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グーグル、対話式AI「Bard」を発表 検索などに導入、一般向けの試用も

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グーグルは2月6日、対話式でAIがテキストを生成する「Bard」をテスト公開したと発表した。数週間以内に一般公開を予定する。「Google検索」などの製品にも導入を進める考え。AIによる対話式テキスト生成では、マイクロソフトが提携するオープンAIの「ChatGPT」が昨年末から視線を集めている。

「Bard」を導入した場合のGoogle検索のイメージ。現在では、いわゆる「強調スニペット」が表示される部分が、AIが生成したテキストに置き換わっている
「Bard」を導入した場合のGoogle検索のイメージ。現在では、いわゆる「強調スニペット」が表示される部分が、AIが生成したテキストに置き換わっている。「強調スニペット」は、疑問文のような検索ワードを入力した場合、グーグルが選んだWebページの該当箇所を抽出して表示する。「Bard」は吟遊詩人を意味する

 

グーグルのサンダー・ピチャイCEO(最高経営責任者)の名義によるブログ記事で発表した。ピチャイ氏は「より深い理解を求めてGoogle検索を利用する人が増えている。AIは、正解がひとつではない問いに対して、新しい視点を探したり、関連するトピックを掘り下げたりすることができる。これらの新たなAI機能は、間もなくGoogle検索で展開する予定」とした。

2021年に発表した、言語モデル「LaMDA(対話式アプリのための言語モデル)」を活用する。「LaMDA」は大規模なテキストデータを基に、会話形式で自然な文章を生成できるのが特徴。「Bard」のテストは軽量版の「LaMDA」で始める。3月には個人開発者やクリエイター、企業向けに生成言語APIの提供に乗り出す。

対話式でAIがテキストを生成するツールは、昨年11月にオープンAIが公開した「ChatGPT」によって、にわかに活気づいている。「ChatGPT」は公開から2カ月で利用者が1億人を超えた。『ニューヨーク・タイムズ』紙は昨年12月、「グーグル内部で“コード・レッド(緊急警報)”された」と表現し、「ChatGPT」がグーグルの検索サービスを揺るがしかねないと報じていた。

「AIテストキッチン」では、AIとの対話のほか、文章から画像を生成する機能の体験もできる。
「AIテストキッチン」では、AIとの対話のほか、文章から画像を生成する機能の体験もできる。

 

グーグルも22年に最新版の「LaMDA2」を公表し、同時に技術を体験できるアプリ「AIテストキッチン(AI Test Kitchen)」を公開していたが、「ChatGPT」ほどの利用者は集められていないようだ。シミラーウェブの推計によると、12月までの平均月間ダウンロード数は1万2800回で、23年1月の日間アクティブ利用者は760.3人だった。

自然文による質問に対して、AIで回答するのは、広告収入に影を落とすのではないか、という見方もある。『ニューヨーク・タイムズ』は、「検索ワード(クエリ)に完璧な答えを出せるなら、広告をクリックすることはないだろう」とするヤフーやグーグル出身のアムル・アワダラ氏のコメントを紹介した。

「ChatGPT」はマイクロソフトが提携しており、月額課金のクラウドサービスやオンライン会議ツールなどへの導入を進める。「ChatGPT」自体を月額20ドルで提供する有料サービスも2月1日に開始した。

グーグルはほかにも、「ナレッジパネル」として、複数のWebサイトなどから収集した情報を集約して表示させてきた(画像の赤枠で囲まれた部分)
グーグルはほかにも、「ナレッジパネル」として、複数のWebサイトなどから収集した情報を集約して表示させてきた(画像の赤枠で囲まれた部分)