつかず、透明性がある」こと。SNSが浸透したことで、情報の透明性が高まり、物事の裏側まで見えるようになりました。企業の言動の不一致をはじめ、嘘はバレる時代。広告だけで良いことを言っている企業や、身の丈を超えたことを言っているブランドは支持されません。

ツギクルレポートでは、NiziUを生み出した「Nizi Project」といったオーディション番組を始め、アーティストを完成形として売り出すのではなく、成長するプロセスがあるから支持したくなる、という意見がありました。「共感型かっこいい」という考え方です。結果だけでなくプロセスが見える時代だからこそ、かっこいいと感じる要素に”共感”の重要性が増しているのではないでしょうか。

企業においては、オリオンビールが、売上の良いストロング系商品を「アルコール中毒を助長している」として、あえて廃止したことが話題になりました。また、Netflixが1年以上ログインのない休眠アカウントを自動で退会にするシステムにしたことも、売上のためだけに嘘をつかず、透明性が高い企業活動だとしてZ世代の支持を集めています。

言うだけではなく、その先の行動に価値がある

今回紹介した学生たちのツギクルレポートや企業の事例から読み取れることとして重要なのは、これらの3つの要素をただ宣言するだけでなく、実際に行動を起こしているということです。

誰もが発信できる時代だからこそ、「言う」こと自体の価値は下がっています。企業はメッセージ開発だけでなく、「どうアクションをつくっていくか」の視点が重要なのではないでしょうか。

用丸雅也(ようまるまさや)
電通 第2クリエーティブプランニング局 / 電通若者研究部
クリエーティブストラテジスト

2017年、東京大学法学部を卒業後、電通に入社。クリエーティブ局での業務の傍ら、
若者から世の中に前向きな空気感をつくりたいという思いを形にすべく、電通若者研究部としても活動。
Public Relationsの考え方を軸足に置いた戦略・クリエイティブ開発が強み。
趣味はストリートダンスと積極的健康(睡眠・断食・サウナ・筋トレ・スキンケアなど)。

 

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本講座では、テレビさえ部屋にないZ世代に対し、SNS施策一辺倒から脱却するために、Z世代に対して示すべき企業スタンスを実際の日本企業の成功・失敗事例を交えて深掘ります。また、各SNSなどプラットフォーム別でZ世代に対してどうアプローチすればいいのか、その手法をアプローチする際のメソッドに落とし込みます。
 
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