映画『コンフィデンスマンJP 英雄編』が1月14日に公開された。その宣伝の一環として、フジテレビジョンは「成人の日」である1月10日の産経新聞に15段広告「ダー子の新成人へのメッセージ」を出稿。シリーズの主人公である「ダー子」(長澤まさみ)からの手紙という、一見シンプルではあるが、実は凝ったつくりの広告に、映画のファンを中心にSNS上で話題を集めている。
「世界を斜めにえがおで疑うことこそが素直なのだ。」という言葉をヒントに読み解くと、ダー子からのもうひとつのメッセージが現れる。
出稿の経緯を、フジテレビジョンのプロデューサー 成河広明氏はこう説明する。
「今回でシリーズ3作目となる本作。公開に合わせて新しい宣伝展開をしていました。そこで注目したのが、コラボという手法。映画が別ジャンルのものと相互乗り入れをすることで、互いに相乗効果を生み出せると考えたんです」。
そこで「ローカルヒーロー祭」やアパレルブランド「Wind and sea」、アプリゲーム「青鬼オンライン」などとコラボーションを実施。今回の新聞広告も、成河氏いわく「広告界の皆さんとのコラボ」にあたるものだ。
「純粋な創作物である映画と広告クリエイティブは、近接した存在でありながら、どこか異文化、異種な感覚を互いに抱いているような気がしていました。それを逆手にとることで、本作にとっても意外性のある表現が生まれるのではと思ったんです」(成河氏)。
相談を受けた電通 zeroのクリエイティブディレクター 見市沖氏は「王道の映画宣伝とは異なるアイデアで、ヒットを加速させることができないかと考えました。そこで映画公開直前の『成人の日』というモーメントに、新聞というパブリックな場でダー子から新成人へメッセージを送る。そしてそのメッセージの奥に、さらにダー子らしい仕掛けを用意することで二重の感動を与えられ、ファンから話題がブーストすると考えました」と話す。
電通のチームでメッセージの文案を提案し、成河氏と共にダー子らしい言葉や表現を模索していった。「時代性のあるメッセージと『斜め読み』できるテキストの狭間で苦心しましたが、成河さんの『見方によっては世界って面白いじゃんって、ということを伝えたい』という意思が僕らを導いてくれた」と見市氏。
一方アートディレクションは、電通のアートディレクター 井本善之氏が担当。「ダー子のユーモアあふれるキャラクターと、広告で演出する『真面目さ』のギャップを、どう出していくかを考えました。高級感のある生成りの手紙、ベルベットの布、上下に贅沢にとったスペース、それぞれこだわってつくり込んでいきました。ちなみに文字は実際のダー子さんの直筆です」と話す。
新聞広告の出稿後、SNSではダー子からのメッセージの内容に素直に感動する声や、思わぬ斜め読みの原稿に驚く声が集まった。
「ただ単純なメッセージでなく、ある仕掛けを忍び込ませるアイデアはさすが広告らしいと思いましたし、映画のテーマをよく理解してもらっているなあと嬉しかったです。多くの皆さんの話題となってくれたらコラボは大成功です」(成河氏)。
また本施策の一環として、1月1日の産経新聞に「全面子猫広告」も出稿している。
作品の主人公であるダー子が映画の観客を「仔猫ちゃん」と呼ぶことにちなみ、
「『猫の映画館』をテーマにビジュアル化しました。さまざまな猫たちが目をまん丸にしながら作品を楽しんでいる様子に、最小限の文字要素で、作品に対してのワクワク感を表現しました」と井本さんはコメントしている。
スタッフリスト
- CD+C
- 見市沖
- AD
- 井本善之
- D
- 佐藤光、長谷川愛美
- PRプランナー
- 根本陽平
- Cpr
- 谷澤良治・岸浪卓志
- Pr
- 稲留福太郎
- PM
- 佐藤憲将
- 撮影
- 高梨遼平
- レタッチ
- 笹崎彩
- 出演
- 猫(湘南動物プロダクション)(子猫ちゃん広告)
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