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売上高が5年で約4倍に エイスリーの総合キャスティング事業が拡大

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エイスリーが業容を拡大している。総合キャスティング事業を手がける同社の売上高は、直近5年で約4倍と急伸した。年間の相談件数は4500件に上る。増える案件に応えるため、キャスティングディレクターも同比約3.5倍に増員し、今春には約60人体制となる見込みだ。

 

エイスリーの案件数が増えている理由

拡大の背景にあるのは、キャスティング案件の細分化だ。エイスリーの山本直樹社長はこう話す。

「一般消費者が見るコンテンツ、そしてデバイスが多様化しています。かつてのように、同じものを見て、同じように熱狂するのではなく、好みがそれぞれ異なり、また、それに応えるコンテンツが増えています。結果、ファンに深く支持されるタレントを起用したいが、誰にすればいいのかわからない、ということで、ご相談いただくことが増えました」(山本氏)

こうしたクライアントの要望に対応する上で掲げているのが、「多ジャンル・多展開」だ。タレントや俳優、お笑い芸人はもちろん、SNSなどで影響力の強いインフルエンサー、国内外でファンの熱が高い声優やVTuber、アイドル、コスプレイヤー、プロゲーマー・e-sportsプレイヤーや、専門家・文化人など10のジャンルで、キャスティングディレクターのユニット(チーム)を形成している。

特徴的なのは、ディレクターの採用方針だ。山本社長は「各専門ユニットがさらに強化されるには、という視点を重要視しています」と話す。

「各専門ユニットへ、どの分野に詳しい方を入れるとユニットとしての対応範囲が広がるか、専門性を高められるか、に力点を置くということです。各ユニットから強化のための人材の要望を人事担当が集めた上で、スカウトや採用面談に臨んでいます。状況により知識テストも実施します。キャスティングというのは、人と人の仲立ちとなる存在ですから、人間性を大切にするのは言わずもがな、です」(山本氏)

この採用方針の下、キャスティングディレクターは今春には約60人体制となる見込みだ。エイスリーはさらに採用を加速させ、早期に100人体制を目指す。専門性のあるキャスティングディレクターが増えたことで、横の連携による業務上のメリットが強く見えてきたためだ。

「より一層、クライアントの要望に応えられるようになりました。あらゆるジャンルがキャスティング対象になる中、どのような方をご提案するか、内容や質の部分はもちろんですが、対応スピードも早められた、ということもあります。また、1案件を複数人で把握することで、業務をブラックボックス化させず、リスクヘッジできるということ。起用が決まったあとの運用面でも、フォロー、サポート体制が厚くなり、それも結果的にクライアントの要望に安定してお応えできることにつながっています」(山本氏)

案件進行の大まかな流れはこうだ。キャスティングの依頼を受けると、その担当者から、案件に最も合う専門ユニットへすぐ伝達。ユニットリーダーが内容を見て誰が担当すべきかを判断。複数のジャンルにまたがっていれば、ユニットを横断して対応することもある。

「予算や時間もさることながら、波及力や、いわゆる炎上のおそれのあるなし、商品やサービス自体のほか、出演するコンテンツとの相性など、キャスティングの変数はさまざまです。ただ、中でも最も重要なのは、『なぜそのタレントを提案するのか』という根拠。もちろん、全国で人気を集めるスターはいるものの、冒頭お話したとおり、現代はコンテンツが多様化した時代です。また、ファン側のこだわりも強くなってきている。受け手のインサイトにも気を配る必要があります。各ジャンルに精通したユニットを構成する、という狙いはここにあります」(山本氏)

管理部門では、法人個人全ての取引先に対する「反社チェック」や、秘密保持契約など法務周りを担う。上場準備を進めるエイスリーが、最も心を砕いているポイントのひとつといって過言ではない。

「これまでもおろそかにしていたわけではありません。これもコンテンツの多様化が後押ししている部分が大きいと思いますが、起用される側も、必ずしもキャスティングビジネスに慣れた大手事務所ばかりではなくなっているわけです。コンプライアンスを一層強化することも、結局はクライアントの安心につながる点になっています」(山本氏)

エイスリーの総合キャスティング事業の特徴

 

次々生まれる新たな才能を社会とつなぐ

エイスリーでは現在、「多ジャンル・多展開」の総合キャスティング事業のほかに、エンターテインメント業界に特化した人材サービスや、M&A仲介、さらにタレントやクリエイターのパラレル&セカンドキャリア支援など、事業自体も広げつつある。前述の上場準備を進めるのはもちろん、拠点を東京に留まらず、他の主要都市を中心に拡大する考えだ。


山本氏は、「上場を目指すのは、世の中の数多くの才能と、そのファン、それを必要とするクライアントをつなぐことで、社会をより活性化させたいから」と話す。国内外を問わず、いまやタレントは、多すぎて選べない状況で、適切に選ぶこと、そして起用を実現させ、リスクなく運用すること。そうした存在は、今後ますます重要になってきそうだ。

タレントと呼ばれるのは、いわゆる従来的な“芸能人”だけではない。近年急速に存在感を強めてきたインフルエンサー、「アバター」と呼ばれるCGキャラクターに声を当てたり、操作したりして活動するVTuber、競技としてゲームの試合を行う「e-sports」の拡大で、プロとして活躍するゲームプレーヤーへの注目も高まっている。新たな分野が開拓されれば、そこには新たな才能が生まれてくる。

「年に4500件以上のご相談をいただいていると、そうした勢いのあるジャンルというのを肌で感じます。特に現場からは『次はこれが来そうだ』という話をよく聞いていて、現在ある専門ユニットも、新たに作ったり統合したり、アメーバーのように姿を変えていくと思います。それに伴って、現在2600件ある事務所や個人のクリエイターなどの仕入れ先も日々増えていっており、取引先が増え案件が増える、対応するために仕入れ先が増える、提案できる幅が増える、そしてまた案件が増える……という好循環を生み出せていると思います」(山本氏)

そして、起用されるタレントが増えれば、また、そのジャンルも盛り上がる。起用する側も、ファンにアプローチすることで事業に勢いがつく。

「キャスティングは基本的には裏方ですが、才能とビジネス、社会とをつなぐ重要な存在だと考えています」(山本氏)
 


お問い合わせ
株式会社エイスリー
住所:東京都渋⾕区神宮前3-35-2 クローチェ神宮前ビル6F
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EMAIL:info@a3casting.com
コーポレートサイトURL:https://www.a3corp.jp/
総合キャスティングサービスサイトURL:https://herocasting.jp/service/