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昭和時代の製品を復刻!コアファンと継続的な関係を築く「アデリアレトロ」

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当然のことながら企業・製品それぞれのブランド別に、対象となる「顧客」がいます。
その「顧客規模」が50億人のブランドもあれば、500人のブランドもあります。
消費者の嗜好性の細分化に合わせて、ブランドごとのセグメントがより緻密になる中で、国内市場におけるマーケティングでは、必ずしも「国民的知名度」が必須とはいえません。
コアファンの声に応え、昭和時代に販売していた復刻し話題となった「アデリアレトロ」シリーズを展開する石塚硝子の事例を紹介します。

※本記事は月刊『宣伝会議』11月号の内容を再編集しています。

[ブランド名]
アデリアレトロ
[販売年月]
2018年11月
[ターゲット層]
(主に)20~40代女性
[現在までの販売数]
約60万個

ファンの声から昭和時代の製品をリメイク

1819年に創業し、ガラス製品メーカーの先駆けとして200年以上様々な製品を手掛けてきた石塚硝子。
同社は2018年11月、昭和時代の家庭で使われ、40年近く前に廃盤となっていたブランド「アデリア」の製品を、現代でも安心して使用できるようリメイク。「アデリアレトロ」シリーズとして発売した。

復刻された「アデリアレトロ」シリーズ。

「アデリアレトロ」の販売は、Instagramで昭和当時の製品の画像を共有し、盛り上がっているコアファンの存在がきっかけであったと、同社市販部 販促マーケティンググループの川島健太郎氏は話す。

「Instagramの投稿を見た当社の社員がアンティークショップなどを調査したところ、『アデリア』ブランドは、アンティーク界隈ではよく知られた存在であることに、改めて気づきました。しかし、当時の製品はコレクターズアイテムとして大切にしていただいているものの、破損の恐れがあるため普段使いはできないとの声も。そこで、当時のように家庭で普段使いしていただけるよう『アデリアレトロ』と名付けた新プロジェクトを立ち上げたのです」(川島氏)。

2018年11月に、まずは小ロット生産したものでテスト販売を実施したところ、コアファンを中心にSNSで情報が拡散。社会的な“昭和レトロブーム”もあり、話題となった。

ブランド存続の鍵はZ世代?「アデリアレトロ」の戦略

「『アデリアレトロ』では、公式InstagramなどのSNSを活用し、ファンとの親交を絶やさないことを重視しています」と川島氏。

SNSでは、生産元であるメーカーにしかできない新商品情報や実際に「アデリアレトロ」を使用している飲食店の紹介、POP UPストアの紹介といった最新情報のほか、昭和当時の「アデリア」の資料も公開。

NSでも紹介された同社の「プリントグラスヒストリー」。

ブランドの歴史に共感するファンの期待に応えられるよう、コミュニケーションを行っている。
Instagramのフォロワー数は3.6万人(10月27日時点)となり、現在も増加を続けている。

川島氏は「デジタルネイティブであるZ世代を中心に、レトロな物や体験を求める現象は世界的に見られています」と話す。

そこで、「アデリアレトロ」では、この現象を一過性のブームで終わらせないため、SNSでコアファンの反応を注視しつつ、メディアでの露出やPOP UP売場展開、イベントやワークショップといった体験の場を設けるなど、顧客とのコンタクトポイントを創出していきたいと展望を語った。 
 

月刊『宣伝会議』11月号(10月1日発売)

 
【特集1】
「国民的知名度は必要ない? 対象顧客に共感される企業・商品の広め方」

 
当然のことながら企業・商品それぞれのブランド別に、対象となる「顧客」がいます。
その「顧客規模」が50億人のブランドもあれば、500人のブランドもあります。
消費者の嗜好性の細分化に合わせて、ブランドごとのセグメントがより緻密になる中で、
国内市場におけるマーケティングでは、必ずしも「国民的知名度」が必須とはいえません。
自社商品の顧客規模に応じた、企業・商品を広める方法は、もっとあるのでは?
特集1では、デジマとマス広告の間、顧客規模に合った
「広告」以外で認知獲得に成功した18事例を紹介します。