※月刊『宣伝会議』2023年1月号(12月1日発売)では、「認知獲得から販促、CRMまで 最新・SNSマーケティング」と題し特集を組みました。
ここでは、本誌に掲載した記事の一部を公開します。
トーチライト
代表取締役社長
熊田 聡氏
2008年デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム入社。子会社出向などを経てアプリプロモーション領域を拡大。その後LINEを中心としたSNS領域を統括。2019年に取締役に就任し、広告に留まらないSNS全体でのソリューション提案で企業を支援。2020年4月より現職。
Q. SNSマーケティングに対する企業の課題とは?
A. プラットフォーム自体の未来予測が難しく、ユーザーを捉えて適したマーケティングを実施する必要性。
この1年でSNSプラットフォームには様々な変化が起こっています。トラッキングの課題による広告費への影響や買収によりプラットフォーム自体の未来予測が難しくなるなど、プラットフォーム自体が次に何が起こるかを予測しづらい状況です。
これに伴い、企業がSNSマーケティングをする上で、単純に「投稿がシェアされるSNS」という大きな括りで捉えるのではなく、ユーザーがそこに何を求めてきているのかを理解した上で、マーケティングファネルに合わせた施策を実施する必要性が強まっています。
また、顧客とブランドとの接点を構築するために、SNSプラットフォームのDMを活用したメッセージングへの導線設計やその中での継続的なコミュニケーションの施策も今後はさらに重要となります。ブランド認知だけ、キャンペーン拡散だけ、といった単一的な施策ではなく、顧客との継続的なコミュニケーション施策のために各SNSと企業が持つ顧客データをうまく組み合わせたコミュニケーション設計がより求められています。
Q. 今後、活用の可能性に広がりを感じる手法・概念は?
A. 各プラットフォームにおけるメッセージング機能の発達を予想。
SNSにおけるユーザー同士のコミュニケーションの形が変化してきているので、プラットフォーム自体も既存の収益モデルをシフトチェンジしてくると想定しています。
特にマーケティングにおけるメッセージング領域では、すでにLINEが日本の中で圧倒的なシェアを持っており、まだまだ活用手法が拡大し進化していく重要なSNSと捉えていますが、世界的にも各プラットフォームがその領域に注力してくることが予想されます。
日本でもSNSのユーザー動向の変化や各SNSに求められる役割によっては、メッセージングにおいても機能・特徴を生かしたマーケティング手法がそれぞれのプラットフォームで必要とされるのではないかと考えています。
Q. SNSにおけるユーザー動向の潮流は?
A. ユーザーが求める「つながりの範囲」ごとに、プラットフォームが使い分けられていく。
SNSをコミュニケーションの視点で見ると、既存のプラットフォームにおいては投稿をシェアするだけでなく、そこからコミュニケーションが生まれるツールや、トレンド情報の収集や検索の場として若い世代に使われています。一方で新しいSNSになりうるプラットフォームを見ていると、より限られた特定コミュニティの中でのコミュニケーションを求める傾向や、音声を使ったコミュニティチャットも拡がってきています。また、購買に寄与するレコメンド型に特化したSNSなども登場してきています。
SNSに対してユーザーが求める「つながりの範囲」によって、より使い分けが進んでいくと思います。「身近な人」、「価値観が近い人」、「信頼できるインフルエンサー」など、ユーザーが求める範囲に応じてSNSが使い分けられていくと予想されます。
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