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JR西九州新幹線の開業祝う「かもめ楽団」結成、地元参加型広告を公開

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本記事は月刊『ブレーン』2022年12月号「PICK UP」に掲載しています。

9月23日、武雄温泉駅(佐賀)~長崎駅間を走る西九州新幹線「かもめ」が開業した。演奏や歌を披露する「かもめ楽団」が結成され、有志の参加者が思い思いにその誕生を祝う「私たち、かもめ。」プロジェクトを実施した。

イベント当日の写真を入れたポスター。

 

愛されるコミュニケーションを研究

JR九州は7月から8月にかけ、9月23日の西九州新幹線の開業に先がけた記念イベントを開催した。7月29日~ 31日(自由参加)には唐津東港、佐世保港、水辺の森公園(長崎港)で、さらに8 月7日(応募必須)には西九州新幹線各駅で一般公募による「かもめ楽団」を結成したイベントを実施した。9月9日には4日間の様子を記録したスペシャルムービーやポスターを公開している。

「西九州新幹線は、日本一短い区間で運行するかわいらしい新幹線です。“地元新幹線”としてとにかく沿線の人々に愛されるコミュニケーションを研究しました」と本企画のコンセプトについて語るのは、ウミナリのエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター 伊藤公一さん。「乗ってほしいより愛してほしい」を合言葉に、地元の人が参加して楽しめる村のお祭りのようなイメージでイベントを企画していった。

8月7日の西九州新幹線停車駅でのイベントでは、5 駅それぞれ350~500人の募集に対して、最終的に全体で6927人が応募し、全ての駅で募集人員を上回った。電通九州コピーライターの山口泰尚さんは一連の反響について「プロジェクト自体は2021年末から進行していましたが、応募が集まるうちに地元の熱を感じ、プレッシャーにもなりました(笑)」と話す。

「かもめ楽団」として皆で演奏し、歌う曲を『Happy Birthday』にした理由を電通九州クリエイティブディレクターの北川譲さんは次のように説明する。「さまざまな案が出ましたが、最終的には音楽監督の福島節さんの案を採用させていただきました。“みんなが歌える曲”として、新しいまちの誕生と新幹線の誕生を祝うということにぴったりだと思います」。

当初、歌って踊って祝うという趣旨のイベントの開催には懸念点もあった。「コロナ下で、人々が盛り上がり方を忘れてしまってはいないか心配していました。映像では、そこで行われたことや熱気を伝えたかったので、まずはイベント会場を盛り上げ成功させようと思いました」(北川さん)。

イベント当日は心配をよそに、各会場は大盛り上がり。スタート地点の武雄温泉駅では、会場で演奏していた曲が終わる瞬間に新幹線が滑り込み、会場のボルテージは一気に高まった。また、武雄温泉はロック、諫早はジャズなど、会場ごとのイメージに合わせ演奏や歌詞もアレンジ。地元の高校の吹奏楽部や自衛隊の音楽隊に所属する数十人が「かもめキャプテン」となり、持参した楽器を演奏したり、手拍子をしたりする参加者の演奏や歌声をリードした。

イベント当日に配布されたリーフレット。裏(右)には会場ごとの歌詞が印刷されている。

いつまでも心に残るプロジェクトに

本イベントの様子を記録したスペシャルムービーやポスターには、なるべく多くの人が登場するように工夫した。イベントに参加した人には、参加したことに加えて、いつでも見返すことのできる記録に残る思い出に、そして参加できなかった人や地域にとっての財産となるように。

ムービーの中では、雑音や曲の音量を調整することで音楽と映像のつなぎ方を細部まで工夫し、臨場感やその場の熱気をリアルに表現することにこだわったという。また、各駅の特色やつながりを出すために、駅ごとに「のってるかい!新大村駅」「フルパワーだ!長崎駅」など、エリアの特色を表したコピーを付けた。

