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ブランド動画って必要ですか? 存在意義を改めて問い直す

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動画共有サイトやSNSが普及するに伴い、私たちが情報、特に広告に接する機会は増えている。しかし広告は、必ずしも歓迎されるわけではない。ユーザーに配慮しない広告は不快感を与え、ブランドイメージを損ねてしまう。そもそも見てもらえない、ということもある。こうした状況下で、なぜブランド動画を作るのか。その理由は絶えず問い直す必要がある。

なぜブランド動画を作るのか

「ブランド動画は何のために制作するのか、答えられますか」——。

レノボ・ジャパンのコンシューマーマーケティング本部本部長などを務める越智道夫氏は開口一番、こんな疑問を提示した。

越智氏の答えは「ブランドを強くするため。そしてブランドが強ければ利益に貢献できる」というものだ。同氏はカンターなどの調査結果を引きながら、「ブランド価値の高い企業ほど、新型コロナウイルス感染症の拡大下でも株価の落ち込みが低く、また、2008年のリーマン・ショック時にも回復が早かった」と述べる。

「好調のときに業績が伸びるのは当然。強いブランドの本領が発揮されるのは厳しいとき」(越智氏)

しかし、どうすればブランドを強化できるのか。そしてそのためのブランド動画は、どのように設計すればいいのか。何より、予算にも限りがある。

「まずよくある誤解としては、いわゆる新商品プロモーション動画や、シーズナル(季節性)のプロモーション動画などと、ブランド動画は両立する。もっと言えば、毎回、それらの動画を制作する際にもブランドイメージの強化を意識すべき」(越智氏)

 
さらに越智氏は言葉をつなぐ。

「どのキャンペーンでも、自社の商品、ブランドが持つべきブランドイメージを一貫して印象づけることで、ブランド資産(エクイティ)が高まる。ブランド・エクイティこそ、いわゆる長期的なブランド選択で優位に立つことに寄与するもの」(越智氏)

ブランドイメージの選び方

では、自社が持つべきブランドイメージとはどのようなものか。そして、それをいかにして決めればよいのか。越智氏は、「ブランドイメージは、カテゴリー全体で共有するもの、自社ブランドだけで専有するものとがある」と話す。

たとえば、『香りがいい』というブランドイメージはいくつかのブランドが持っているが、『先進的』というブランドイメージはあるブランドしか持っていない、といったことだ。

消費者調査をすると、競合ブランドも持っているブランドイメージ、特定のブランドしか持っていないブランドイメージ、自社しか持っていないブランドイメージがわかる。そして、売上高や市場シェアへの影響を踏まえながら、自社が持つべきものを選定する。

ブランドイメージを視聴者に印象づけるのが広告クリエイティブ(表現)だ。クリエイティブの中にはブランドイメージ、さらには他人に話したくなるか、といった伝播性、そして、ブランドコンセプト(パーパス)を込める。「これがブランド構築に重要な、ブランドの意義や差異点を伝えるのに重要」と越智氏は話す。一方、思い起こしてもらうための想起性については、どれだけ露出するか、という出稿量が関わってくる。

こうして定めたことは、制作時にクリエイターにも伝える。商品やサービスの特徴、競合関係にあるブランドはなおのこと、「前述のとおり、共有、専有したいブランドイメージは何か。他人に話したくなるような要素。さらに、なぜこの商品でなければならないか、といった理由(Reason To Believe)」(越智氏)

そして、重要なのが〈感情〉。

「ブランドイメージを強い記憶として残すには、感情と結びつけることが大事。揺さぶりたい感情を込めるよう制作時に依頼するのはもちろんのこと、我々クライアント側も丸投げではなく、きちんと制作に関わることです」(越智氏)

レノボ・ジャパンが制作したブランド動画『One Trick Pony』。日本の若者の自己肯定感が低いという調査に基づき、レノボ製品は新たなスキルを得て、高めていくためのもの、といった点から、ブランドパーパス(存在意義)を策定。冴えない少年が自分の才能に出会うまでを描いた。

ストーリーはなぜ重要なのか

「コンテンツとして認識してもらう、共感を得て、記憶に残ることで行動につながりやすい」と話すのは、アトムストーリーの村上賢太代表だ。

アトムストーリーはこれまで300社以上の企業のPRやブランディング、採用のための動画を作成してきた企業。いわゆる「パラパラ漫画」風の映像表現を強みとする。パラパラ漫画にすることでやわらかく、わかりやすい表現ができる上、撮影費や、タレントやモデルの権利費などが不要のため、実写映像の3分の1の費用で制作できる。また、動画以外にもパンフレット、デジタルサイネージやWebサイトなど、複数のメディアに転用しやすい点も強みだ。

そごう千葉店が2019年に自社のTwitterアカウントに投稿した「母の日」のパラパラ漫画ムービーも、アトムストーリーが制作した。この動画は11万9200回再生され、リツイートは約3900回されている。再生時間は1分15秒と長めだが、「長いと視聴されづらいという向きもあるが、実際に反響を見ている立場からすると、必ずしもそうではない。どちらかといえば長さよりストーリーのほうが重要。普遍性のあるテーマなら、より多くの人が感情移入をして、コメントやシェアをしてくれる傾向がある」と村上代表は話す。

 
商品やサービス、企業のストーリーを通してメッセージを届け、共感してもらい、行動を促すマーケティング手法、〈ストーリーマーケティング〉こそ、アトムストーリーが得意とする分野だ(ストーリーマーケティングは同社の登録商標)。

 
「ストーリーを生かしたコミュニケーションは、イメージが伝わりやすい、記憶に残りやすいというのが当社の考え。情報過多の時代では、まずは覚えてもらいやすい、選んでもらえる情報提供が必要。ピーター・ドラッカー氏が説いた『マーケティングの目的は、売り込みを不必要にすること』と同じで、ストーリーの力を生かし、押し売りや売り込みのようなことをしなくても、お客さまのほうから手に取る機会を増やすことを主眼としている」(村上代表)


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株式会社アトムストーリー

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