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熊本・天草でとらふぐ養殖を行う企業が広報を強化したのはなぜか

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ふく成は、熊本県天草市御所浦町の横浦島でとらふぐと真鯛の養殖を手がけている。従業員は14人(2021年5月時点)。先々代から60年にわたり養殖業を続けており、現在はオンラインショップで販売し、全国にファンを持つ。
御所浦では40年以上前から、とらふぐ養殖がされており、生産量は全国2位。昨今では、firesh™という特殊冷凍技術を採用し、それまで生でしか届けられなかった魚を、鮮度を落とさずに冷凍でも届けられるようになったという。
今回は、同社で初めて広報活動を行うに至った経緯について、『第31期 広報担当者養成講座』を修了した専務取締役の平尾有希氏に聞いた。

ふく成
専務取締役 
平尾 有希氏

—平尾さんは「家業」を継がれたのですね。

3姉妹の長女で、幼い頃から周囲に「跡継ぎになるんだぞ」と言われ続けてきました。私には「自分の人生だから自由にしたい」という思いがあり、跡を継ぐのが嫌でした。高校卒業とともに親元を離れ、短大で経済と経営を学び、卒業後は福岡・天神の服飾店で働いていました。当時は両親と疎遠になり、口もきいてもらえませんでした。

しかし、働き始めて束の間、20歳の時に父がガンにかかり、熊本に帰省しました。そこで初めて「父がいなくなったら自分がしっかりしなくては」と思うようになりました。

そして「会社を回すにはお金のスキルが必要だ」考え、銀行に就職。24歳の時に、父の飲食店の経営を引き継ぎました。

29歳で結婚し、31歳で父から全ての事業を夫とともに譲り受けました。そこから事業拡大のために、熊本地震の3カ月後ではありましたが、2016年に法人化しました。

その後、顧客を熊本県内から関東・関西に広げることで売上が伸びました。ただ2020年2月からのコロナ禍で、卸では魚が全く売れなくなりました。そのタイミングですぐにECサイトのプラットフォーム活用を始め、売上が月次で207%となったこともありました。

振り返ると、ピンチに陥ったときが一番のチャンスになっていたと感じます。

—広報活動の価値に気付いたきっかけは何でしたか。

2020年6月に、ECサイトのプラットフォームさんが、テレビの情報番組に露出をするきっかけをつくってくれました。先方がテレビに取材される際に、私どもの商品をサイト内で「水産物の売れ筋2位」と紹介いただいたのです。

このあと爆発的に注文が入り、1日で300件以上の注文があったんです。想像していた5倍以上の反響でした。

そこから、地元のテレビ局のTKU(テレビ熊本)で、当社を2週連続で放送していただくなど、「うちばかり取材していただいて良いのか」と思うこともありました。

営業して、お客様1件ごとに足を運んでご注文をいただくことも重要ですが、メディアで露出されると、その効果が目に見えて驚きました。

—2021年2月のオンライン開講『第31期 広報担当者養成講座』を受講した経緯は。

先ほどの広報成果は、私達が働きかけたものではなく、周囲の方の紹介があって得られたものでした。

私も「経営に携わる立場として、できる限り売上をあげたい。もっと広報を勉強して自らの働きかけでこうした成果を出したい」と社長と話しました。そしたらこの講座を見つけてきてくれて、「これを受けたらいいやん」と言ってくれました。このように、社長も広報を理解し、前向きに応援してくれました。

また、オンライン講座で、熊本から受講ができるという点もありがたかったです。

—広報未経験での受講でしたが、内容は難しかったですか。

知識ゼロの私にとっては、どれも勉強になることしかなかったです。そして講師の皆さんが、初心者にも分かりやすく話してくれたことで、しっかり学ぶことができました。

—子育てと経営の傍ら受講を続けるにあたり、工夫したことはありますか。

講義時間の19~21時は普段、食事やお風呂と寝かしつけなど、ちょうど子育てで忙しい時間です。夫に金曜日は私の代役してもらうようにしました。

—講義で特に学びになったことを教えてください。

メディアの方が登壇する講義で、「へぇ」と思えることを発信する、ということを学びました。リリースのタイトルを書く時にもっとも意識したことです。

そして、リリースを作成したことがなかったため、書き方自体を知らなかったのですが、文章・写真・余白を含めた全体のリリースの見せ方が特に役立っています。

—学びを実践してどんな成果が出ましたか。

初めて作成して取材につながったプレスリリース

初めてプレスリリースを作成して発信したところ、新聞・テレビの記者の方から反響があり、実際に報道されました。

講座受講期間中の2021年5月に、「熊本県こども食堂ネットワークに、商品寄贈の贈呈式開催」 というリリースを配信しました。早速、TKUの方から「取材班を向かわせます」と返事がきて嬉しかったです。

また、この贈呈式は、当社が企画・運営をしました。こうしたイベントの企画運営そのものも初めてで、ドキドキしながら開催しました。

この贈呈式について、『くまもと経済』という地元の経済誌の方にも取材いただき、Web版で記事が掲載されました。

—メディアの露出を経て、周囲の方の反響は変わりましたか。

一番の変化は、従業員の皆さんが当社で働くことにより誇りを感じるようになったことです。「今度テレビに出るんだよ!」と家族やお客様に伝えたり、「テレビを見たよ!」という電話が事務所にきて鳴り止まなかったり、市場で声をかけられることが増えた、という声を多く聞きました。また、メディアで露出する分、身が引き締まる思いで仕事に励むようになり、モチベーションが上がったという声がよく聞かれました。

—経営の観点から、これから実践したい広報活動と狙いを教えてください。

当社には、「子どもたちの未来へ食をつなぐ」というミッションがあります。この実現のために、持続可能な水産業を目指し、事業をよりよい状態で次世代にバトンタッチする経営をしたいです。そのためにも、当社と商品の魅力を認知していただく攻めの広報をしていきたいです。

そして、広報の対象を国内で留めず、世界で「持続可能な水産業を行う企業」として当社が認知されるように、学んだ内容を実践していきます。

広報の考え方を体系的に習得するため、平尾氏が受講した講座は……
広報担当者養成講座でした。
 
広報業務の重要性が高まる一方で、業務の基本、また新常態で広報がカバーする分野を実務に活かせるレベルまでを学ぶ機会は少ないものです。

 
本講座は、広報に求められる資質、社内情報が集まる仕組み、報道関係者への対応など広報が身につけておきたい基本を全10回でマスターできるカリキュラムとなっています。
 

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株式会社宣伝会議 教育事業部
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info-educ@sendenkaigi.co.jp