電通九州 アートディレクターの永田泰佑さんによるとプロジェクト終了後、SNS などを通じて好意的な反響が届いている。「このプロジェクトを通じて、地元の人が楽しんでいる様子を見てもらい、今後、延伸や開業を予定している各所へポジティブな影響を及ぼすことができればと思っています」。

西九州新幹線開業記念「かもめ楽団」SPECIAL MOVIE。

 

スタッフリスト

企画制作
電通九州+ウミナリ+JR 九州エージェンシー+VSQ+Ongakushitsu
ECD
伊藤公一
CD+C
北川譲
企画
三浦僚、萩原有美
C
山口泰尚
AD
永田泰佑
D(GR)
高田良太、島田美季
Pr
福山賢一、松尾周平
PM
太田裕一、田村菜
演出
中村知也
撮影監督
石川浩太郎、藤瀬考昭、福島啓和
撮影
佐藤光平、松村隆、平尾烈、田井俊輔、原幸司、山田トモフミ、菊池裕太、武藤大樹、武藤功樹、近藤ナオユキ、堀寛明、宮崎雄太、安木寛剛、田邉昇三、鬼丸浩喜、徳永知葉、末廣 美結、井上潤一、石橋渉、丁吉将、江藤彩、吉田翔、児玉碧、豊島花音、山﨑信徳、二川真衣、高田寛之、紙谷英司、池田壱聖、片山直樹、久家由貴、上野明洋、田中瑞紀、梅田澪奈
撮影(GR)
井上佐由紀、竹中祥平、藤本遥己、細川円、山田早織
ドローン
徳重文夫
編集
眞崎篤史
レタッチ(GR)
望月洋輔
ミキサー
河野梨沙
音楽監督+音楽Pr
福島節
音楽Pr
原田瞳
編曲
澤田かおり、井筒昭雄、織田祐亮
MIX
佐久間勇児
音響チーフプランナー
旦花斉
CRD
石橋政幸、川口耕治、濱田茂男
AE
樋口一、宮川弘史、横田卓也、姫野奈津子
制作管理
西健次、白石七菜子
掲出
博多駅メインコンコース(9/9~)ほか

ECD:エグゼクティブクリエイティブディレクター/CD:クリエイティブディレクター/AD:アートディレクター/企画:プランナー/C:コピーライター/STPL:ストラテジックプランナー/D:デザイナー/I:イラストレーター/CPr:クリエイティブプロデューサー/Pr:プロデューサー/PM:プロダクションマネージャー/演出:ディレクター/TD:テクニカルディレクター/PGR:プログラマー/FE:フロントエンドエンジニア/SE:音響効果/ST:スタイリスト/HM:ヘアメイク/CRD:コーディネーター/CAS:キャスティング/AE:アカウントエグゼクティブ(営業)/NA:ナレーター

 

月刊『ブレーン』2022年12月号

 

【特集】
広がるメタバース市場
バーチャル表現は
どこまで進化したか

 
・コンピュータエンターテインメント協会
「東京ゲームショウVR 2022」
・モスフードサービス
「モスバーガー ON THE MOON」
・サントリー食品インターナショナル
「サントリー“飲むメタバース”プロジェクト」
・「バーチャル井波」
・三菱地所レジデンス
「SUPER MODEL ROOM」
・映画『百花』/
バーチャルヒューマンアーティスト「KOE」
 
【座談会】
メタバース事業に挑戦する3人が見据える
「アナログ」な価値
・仲田朝彦(三越伊勢丹)
・朴 正義(バスキュール)
・宮原広志(博報堂)
 
【第10回BOVA】
ワンポイントアドバイス
 
【SPECIAL】
・BRAINクリエイティブパートナーズ
 
【青山デザイン会議】
「コンセプト型ホテルのつくり方」
扇沢友樹×中村匠郎×御子柴雅慶
 
【PICK UP】
・JR九州「私たち、かもめ。」
・帝京大学/受験生応援広告
 
ほか