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変わる生活者の移動コンテクストに寄り添い、OOHは独自進化へ

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「OUT OH HOMEマーケティング」成功のカギとは

第3部は、堤氏、中里氏、彦谷氏によるパネルディスカッション。第1部の移動者の変化について所感を問われた堤氏は「自動車メーカーとしても、生活必需者と意味的移動を選ぶことができれば、より生活を豊かにすることができるのではないか」と話した。進化を続ける自動運転技術にも触れながら、移動中の社内での過ごし方も現在の常識では考えられない可能性が生まれる「今は車の価値を変える大きな転換点にいる」(堤氏)と指摘した。

「『移動者』というターゲティングの価値とは?」という問いについて、中里氏は生活者の買い物の3分の1は移動中に決められているというデータを紹介。移動中の人に刺激を与えることで行動にダイレクトに変化を起こせる。さらに中里氏は「“移動デザイン時代”に移動者をターゲットにすることは行動ターゲティングであると同時に価値観ターゲティングでもあり、大いに意味がある」と話す。彦谷氏からは「移動者ターゲティングのタッチポイントとしてはOOHになると思うが、もう少し場の持つ意味やタイミングも、点ではなく俯瞰的に見る必要がある」という指摘もあった。

次に「OUT OF HOMEマーケティング」はどのような企業やカテゴリーに有効なのでしょう?その際、コミュニケーション上のポイントは、という問いが投げかけられた。彦谷氏は「OOHにはいろいろな使い方ができ、企業やカテゴリーを選ばず、広告にも販促にも有効。だから何を目的に使うか決めることが大切。テレビなどの他メディアと同じ素材を使うのではなく、役割に合わせたクリエイティブを使うと良い」と提案した。堤氏は多くの人が運転中に聞くラジオも一種のOOHだと指摘。「今後、サイネージなどでDOOHも広がるとカスタマージャーニーがもっとリッチにできるのではないか」と期待した。

OOHのクリエイティブに関しての質問では、中里氏が「OOHは他の広告メディアと視聴環境が明らかに違う。OOHが嫌われないメディアなのは生活者の行動を遮らないから。ただしそれは生活者にスルーされやすいということでもある。移動者の視線を集められる科学が進歩すれば体験価値はもっと高められる」と話した。彦谷氏はMove Design Labが構築したOOHのクリエイティブに関する仮説「CATCH&HOLD」を紹介。広告を見た人の視線を奪い、離さない要素に関する仮説検証を進めていると話した。

今後の展開と展望について、中里氏はデジタルシフトで生活者が絶対的に優位になるなかで、好むと好まざるに関わらず従来型の広告フォーマットは生活者に受け入れられない時代になると予想。そこで重要になるのは人に寄り添う「ピープルベース」の視点だが、それはオーディエンスファーストが絶対であると指摘。ひとりの人を、デバイスを問わず追いかけることができるようになったが、果たしてそれが生活者のためになっているのか考えないといけないと指摘する。彦谷氏は「コロナで生活者の移動が変わることで、OOHメディアも大きな変革期を迎える。さまざまな企業の方とも意見を交換、共有しながら私たちMove Design Labでも研究を進められればと考えている」と話した。

堤氏は広告主の立場から、生活必需移動から意味的移動へと移動の意味が変化することでコミュニケーションづくりも変化が求められると話した。広告も含めたコミュニケーションで移動の価値を表現することが、Withコロナ時代にどのような意味を持つのかを意識することの必要性についても触れた。最後に堤氏は「OOHにもサイエンスが加わって、今までにないものができるようになるのではと感じた」とOOHへの期待を話した。


お問い合わせ
Move Design Lab(株式会社ジェイアール東日本企画)

URL:https://www.jeki.co.jp/field/move_design_lab/