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DXでこれまでにない顧客体験をJINS新サービス開発の裏側

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アイウエアブランド「JINS」を運営するジンズは、アプリで眼鏡を注文し店舗で受け取れるサービス「CLICK&GO」を昨秋に提供開始した。ジンズの濱田卓男氏と、2015年の公式アプリの開発から同社のDX施策に伴走してきたからくり代表取締役の中本悠太氏に、近年の取り組みについて聞いた。

左から、ジンズ コミュニケーション本部 CXマネジメント部 濱田 卓男 氏、
からくり 代表取締役 中本 悠太 氏、
からくり 執行役員兼DXソリューション 営業部部長 森島 航 氏、
からくり DXソリューション営業部 マーケティング グループリーダー 照屋 俊佑 氏

目的は「待ち時間の削減」

—DXをめぐるJINSの戦略についてお聞かせください。

濱田:JINSでは、従来の不明瞭な価格設定ではなく、レンズ代込みの明瞭な価格設定での眼鏡販売を主軸としています。「眼鏡はオーダーし終わるまで価格が分からない」「受け取りは数日後」というそれまでの“当たり前”を覆す、新しい購入体験を提供し続けてきました。デジタル施策においても、今までの既成概念を壊すようなアプローチを常に考えています。

その一例が、2020年10月にローンチした新サービス「CLICK&GO」です。JINS公式アプリまたはLINEで商品選びから決済までを事前に完了し、店舗で待ち時間なく眼鏡を受け取ることができます。視力測定やレンズの加工のための待ち時間がなくなることで店舗での滞在時間が短縮され、コロナ禍での新しい生活様式にも配慮しています。

アプリ開発の背景には、「お客さまの待ち時間を削減する」という狙いがありました。繁忙時は視力測定などのご案内までにお時間をいただくことがあります。お客さまの大切な時間を奪うことなく眼鏡を購入してもらうために進めてきた施策です。からくりさんには、開発会社やベンダー、当社も含んで複数社とのやり取りをリードしていただきながら、アプリの開発を進めてきました。

中本:ジンズさんが店舗で取ったアンケートによると、「待ち時間が長い」と感じている方が多いことが分かりました。そういったあまり外には出しにくい情報を当社にも共有していただいたおかげで、課題解決のための提案がしやすかったですね。

濱田:こちら側の要望をそのまま受け入れるだけの開発会社も多いなかで、「このほうがいいのでは」と提案をいただけたのはとてもありがたかったです。

—からくりでは、機能実装のみならず、サービス体験のプロセス設計も提案しているのですか。

中本:そうですね。今回のケースでは、実現したい成果やアプリユーザーのニーズについて一緒に議論し、ジンズさんの「システム開発部の分室」のような位置付けとして、継続的にこちらから提案させていただいています。

アプリユーザーをどう広げていくかも重要な課題のひとつです。お客さまが眼鏡を購入するどのタイミングでアプリ案内をするとインストール率が良いのか、どのくらいのクーポンの割引率がいいのかなどのテストを数店舗で実施しました。その結果をもとに、クーポンの割引率を設定。アプリ案内は検眼の測定待ちの間にフライヤーと一緒に説明するなど、互いに意見を出し合いながら設計していきました。

濱田:アプリはやはりインストールと初回利用のハードルが高いので、利用促進の対策を一緒に考えていただきました。要件定義前にユーザーに取ったアンケートで、要望が圧倒的に多かったのがクーポン機能と保証書の電子化。それらを、いかに使いやすいUIで使っていただけるかを議論しながら進めていきました。

「CLICK&GO」サービス概要

JINSの公式アプリまたはLINEで商品選びから決済までを事前に完了し、店舗で眼鏡を受け取ることができる。店舗での待ち時間が解消されるほか、非接触かつキャッシュレス決済で、コロナ禍後の新常態にも対応する。

DXで新たな顧客体験を提供

—チームとしてアプリの企画・開発を進めて感じたことは。

濱田:からくりさんは優秀な方が多く、レスポンスも速くて助かっています。私はアプリについての知見があるわけではないのですが、「こういうことを実現したいんです」という要望に対して、「こういう技術で実現できますよ」と丁寧に教えていただきました。

また、開発後の運用に関しましても、安定的かつ継続的に運用できるシステム構築をしていただき、当社の要望に沿った運用ができている状態です。

中本:ジンズさんは新しい機能体験の提供に前向きに取り組んでくださいます。技術面で先進的なことを提案すると「そちらの方向で」と同意をいただくことが多いですね。当時、マーケティングオートメーションツールを商品サイトやECサイトに入れているところはいくつかありましたが、この規模でアプリに導入しているところは日本では珍しかったと思います。これが実現できたのは、新しいことを積極的に受け入れる社風や企業姿勢によるものだと感じています。

企画から開発、改善までをサポート

からくりは大規模ユーザーを抱えるアプリの開発実績が豊富。サービスの企画から設計、デザイン、ローンチ後の改善に至るまで、ニーズに合ったエンジニアチームが一貫してサポートしている。

—今後の展望をお聞かせください。

濱田:引き続き、DXやOMOの文脈で新しいサービスを生み出していこうと取り組んでおり、現在進行形でお客さまに便利に使っていただけるサービスを開発中です。そうしたなかで、外部パートナーの協力は必須。こちらが「こういうことをやりたいんですけど」と言うだけではなくて、「こういうことをやってみたらどうですか」という提案もいただけるからくりさんは、非常に重要なパートナーです。

中本:ジンズさんの取り組みは常に先進的で、O2OからOMOへの移行が実践できている会社です。今後、店舗をメインとしている小売業でも、店舗設計ありきではなくオンライン・オフライン含めた顧客体験ありきで販売するメーカーが増えてくると思っています。ジンズさんは早期からそこへ到達していますし、そうした考えを持った企業様とプロジェクトを取り組んでいけることを嬉しく思います。さらに豊かな顧客体験の提供に、アプリ開発の観点から少しでも貢献していきたいと考えています。



からくり株式会社
https://caraquri.com/
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MAIL:info@caraquri.com