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【広報担当必見】ネット炎上レポート2021年3月版 ~アルコール飲料のCM考察も~

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調査背景・概要

株式会社エルテスでは、公開されているSNSデータを独自に収集・分析し、2019年8月より毎月ネット炎上レポートを公開しております。企業の広報やリスク管理を行う方々に炎上トレンドをお伝えすることで、自社のレピュテーション保護を行っていただきたいという想いを持ち、作成しております。

エルテスの定義するネット炎上
▼定義
ネット炎上とは、オフライン・オンラインでの行動や発言に対して、ネット上で批判が殺到し、拡散している状態を指します。対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較して有意に多いことが条件となります。

▼炎上事例の収集方法
SNSやメディアの中で、批判が殺到しやすい媒体を複数選定し、常時ウォッチング。その中で、上記の条件を満たす事象を確認した場合、炎上事例と認定しています。

ネット炎上レポート

 

2021年3月のネット炎上トレンド

3月に起きた炎上に関して対象を区分したところ、最も割合が多かったのは「企業・団体」の80%(前月比+18%)です。2番目に多いのは「個人・著名人」で9%(前月比-13%)、そして「マスメディア」、「その他」と続きます。

先月と比べて「企業・団体」の比率が増加していますが、これは他の期間と比較しても高い水準にあります。その内訳として目立つのが、企業による「情報漏えい」の問題でした。

中でも特に、クラウドサービスの設定ミスによる問題が注目を集めました。近年、急速に導入が進むクラウドサービスはサーバやソフトウェアの導入が不要で、またシステムトラブルへの対応やセキュリティ対策もベンダー側が自動で対応してくれるため、利便性が高い点が人気のポイントです。その一方、利用に際する設定はユーザー側が責任を持たなくてはいけないケースが多く、今回話題となったのはそれらの設定ミスによって起きた情報漏洩についてでした。

これらは比較的新しいタイプのインシデントであり、また多くの有名企業が対象となったため、話題化しやすかったと考えられます。

 

2021年3月の炎上理解の事例

3月9日、新発売のアルコール飲料のCMに関し、出演した人気女性俳優の歌声が「すっごい不愉快」とする記事がネット上の週刊誌メディアに掲載されました。

同様の記事は他のネットニュース等でも散見され、「歌い方があざとい」「イライラする」などと批判する意見と、「可愛い」「自分は好き」と評価する意見に賛否両論、などと書かれました。ちなみに同ブランドは数年前にも、人気女性俳優が画面越しに呼びかけるCMがあざとさのギリギリを狙って話題化しました。今回起用された女性俳優もあざといキャラクターとして注目を集めており、以前と近しい路線を踏襲したものと思われます。

ネットニュースの記事中では「すさまじい酷評の嵐」や「物議をかもしている」などとも書かれていましたが、その実態はどのようなものだったでしょうか。

CM放映開始直後はTwitterを中心に投稿が見られましたが、賛否は拮抗しており「すさまじい酷評の嵐」という状況ではありませんでした。そして投稿が大きく増えたのは大手ネットメディアにこのCM批判について掲載された3/14頃です。このタイミングで、2つの変化が起きました。

一つ目は擁護する意見の登場です。3/14に大手ネットメディアがSNSでの批判を掲載した直後「この程度で不愉快と批判するのもおかしい」という意見が散見されました。批判に偏った言論に違和感を覚えた人々が反論をしたという恰好です。こうした擁護の有無が、話題が炎上か否かを分ける大きなポイントと言えます。

二つ目の変化は、Twitterではなく匿名掲示板で一気に話題になったことです。それに伴い、話題の内容が「女性俳優」や「ブランド」だけでなく、飲料の原産国である韓国に対するバッシングが入り混じるようになりました。これはCMに対する意見というより、従来から韓国に対する嫌悪感を抱いていたユーザーが話題に便乗したというのが実態に近いかも知れません。こうした本質から外れた批判が話題の一定量を占める形となりました。

こちらのCMをめぐっては、おそらくギリギリの線を狙ったクリエイティブから一定の賛否は想定していたと思われます。また近年は有名人の炎上が記事化されやすい傾向にあるため、各種ネットニュースへの取り上げさえも織り込んでいた可能性があります。

情緒的な好き嫌いは個人の主観によるところが多く、全ての批判を回避することは不可能です。人を傷つけたり不適切行為を助長しない限り、ある程度の批判を覚悟して挑むことはクリエイティブの現場ではあり得ることだと思います。批判の全てに怯えるのではなく、その本質を見極めることが重要だということがこのケースから読み解けます。

まとめ

2021年3月に起きた炎上は、企業による「情報漏えい」の割合が高く、その中でもクラウドサービスの設定ミスという新しいタイプの情報漏洩が耳目を集めたことが特徴的でした。

また、アルコール飲料のCMに関して話題となりましたが、こちらは炎上という現象を理解するうえでは学ぶべき点が多いケースでした。

ネット上では企業に対して個人が直接批判することが可能なため、批判にさらされた側としては、とにかく謝罪や弁明をすべきと考えがちですが、批判の中には「好き嫌い」といった個人の主観によるものも含まれます。個人の主観全てに沿うのは困難であり、一定数の「嫌い」「気にくわない」といった意見が含まれるのは当然の結果と言えます。

その批判の中で、人を傷つけたり不適切な行為を助長するなど、社会に悪影響を及ぼす問題が指摘されているようであれば誠実に対応していくべきです。そのためにも全ての批判的な意見に踊らされるのではなく、ネット上の論調を正しく見極めることが肝要です。


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