「共感と感動」で新たな間食習慣を定着させるブランド戦略(森永乳業×&D)

森永乳業が2022年9月に発売した『フィラデルフィアme 6P クリームチーズ&アーモンド/クリームチーズ&ピスタチオ』のプロモーションでは、クリエイティブディレクター・小栗卓巳氏が代表を務める『&D』の提案のもと様々な施策を展開した。施策の全容のほか、その根底にある顧客の記憶に残り行動を促すキーワードやメインコピーが生まれた背景について、森永乳業の星野吏美氏と小栗氏に聞いた。
森永乳業の星野吏美氏(左)とクリエイティブディレクターの小栗卓巳氏

 

間食需要に応える世界的ブランドの新商品

森永乳業は1917年に乳製品製造を主要事業として創業し、1世紀にわたり乳製品を中心とした多彩な商品を生み出してきた。現在はビバレッジやアイスクリームなどの主力食品事業が売上構成の筆頭であり、チーズカテゴリーはその一端を担っている。なかでも、『フィラデルフィア』のクリームチーズは1970年に日本に登場して以来、歴史ある高品質なブランドとして国内市場に定着した。

『フィラデルフィアme 6P クリームチーズ&アーモンド/クリームチーズ&ピスタチオ(以下、フィラデルフィア me)』の誕生には、クリームチーズ市場の変化が関係している。コロナ禍を経て、2021年度の市場規模は一昨年比で108%と伸長、継続して新たな需要を獲得するべく、新たなコンセプトで商品開発を開始。ターゲット層のペルソナとして『美容と健康に関心のある女性』を設定し、クリームチーズにビタミン類や食物繊維を含むナッツを組み合わせた。商品設計の背景は、クリームチーズで拡大している間食シーンを想定して開発した。

 

「仕事や家事の合間にクリームチーズを食べる、という間食用途が増加傾向にある一方で、間食自体に対しては罪悪感を抱いている方が多くいらっしゃいます。新商品は『罪悪感のない理想の間食』をテーマに開発、健康的かつ人気のアーモンドとピスタチオで栄養バランスにも配慮した商品であることが伝わるコミュニケーション設計にしました」(森永乳業の星野吏美氏)

『共感×感動』を上乗せしたクリエイティブ

ターゲット層のニーズに応える商品を開発した森永乳業だが、新規市場を開拓するゆえの課題に直面していた。「高い認知度を誇る『フィラデルフィア』ブランドですが、新たなコンセプトの新商品であるため認知度がない状態から始まりました。発売と合わせて認知度の向上、喫食機会の獲得、購買機会の創出という一連の購買行動に寄与する施策を思案していました」と星野氏は当時の課題にふれる。

 

そこで森永乳業は、宣伝会議が運営する「日本のメディア」のオファーサービスに課題解決の糸口を求めた。複数社の提案を受け、最終的にパートナーとして選んだのは、2019年設立のクリエイティブオフィス『&D』だった。代表兼クリエイティブディレクター・小栗卓巳氏は『フィラデルフィアme』の特性を分析し、課題解決に向けた一筋の光を見つけていた。

「約150年の歴史をもつ『フィラデルフィア』のブランド力、間食の罪悪感を解消するヘルシーな商品設計という特徴を備えており、商品そのもののポテンシャルをしっかりと伝えられれば認知から購買までつなげられると思いました」(小栗氏)

小栗氏が施策のキーワードと掲げたのは『共感×感動』だ。小栗氏いわく「過去のデータや定量的な数値をもとに考えたアイデアでは80点。それなりの成果は生んでも、市場に定着させるには十分でありません」と言い、『共感×感動』を上乗せしたクリエイティブにより新たな世界観を創出することで、世の中に広く認知され購買行動が動き出すと説く。

 

等身大のキャラクターが共感と感動を生み出す

&Dが開発したクリエイティブは、大きく2つの要素で構成される。ひとつは、商品名との関連性をもたせたメインコピー『Love for me!』である。『自分を愛せ!』という掛け声と商品ロゴを合わせて掲載することで視覚的に訴求。また、サブコピー『間食で、美健に。』で商品ファクトをわかりやすく伝えることで、間食を肯定し罪悪感をなくす狙いがある。

