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オープンハウスの「勝ちクリエイティブ」は…? ヤフーの「AI画像解析」で追求

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オープンハウスの、Yahoo!広告における“勝ちクリエイティブ”は紫色――ヤフーのクリエイティブ企画チームの大量の画像解析に基づいて、はじき出された結果だ。分析結果から導き出した「勝ちクリエイティブ」を実際に運用した結果、青基調で作成された従来の広告素材と比べて、クリック率(CTR)が1.67倍に伸びたという。

ヤフーが2023年1月25日に行ったオンラインイベント「Yahoo! JAPAN MARKETING DAY 2023」におけるセッション『AI解析で見えた! オープンハウスの「勝ちクリエイティブ」』において、オープンハウス、ヤフーの担当者がそれぞれ登壇。その詳細が語られた。

効果的なバナーが「なぜ良かったのか」を知りたい

ヤフーの小泉慶氏はまず、「Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)」の運用を最適化する際には、「①アカウント構造 ②入札 ③ターゲティング ④クリエイティブ と4つのポイントがあります」と説明。今回は④のクリエイティブに注力して提案を進めていくことになったとのこと。

クリエイティブにおいてのオープンハウスの課題は「勝ちパターン」を見いだせていないことだった。画像解析を利用した理由について、オープンハウスグループ の多田翔氏は「マンション販売は物件ごとに広告素材を用意していますが、工数を減らすために、汎用的に活用ができて成果につながる要素を突き止めたいと考えていました」と話す。

「この広告素材はよい結果だった、こちらは振るわなかった、という蓄積は社内にあるのですが、より抽象的な理由、なぜそれが良かったのか、という要因がなかなか見えていなかったのです」(多田氏)

バナー広告180万件の分析結果から検証

クリエイティブにおける「勝ちパターン」を見いだすべく、まずはオープンハウス作成のクリエイティブ2つ、ヤフーが作成したクリエイティブ3つ、計5つのクリエイティブで配信し事前検証した。
そして、より多くのコンバージョンが取れた(1)マンションの外観を前面に押し出したもの、(2)間取り図を目立たせたもの、この2つのバナーをもとに、より成果が高くなるバナーになるよう、「AI画像解析」の結果をもとに変更を加えることにした。

AI画像解析で修正を加えることになった2つのバナー。登壇者は左から、木村孝一氏、小泉慶氏(ヤフー MS統括本部 第二営業本部)、多田翔氏(オープンハウスグループ マーケティング本部)、土屋茉奈美氏(ヤフー MS統括本部 クリエイティブ企画)

別途定める条件を満たした広告主に対し、ヤフーが提供している「AI画像解析」は、画像解析技術を用いて分析した180万件の広告データをもって、クライアント様の広告クリエイティブに関する課題解決法を提示するソリューション。今回のオープンハウスの事例では、「分析で得られた3つの改善ポイントをもとに、クリエイティブをブラッシュアップしました」とヤフーの土屋茉奈美氏が説明した。

 

まず、CTAを分析。「詳細はこちら」や「いますぐチェック」、「お申し込み受付中」といった類型に分類した結果、選ばれたのは「来場予約受付中」という文言だ。

「これまでは、広告を閲覧した方の心理的なハードルを下げようと、『詳細はこちら』に類するCTAを用いていました。より具体的なもののほうが、効果が見込めるというのは意外でした」(多田氏)

色の系統については「紫」が良い傾向にあった。次点では「青」や「緑」も成果が高い色系統だった。

また最も目立つテキストを、画像のどこに配置するのが効果的かを解析する「強調テキスト分析」も実施。新築マンション業界では、バナーの下部寄りに強調テキストが配置されるとvCTR(※1)が良い傾向にあることが分かったという。
(※1 vCTR:Visible Click Through Rateの略。視認範囲のインプレッション数に対するクリック数の割合のこと)

これらの解析結果を踏まえて、以下のようなバナーを作成した。

 
解析結果を反映したバナーを実際に配信してみると、(1)の外観を強調したバナーは旧バナーと比較してCTRが1.67倍、(2)の間取り図を強調したバナーは同1.4倍という結果となった。

 

クリエイティブのPDCAもデータドリブンに

この結果を受け、多田氏は「これまで肌感覚でクリエイティブを作成していましたが、今回の様にAI画像解析を用いてデータドリブンにクリエイティブを変更することで、クリエイティブ制作や検証がスムーズになりました」と感想を述べた。また、今回実施したAI画像解析について説明したヤフーの木村孝一氏も「クリエイティブはなかなかデータドリブンに進めることが難しい部分だとは思いますが、紫色という、チャレンジングな色味での検証を一緒にしていただきありがたかったです」と話した。

なお、このようにCTRを左右する要素は業界によって異なるという。たとえばCTAなら、「美容・健康食品業界なら、『いますぐチェック』といった文言の効果がよい傾向にあります」(土屋氏)。ヤフーは、広告素材の要素分析について業種別にまとめた資料を公開しているほか、より多くのお客さまにご利用いただけるような仕組みを構築中とのこと。

オープンハウスグループは2023年度の売上高目標を1兆1000億円と掲げる。直近の22年9月期の売上高は9526億円。いよいよ1兆円への大台を目指すフェーズに入った。

「マーケティング本部のミッションは、戸建ての仲介事業や分譲マンション事業など各事業を横断して、売上や利益の拡大を図ることです。ぜひ今後も、成約につながる広告素材を追求していきたいと思います」(多田氏)


・本稿は、2023年1月25日にヤフーが開催したオンラインイベント「Yahoo! JAPAN MARKETING DAY2023」より、「AI解析で見えた! オープンハウスの『勝ちクリエイティブ』」を抜粋、再構成したものです。他セッションを含めたイベントのアーカイブ動画はこちらからご覧ください。
・「業種別 画像解析クリエイティブガイド」についてはこちらからダウンロードいただけます。

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