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CMとデジタル一挙に最適化 ヤフー、博報堂DYグループが連携

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ヤフーが持つオンライン行動データと、博報堂DYグループが持つデータ基盤を連携させた業務委託分析環境「Cocoon」。Cocoon環境下でできることや実例について、両社の担当者がご紹介します。

ヤフーと博報堂DYグループは2022年6月、データの共同分析プロジェクト「Cocoon(コクーン)」を開始。ヤフーの約8400万アクティブユーザーのオンライン行動データと、博報堂DYグループが持つテレビ実視聴ログデータなどを連携した業務委託分析環境となる。

ヤフーの保有する検索データやニュース検索、Yahoo!ショッピングやTポイント、PayPayのデータなどオンライン、オフライン双方の購買データをかけ合わせできることが特長で、広告接触以外にも、分析手法が多岐に渡る。クライアントの商品やサービスに即したセグメントの作成も可能だ。今回は、この「Cocoon」のソリューションから「テレビとデジタルの統合運用」にフォーカスする。

ヤフーと博報堂DYメディアパートナーズで構成する「Cocoon PJ」メンバー

近年、テレビCMとデジタル広告を共通の指標で測定し、成果の最大化を図ることへの期待が高まっている。この「Cocoon」は、博報堂DYグループが従来提供してきたテレビCMとデジタル広告の統合運用・分析支援ソリューション「Tele-Digi AaaS」の機能を拡充した形となり、マーケティングにおける「認知」から「購買」までのプロセスすべてで、テレビCMとデジタル広告の統合運用を可能としている。

「テレビCMが絶大な効果を持つことは間違いありませんが、果たして投下している量は適切か。あるいはデジタル広告とどのような相乗効果をもたらしているか、という点は、これまでは十分なシングルソースでの検証が難しかった」と話すのは、ヤフーの新村暁彦氏だ。

「デジタル広告の普及に伴い、広告効果が定量化される時代となりました。昨今、各社が取り組み始めている通り、デジタル広告以外の広告についても適切に評価していく潮流になってきています。博報堂DYグループのテレビデータと、ヤフーのユーザー行動データのかけ合わせは、テレビCMの最適な投下量だけではなく、広告主様が求めるKPI、つまり、事業課題そのものを解決する鍵になると考えています」(新村氏)

ヤフー マーケティングソリューションズ統括本部 パートナー営業本部 営業2部 部長 新村暁彦氏

テレビだけ、デジタルだけの、個別の評価、最適化ではなく、全体の最適化を図る。「そこからさらに深く掘り下げていくと、事業を評価できるような指標まで可視化できるようになります」と話すのは、博報堂DYメディアパートナーズの片岸正雄氏だ。

「オフラインとオンラインを超えて統合で広告効果をデザインする思想。広告の効果(サービス)を提供しようとする、博報堂DYグループの掲げる新たな広告モデルです。リーチ(到達)から購買、そして事業としての成果までのプロセスにおいて、すべてを可視化していきたい。しかし現在、テレビや動画メディアの役割は認知というフェーズにとどまってしまっている。認知といっても、その先に何らかの行動に移したのか、購入に至ったのか、という点が不透明。意味のある認知、意味のある到達を増やしたいという要望に応えられるのが、『Cocoon』だと考えています」(片岸氏)

博報堂DYメディアパートナーズ プラットフォーマー戦略局 メディアプラットフォーム戦略部 片岸正雄氏

「Cocoon」には、ヤフーと博報堂DYグループのデータだけでなく、クライアント企業自身が保有する、いわゆるファーストパーティデータも連携させることができる。もちろん、活用できるデータは法的に問題ないものだけで、さらに分析に携わるのも限られたスタッフとなっている。