 

もうひとつが、双子のキャラクター『ウェル・ローレンス、イズ・ローレンス』だ。アメリカ発ブランドらしい世界観をビジュアルに投影しつつ、姉妹それぞれ性格や年齢、家族構成、趣味嗜好などを細かく設定していくことで、ターゲットである女性が共感するキャラクターを構築していった。

「歴史ある『フィラデルフィア』ブランドの新商品を訴求するにあたり、森永乳業さまはキャラクターを細かく設定することを提案しました。このキャラクターは何者なのか、何が好きなのか、さらに祖先は誰なのか。表向きには出ない設定であっても、細かい設定をつくり込むなかで、徐々にリアリティのある人格が浮かび上がります。ビジュアルは『フィラデルフィア』のイメージカラーであるブルー、新商品のメインカラーのオレンジとグリーン、アーモンドとピスタチオのアースカラーを組み合わせてデザインしました」(小栗氏)

100点にも及ぶ候補から解像度を高めた末に生まれた『ウェル・ローレンス、イズ・ローレンス』を軸に、&Dは様々な施策を練り上げる。特設ブランドサイト、アニメーションを用いた動画広告、シネアド、YouTube・InstagramのSNS広告などを展開し、情報の拡散とタッチポイントの拡大を図った。特に、動画広告は喫食シーン別に5パターン制作し、施策実施と並行して共感を得るクリエイティブの傾向を探っていった。森永乳業のチーム全員は「動画は期待を超える完成度の高い仕上がりでした」とクリエイティブを評価する。

フィラデルフィアme「人生まだまだ」篇
フィラデルフィアme「働くママ」篇

「商品メインの動画ではなく、ターゲットが感じたことがある「あるある」を軸に、共感を持ってもらえるポイントを入れることや、動画の細部の小物にも配慮しアニメーションであっても最後まで見てもらえるような工夫も入れました。初めてのシネアド実施、動画の複数制作など、弊社としても勇気が求められる提案内容でしたが、&Dさまが描く中長期的戦略の礎になると信じて施策を推進していきました」(星野氏)

さらにデジタルコンテンツと併せて、ターゲット層に直接リーチ可能なフィジカル施策も実施した。全国の映画館でステッカー付リーフレットを配布。ターゲット層の記憶に残ることを目的した施策の一環であり、QRコードから特設ブランドサイトにアクセスする流れも形成することに成功した。

 

中長期戦略で新たな間食習慣の定着を目指す

森永乳業では、&Dが手掛けたコピーとキャラクターをもとに、Twitterにて#Love for me「私が大切にしているLove for meなこと」の発言を自発的に促すキャンペーンを実施しました。こうした動きについて小栗氏は「『Love for me!』というメッセージ、キャラクター、商品パッケージの組み合わせは、掛け算されることでポジティブなイメージが醸成されます。共感と感動を生む関係性がしっかりと計算されているので、新たなキャンペーンに水平展開しても機能します」と、中長期的な施策展開を見据えたクリエイティブ設計だったことを説明する。

今回の森永乳業と&Dによる施策展開について、星野氏は「お互いに密にコミュニケーションを重ねながら、クリエイティブを突き詰めていく過程はとても楽しかった」と笑顔で語る。そして、今後の目標達成に向けて意気込みを新たにする。

「マーケティングコミュニケーション部では、広告指針として『広がるように伝える』ことを推進しています。ただ多くの人に情報を届ける手法ではなく、広告や商品・サービスに共感してもらい、ポジティブな話題として世の中に広まっていくのが理想です。その考えを&Dさまも抱いていたことが、今回の施策の成功要因になったと思っています。今後も考えを同じくするパートナーと協力しながら、『フィラデルフィア me』で罪悪感のない間食習慣を定着させていきたいです」(星野氏)

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