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科学するテレビCM――アイレップがデジマス運用で勝率を上げている理由

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アイレップが、テレビCMとデジタル広告を統合した運用で成果を上げている。2021年以降、テレビCMのコンペに呼ばれることも増え、勝率も上昇。担当部署の実績としても、成長率300%を超えるまでに至った。名実ともに、デジタルを起点にマス広告も扱える「次世代型デジタルエージェンシー」へと変貌を遂げている。

背景には、運用型テレビCMの勃興がある。2020年、テレビ各局がスポットCMを1枠で販売する「Smart Ad Sales」を開始。さらにビデオリサーチが個人視聴率の提供を始め、CMの効果を最適化するサービスが次々に登場した。

従来の仕組みでは、テレビCMは視聴率や性別・世代といった大まかな指標を基に、広告会社から買い付けるのが一般的だった。戯画的な表現をすれば、「テレビCMを打った」という感覚を得るためには1000GRP、流通との交渉上は最低限1500GRP、などといった感覚で出稿量の方針を立てることもあった。

個別最適の罠を避けるには

1枠ずつ数字を見ながらテレビCM出稿を最適化できる、というのは大きな進化だ。しかし、「2022年以降は、テレビCMだけの個別最適を追いかけるのではなく、インターネット広告も含めて、デジタルとテレビCM双方=デジマスで広告を運用していくことが重要です」と話すのは、アイレップの運用型テレビCM推進Division担当managerの冨田真吾氏だ。

アイレップの運用型テレビCM推進Division担当managerの冨田真吾氏

 
個別最適の罠は、放送枠をどう評価するか、という点にも潜む。仮に2つのスポットCM枠があり、双方でCMを流したとする。一方は視聴率が7.7%、もう一方は8.2%だった。視聴率ベースで考えれば、効率が良いのは後者だ。次のキャンペーンでも同じ枠で流そう、と考えるかもしれない。

「ですが、放送後のWebサイト流入を見たらどうでしょうか。これは実際の例ですが、視聴率は低くても、サイト流入は10倍近く多い結果が出たことがあります。となると、次のキャンペーンを実施する際、保有すべきはそちらです。顧客の行動によるテレビCMの評価は、当社が重視していることのひとつです」(冨田氏)

罠はもう一つある。放送枠というレベルでみると、サンプルサイズが少ない、という壁に突き当たる。曜日、時間帯、番組ジャンル・内容など、CMの反響を変動させる要素は多岐にわたるが、ある放送期間における1番組あたりのCM放送回数は、8割が1、2回。ある放送枠で成果が出ても、実はそれはまぐれかもしれない。特に深夜帯などは、テレビ局も実験的な番組を流すことがしばしばあり、同じ曜日・時間帯でも反響が変わることは珍しくない。

「枠単位の分析から偶然を排除し、再現性のある分析をすることが、次の成果への近道です。枠単位より大きな粒度で成果を捉えることが、デジマス運用の鍵だと思います」(冨田氏)

まず大切なのは、指名検索やWebサイト訪問数、資料請求といった主要業績指標(KPI)をきちんと定めることだ。アイレップの場合、博報堂DYグループのデータを活用して、CMの出稿量と各種指標の相関を出すことができる。前述のサイト流入はもちろん、指名検索のボリュームなど、多くの指標との相関をもとに、どれくらいCMを流すかを決めることが可能だ。

こうした分析を基に、適したメディアプラン、運用指針を定める。その地力こそ、デジタル広告の運用で培った知見だが、最終的に成果につなげる上でも支えとなっている。

たとえばCMを見てネットで検索する人が一定数増える、というのはある程度予想できることだろう。しかし、リスティング広告をチューニングしていない、ということは少なくない。あるいはオウンドメディアにアクセスしてほしいのでCMを打った。ではそのサイト内での動線は、コンバージョンに至るようになっているか。

「テレビCMを見た人の次の行動から最終的な行動まで、目を配り、手を打っておくことこそ、CMの効果を最大限に生かす、ということではないでしょうか」(冨田氏)

可視化→最大化→最適化

なぜテレビCMを打つのか。どうしてその予算なのか。どれくらいのリターンが見込めるのか――企業活動である以上、広告には常に説明がまとわりつく。それは企業の規模によらず、たとえば新興企業であっても、投資家から説明を求められるだろう。

目標達成に追加施策が必要となった、テレビがよいか、リスティング広告がよいか。経営陣にデータで判断してほしい、というケースがあった。

「マスメディアの領域でも、オンライン広告同様の成果最大化、最適化を図りたい」と冨田氏は話す

 
「シンプルにそれぞれの予測はこうです、というデータを、自信を持って提出しました。基本的に我々の共通言語はデータなので、結論ありきではなく、意思決定に資するための分析を重視しています。説明のために我々を使っていただきたい、という思いもあります」(冨田氏)

まずはテレビCMを流したらどうなるか、という点を可視化すること。それがすなわち、CMを流す意義の説明材料になる。

「スモールスタートのひとつの例ではありますが、可視化、というのはつまり勝ち筋を見つけるためのものですから、YouTubeから始めてみる、というのも手です。テレビCMの最適化のためにいきなりCMを流す必然性はありません」(冨田氏)

可視化することで、CMを流すとどの指標がどれくらい伸長するか、投資とリフト値の定量データが蓄積される。これが、精度の高いシミュレーションにつながり、最大化への礎となっていく。そして、なぜそのプランニングなのか、という説明になる。

クリックあたりのコスト(CPC)を見て、獲得あたりのコスト(CPA)を見て、広告費対効果を見て……と、アイレップはデジタル広告のさまざまなフェーズ、さまざまなレイヤーで常に数字と向き合ってきた。再現性を持ち、説明可能なプランニングをすること。最終的な成果をつなげること。

「成果を可視化するからこそ、成果を最大化できます。最大化できればこそ、最適化が果たせます。これこそ、デジタルエージェンシーである当社の土俵です。マスメディアの領域でも同じことを目指す。それが、アイレップがテレビを扱う意義ではないかと考えています」(冨田氏)
 



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