「宣伝会議賞」協賛企業賞とグランプリの違いって?

3月10日、月刊「宣伝会議」が主催する「宣伝会議賞」の最終審査会および贈賞式が開催されます。そしてグランプリ各賞の審査に先駆け、月刊『宣伝会議』2023年4月号では、課題を協賛している企業による選考で決まる「協賛企業賞」の受賞作品が発表になります。ここまでの結果を、次のステップに生かすにはどうしたらよいのでしょうか。自身も「宣伝会議賞」応募経験のある、一次審査員の勝浦雅彦氏に話を聞きました。

※本記事は3月1日発売の月刊『宣伝会議』4月号からの転載記事です。

電通
コピーライター
勝浦 雅彦 氏

ぜに屋本店、東芝、Sky、UR、ラグビーW杯CM等を制作。コピーにLOFT「去年より、恋がうまくなった。なんだかつまらない。」、大牟田スイミングスクール「お母さんの声援が聞こえるから、息つぎが好き。」、自殺予防週間「明日も、「ただいま」を聞かせてください。」、お仏壇のコガ「お母さん、お母さんになったよ。」。TCC賞、ADFEST FILM最高賞、Cannes Lions、クリエイター・オブ・ザ・イヤーメダリスト等受賞。著書『つながるための言葉』。

 

アイデアを出す前に、心動かされたものや自分の原点を振り返る。

―「協賛企業賞」の受賞作品と、グランプリをはじめとした各賞の違いはどこにあると思いますか。

協賛企業賞は、企業の持つ想いを表現していることに加え、コピーとしてリスクヘッジがされていて、誤解や嫌悪感を生まないものが選ばれる傾向にあると思います。

そして「協賛企業賞」を選ぶのは、その商品やサービスを生み出し、大切にしている社員の方々です。選定方法は様々だと思いますが、いわゆるコピー的なレトリックが巧みなものよりも、“自分たちの商品への想いに気づいてくれたんだ”、“この商品の良さをどう言うかモヤモヤしていたことを言語化してくれた”といった、「気づき」や「喜び」が感じられるかどうかが、受賞の決め手になっているのではないかと考えています。

「上手なコピー」を書くための方法論はたくさんありますが、それではこの「気づき」や「喜び」のあるコピーはどうしたら発想できるのでしょうか。

方法としては、一つひとつの課題に対して、「なぜこの商品を課題にしたのだろう?」「この会社や商品には、どんな歴史があるんだろう?」「どんな人が、この商品をつくっているのだろう?」などと、相手(=他者)の立場を想像してみることです。商品やサービスが生まれる背景にある「人間」による何らかの営み、意図を読み解いていくと、新しい気づきが生まれます。

ただ、課題となっている企業や商品の背景を調べたり、実際に試してみたりといったことは、多くの人がやっています。ですから、そこで得られる発見は言ってしまえば誰もが同じようにたどり着けるもの。それだけでは、審査を通過したり、協賛企業賞を受賞したりするのは難しいかもしれません。

では、どうするか?企業や商品について調べた後に、さらに相手の心に触れる言葉を考える上では、書き手自身の経験を掘り起こすことが必要なのです。まずアイデアを出す前に、最近、心が動かされたものは何?自分の原点や世の中への問題意識はどこにある?といった、身の回りに散らばっているあらゆる事象を、振り返ってみましょう。その経験を土台にして、自分と他者との間を思考で行き来し接点を見つけていくことで、「自分にしか書けない、相手の想いに深く入り込んだコピー」に近づけるのだと考えています。

―「宣伝会議賞」をコピーライターとしてのステップアップに生かすためには、このタイミングでどんなことに取り組んだらよいでしょうか。

選ばれた人はとりあえず嬉しいでしょうから、選ばれなくて悔しい思いをしている人のためにアドバイスを。

その悔しさがあるうちに、まず受賞作を見て「なぜこれが選ばれたか」を研究してみましょう。入賞作品と、ファイナリストと、三次審査通過の作品と自分の作品の差は何か、仮説を立てるのです。課題の捉え方が甘かったのか?誰かと似た切り口だったのか?もちろん通過や受賞は、運のようなものもありますが、それでも自分なりに仮説を立てることで次につながるはずです。

そして仮説を導き出すチャレンジをした上で、一度自分自身の心に刻むためにも、よいコピーがあれば「写経」して書きうつし身体に取り込みましょう。言葉は、書けば書くほど筋力がつくし、確実に積み重なっていくものです。ここまでやれば、きっとあなたは新しい自分のコピーを書きたくてたまらない状態になっているはずです。

僕は、宣伝会議賞は入賞だけが目的ではなく、言葉によって新しい世界に踏み出し、思いもよらないつながりをつくる場だと考えています。心を開けば仲間も増えます。これからも「出会い」を大切にして、言葉に向き合っていってくださいね。
 

月刊『宣伝会議』2023年4月号

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