またボードメンバーは自身が考えるマーケティングの課題について、同じ問題意識を持つメンバーと集まって分科研究会を結成。半年かけて議論を重ね、その成果は11月10日、11日の2日間かけて開催される「CMO X FORUM」の場で発表されます。
ここでは各チームのこれまでのディスカッションの内容についてレポートしていきます。
VUCAの時代においてマーケティングが経営に果たす役割とは?
甲斐博一氏がリーダーとなるチームでは「CMO X BUSINESS」をテーマに議論を重ねてきた。甲斐氏は長くマーケティングの仕事を経験してきたが、現在は経営企画本部内でマーケティング推進部の部長の職を担う。
現在の職務は、マーケターとして経験を積んできた甲斐氏としての課題意識があったという。その課題意識とは、マーケティングは経営とどこまで一体化が進んでいるのか?というものだ。
日本においては企業内におけるマーケティング部門の役割が決して明確にはなっていないのではないか。それゆえ、長期で見たときに企業活動の継続性担保に資するようなブランド価値向上を目的としたコミュニケーションに対して、十分な理解を得られないケースも多いのではないか…。甲斐氏から研究会の参加メンバーに対しては、こんな課題意識が提示された。
具体的には研究会冒頭で「1.日本企業においてマーケティングは経営の一部として機能しているだろうか」、「2.日本企業はマーケティングの本質を理解し、経営に生かしきれているだろうか」「3.1または2がNoの場合、要因はどこにあるのか」との3つの論点が参加者に共有された。
同氏が経営企画本部に異動したのは、経営企画の視点からマーケティングの機能を見つめ直した際に、この課題に対する答えが見えてくるのではないか、との思いがあったのだという。
こうした投げかけに対して参加者からは「世の中が安定している時代であれば、マーケティングよりも、数字ドリブンで意思決定をする経営企画主導でも、企業活動はうまく進むのではないか。しかし、VUCAの時代においてはマーケティングが主導する必要があるのではないか」といった意見が出てきた。
さらに「今の時代環境においては企業に問われるのは市場を創造する力。これはまさにマーケターが持つ力であるが、その意思決定に際しては必ずしも合理的に判断できるデータを使えるものばかりではない」という考えも提示された。現在のような社会環境だからこそ、経営に寄与するマーケティングの役割が発揮できるのではないか、といった見解がメンバーたちの議論から見えてきた共通点だ。
本研究会のメンバーには日本企業とグローバル企業、BtoCとBtoBのマーケティングを経験したメンバーが集まっている。それゆえ海外に比べての日本企業だからこその課題や特徴、またBtoCだけでなく、BtoB企業におけるマーケティングの役割など幅広い視点で議論が進んでいる。FORUM当日は各自の見解が発表される予定だ。
【参加者】
日本HP
経営企画本部 マーケティング推進部 部長
甲斐 博一 氏
おやつカンパニー
取締役 専務執行役員 マーケティング本部長
髙口 裕之 氏
富士フイルムイメージングシステムズ
代表取締役社長
松本 考司 氏
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