重複接触効果の重要性

「Cocoon」での分析は、すでに大手自動車メーカーやエンターテインメント商材などで進んでいる。自動車メーカーのほうでは、テレビCMとデジタル広告で、①テレビCMだけ ②テレビCMとYahoo!広告双方 ③Yahoo!広告だけ のうち、6つの車種で、どれくらい車種名を含む検索量が上昇したかを検証した。結果、②テレビCMとYahoo!広告双方に接触した層が、最も検索量が増加。個別のメディアでのインクリメンタルリーチ最適化だけではなく、重複接触効果の重要性を発見することにつながった。

「さらに、今後、どのような検討フェーズに動いていくのか、第一想起群に入っているか、あるいは別メーカーの車種を検索していたが移行している、などといった点を追跡できます」(新村氏)。

8400万アクティブユーザーの行動データから、各ユーザー群の商品検討段階を推定、検討フェーズに分類する

「Yahoo! JAPAN は月間約8400万のアクティブユーザー数と、その幅広さが特長です。男女比率や世代間の差が少なく、分布も人口構成比に近い。テレビとの連動性を見るには適したデータだと考えています。別の事例になりますが、地上波の番宣告知で、テレビCMだけでなくYahoo!広告にも出稿をしたところ、広告に接触した層はその番組を翌週以降も視聴する割合が伸長する、ということもありました。テレビ視聴といった文脈でも、デジタル施策を同時に行うことによる増幅効果があると考えています」(新村氏)

一方のエンターテインメント商材では、テレビCMの接触と、Yahoo!ショッピングの購買データと検索状況とをかけ合わせ、購買や検索にもたらしたテレビCMの効果を検証した。
検証した案件において、購買率(購入者数/各世代のユニークユーザー数)や検索率(検索した人数/各世代のユニークユーザー数)に違いが出た。顕著であったのは男性20歳代で7~10回以上接触すると購買率が大きく伸びる、などの結果が出た。

「自動車のほうは、購買までの検討期間が比較的長いため、検索やWebサイト閲覧、見積もりなど、お客様の検討段階を踏まえて、各指標を伸ばすプランニングに分析を生かす、ということになっていくかと思います。消費者の関与度が高くなる日用消費財では、購入者がどういう属性を持っていて、ふだんどんなことに興味を持っているのか。テレビCMやそのほかの広告の表現内容に、検索率や購買率を左右させる要素はないか、など、次の施策に生かす検証がさらに考えられます」(片岸氏)

本質を押さえるから分析は役立つ

いずれの事例でも、ヤフーのデータと、博報堂DYグループ保有のテレビ視聴ログで突き合わせが可能な60万〜70万件ほどを分析した。アンケートなどで広告接触を問う調査に比べて、圧倒的なパネル数だ。データもパネルがもともと持つ属性の偏りが少なく、「分析としては十分たる根拠になると考えています」(片岸氏)。

データ量が膨大だとしても、場合によってレポートは極めてシンプルにする、というのも「Cocoon」の方針の一つだ。

「特に、実務レイヤーであれば、いかに勝ち筋を見つけ、あるいは成果を最大化できるように、さまざまな分析を駆使することが多いと思います。一方、そうした分析を経て、社内で施策について説明するときは、どんなロジックで事業成果に結びつくのか、という本質を押さえること、手法論に陥らないことがポイントだと考えています。極端な話、60万件の分析から、必要なグラフはたった1つ、ということもあるでしょう。ですが、意思決定に必要な明瞭さ、というのはそういうものではないでしょうか」(片岸氏)

「Cocoon」では今後、LINEのデータなども加味し、データの精度や豊富さをさらに強化する考えだ。次回はまさに事業成果が結実するポイント、「購買」に直結する販売促進や小売店頭での「棚取り」にどれだけ「Cocoon」の分析が生かせるかを見ていく。

※出典:「ニールセン デジタルコンテンツ視聴率」(Monthly Total レポート) 2021年7月~12月の月平均利用者数 [Yahoo! JAPAN(ブランドレベル)で集計、2歳以上の男女。スマートフォンとパソコンのユーザーの重複を含まない。

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ヤフー株式会社
マーケティングソリューションズ統括本部 CocoonPJ

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