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【広報担当必見】2021年10月度事例から学ぶ炎上理解セミナー~クリエイティブが誤解を生んで炎上、気をつけるべきポイントとは~

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調査背景・概要

株式会社エルテスでは、公開されているSNSデータを独自に収集・分析し、2019年8月より毎月ネット炎上レポートを公開しております。企業の広報やリスク管理を行う方々に炎上トレンドをお伝えすることで、自社のレピュテーション保護を行っていただきたいという想いを持ち、作成しております。

エルテスの定義するネット炎上

▼定義
ネット炎上とは、オフライン・オンラインでの行動や発言に対して、ネット上で批判が殺到し、拡散している状態を指します。対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較して有意に多いことが条件となります。

▼炎上事例の収集方法
SNSやメディアの中で、批判が殺到しやすい媒体を複数選定し、常時ウォッチング。その中で、上記の条件を満たす事象を確認した場合、炎上事例と認定しています。

ネット炎上レポート

 

■2021年10月のネット炎上トレンド

10月に最も多かった炎上対象は前月より14ポイント低下したものの「企業・団体」が51%、次いで前月より9ポイント増加した「個人・著名人」が24%となり、「マスメディア」は前月より6ポイント低下し9%となりました。
「企業・団体」の炎上区分の内訳は、前月よりも5ポイント低下した「自治体・団体」が全体の20%を占め、次いで12ポイント低下したものの「サービス」が13%を占めています。「IT」は6ポイント増加し11%、「メーカー」は3ポイント低下し5%、「教育機関」は1ポイント増加の2%という結果になりました。
「企業・団体」を対象とする炎上内容では、23ポイント増加した「不適切発言・行為、失言」が全体の53%を占めています。前月と比較すると大きく増加していますが、平均的な数値に戻っています。次いで、2ポイント低下したものの「顧客クレーム・批判」が35%となっています。「不祥事/事件ニュース」は15ポイント低下の6%となり、6ポイント低下した「情報漏えい/内部告発」と前月と変化のなかった「異物混入」は3%を占める結果となりました。

割合の多かった「不適切発言・行為、失言」のトピックとして、以下のようなケースが見られました。
a)大手WEBサービス運営企業の代表が、コミケでの購入代行を行う高校生のビジネスアイデアを称賛。しかしその内容において、売価よりも高く転売する行為とも取れる内容であったため、批判が殺到。
b)某マッチングアプリ企業が友人紹介を募るための広告で「友達を売ろう」というキャッチコピーを使って炎上しました。

 

■2021年10月の炎上理解の事例

10月15日、某旅行会社の支店が作成したチラシ内に不適切な表現があったとのことで、公式サイトに謝罪が掲載されました。
問題となったチラシは、旅行の時間や場所を分散し密を避ける“ずらし旅”を提唱する内容でしたが、チラシ内での広告文の中に「訪日外国人が少なく風情ある各地へのご旅行を、ぜひこの機会にご検討されてはいかがでしょうか」と記載されていた点が批判の対象となりました。
ずらし旅というコンセプトから考えると、本旨は「インバウンド観光客が少ない今であれば、密を避けて観光ができる」という意図だったと推察します。しかしネット上ではこの表現に対して「訪日外国人が多いと風情がなくなる=外国人差別」と受け止めた人が多くいました。事実、問題となった文章を素直に読むとそのような印象を受けてしまいます。チラシのコピーを作成する過程において、何らかの理由で“ずらし旅”というコンセプトから逸れてしまったのかも知れません。本来のコンセプトからよくない形でクリエイティブが逸脱し、炎上してしまった事例と言えるでしょう。

クリエイティブが本質からずれて炎上する、という現象は珍しいものではありません。
特に広告のキャッチコピーやSNSの投稿など、少ない情報で読み手に強い印象を残そうと工夫する際には起きやすくなります。昨今はネットユーザー側の深読み、裏読みも一般化してきているため、ある種揚げ足取りとも言えるような指摘を受ける可能性もあります。
発信した側からすると「違う、そうじゃない」と困惑してしまうかも知れませんが、こちらの発信通りに受け取ってくれない可能性について視野に入れておくべき時代なのかも知れません。加えて、こうしたすれ違いによって生じた炎上に対しては、単に謝罪で幕引きするのではなく、批判の経緯や論点をしっかり見極めたうえで、場合によってはちゃんと真意を伝える努力が必要な場合もあります。
また、扇情的な短文コピーで目を引いて本文を読ませるという古典的な広告テクニックに対しては“clickbait”という表現があります。これは、思わせぶりなタイトルでクリックを誘う、いわゆる“釣り”広告やコンテンツを揶揄する言葉です。こうした手法がユーザーに見透かされつつあると理解しておく必要があります。
今回は様々な理由で、クリエイティブ表現が本質から曲解されて炎上した有名な事例に関して幾つかご紹介します。

 

まとめ

2021年10月の事例として、クリエイティブが曲解されることで炎上した事例を取り上げました。この問題を回避しようとすれば、扇情的なコピーやデフォルメされた表現などは避け、誰が受け取っても同じ解釈になるようにする必要があります。
しかし、そうすると表現からは先鋭さが失われ、人々の心に届かなくなるでしょう。世の中に新しい価値を産み出すために、既成概念を揺さぶることも難しくなるでしょう。つまり、炎上を避けるという観点にだけ囚われると何もできなくなってしまいます。
ここで重要なのは炎上しないことではなく“本質を正しく伝え切る”ことにあると考えます。その挑戦の結果、曲解を生んで炎上が起きる可能性は否定できません。そのために過去のケースをしっかりと学ぶことが重要です。そうした理解の後押しがあれば、大胆な挑戦が可能になると言えるのではないでしょうか?
正しい炎上理解こそが、攻めるクリエイティブを応援すると考えています。


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