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マーケティング=経営の時代にAIの浸透はCMOの役割を拡張する

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マーケティングの打ち手が爆発的に増える中で、個々の施策のKPIが分断。改めて「MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)」を導入するなど、マーケティング投資の全体最適に目を向ける企業が増えている。マーケティング活動におけるAIの浸透は、こうした体制への期待をさらに高めることになりそうだ。自らもCMOを経験し、現在はグーグル日本法人の代表として経営を担う奧山真司氏に、これからのマーケティングに関する考えを聞いた。

(本記事は月刊『宣伝会議』1月号巻頭特集に掲載されているものです)
写真 人物 プロフィール グーグル日本法人 代表 奥山真司氏

グーグル日本法人
代表
奥山真司氏

1989年 P&G入社。マーケティングキャリアを経て、2008年PG Korea社長、2012年 P&Gジャパン代表取締役社長。2016年江崎グリコ入社、常務執行役員マーケティング本部長。2021年2月よりグーグル日本法人代表。

「AIファースト」の企業姿勢を国内市場でも体現

―広告メディアビジネスの2023年を振り返っての考察をお聞かせください。

私たちの暮らしにコロナ前の日常が戻ってきたのが2023年でした。しかし、同じように見えてコロナ前とまったく同じではありません。なぜなら、この1年で私たちの日常に深くAIが浸透したからです。生AIの登場による技術革新は、AIを一部の人のみが使うものから、誰もが“日常使い”できるものへと変えました。

私たちGoogleは、2016年にはグローバルで「AIファースト」の姿勢を表明していますし、この姿勢は日本の市場において提供する各種プロダクトにも反映されています。Googleが開発した生成AIの「Bard」、生成AIによる検索体験を提供する「SGE:Sear ch Generat iveExperience」ともに、英語以外の言語に対応したのは日本語が初めてだからです。もちろん、AIは優れた手段であるものの、AI自体が主語になるわけではありません。当然ながら、その活用の目的を明確に設定することが求められています。私たちGoogleにおいては、CEOのスンダ―が「ForHumanity」「For Everybody」という目的を明確にしています。人々の創造性を高める、人々の人間性を高めることに貢献するAIの活用。加えて、その恩恵をあらゆる人が受けられるようにすることがGoogleにおけるAI活用の目的です。

―AIはマーケティングをどう変えるとお考えですか。

個人だけでなく企業におけるAIの活用も進んでいます。そして私は、AIの浸透が企業におけるマーケティングの機能と役割を大きく進化させる期待を抱いています。すでに私たちが提供する広告プロダクトの背後にはAIが使われています。これにより、広告効果の測定や効果の予測の精度は飛躍的な成長を続けています。

いかにして、目的に応じたマーケティング投資の効果の最大化を図れるか? Googleの広告を活用するあらゆる規模の企業に適切なメジャメントの恩恵を感じていただけると思います。

そしてAIの浸透によって、私はいよいよ「マーケティング=経営」と言える時代が到来すると確信しています。デジタルが浸透してから、デジタルマーケティングにデータ利活用など、新たに取り組むべきテーマが広がり、日本の企業内にはCMO以外のCxO人材が複数、登場しました。それは、その時々の時代の必然であったとはいえ、組織内のサイロ化、データの分断という状況を生み出してしまいました。

しかしAIのサポートにより、社内で分断していたデータが一気通貫で統合されていく近未来の姿が見え始めています。そして、そのデータ基盤を用いれば、マーケティング部門が各他部門をリードしながらCEOの隣で、売上・利益に近いところで自らの役割をつくれるようになっていく。AIの浸透で、CMOが管轄する領域が広がっていくのではないでしょうか。

…この続きは12月1日発売の月刊『宣伝会議』1月号で読むことができます。

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『宣伝会議』1月号(12月1日発売)

書影 宣伝会議2024年1月号
  • 特集
  • トップランナーたちの予測と展望
  • 広告、メディア、マーケティング 2024年は、こう動く。
  • 〇パーソナライズと個人情報保護を両立させ、生成AIから得られるデータを活用するには?
  • 2024年はどうなる?①「生成AI」
  • 有益伸一(電通デジタル)× 栗原 聡(慶應義塾大学)
  • 〇規制は真の顧客理解を考える契機にマーケティングの本質に原点回帰する
  • 2024年はどうなる?②「Cookie規制」
  • 遠藤智史(LIFULL)× 友澤大輔(イーデザイン損害保険)
  • 〇コンテンツ力を活かしたユーティリティの向上TVer、radikoと考えるテレビ·ラジオのDX
  • 2024年はどうなる?③「電波メディアのDX」
  • 坂谷 温(radiko)× 蜷川新治郎(TVer)
  • 〇マーケティング投資の説明責任にどう応える?施策のビジネス貢献度を可視化するMMM
  • 2024年はどうなる?④「MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)」
  • 友松重之(アクセンチュア)× 越智道夫(ミイダス)
  • 〇メーカーと小売、広告会社が三位一体となり生活者に心地よいコミュニケーションを提供
  • 2024年はどうなる?⑤「リテールメディア」
  • 野田大輔(トライアルカンパニー)×濱口洋史(電通 データ・テクノロジーセンター)
  • 〇電通×博報堂の若手プランナーに聞く1億総クリエイター時代、「広告」の向かう先
  • 2024年はどうなる?⑥「広告クリエイティブの行く末」
  • 花田 礼(電通)× 小渕朗人(博報堂ケトル)
  • 〇顧客、消費者ではなく「共創パートナー」「α世代」に目を向けてもらうためには?
  • 野田絵美(博報堂DYメディアパートナーズ)
  • 【各社トップに聞く2024年の展望】
  • 〇課題は効果的·効率的なデータ戦略と共感を呼ぶコミュニケーションの両立
  • 川村和夫(日本アドバタイザーズ協会)
  • 〇マーケティング=経営の時代にAIの浸透はCMOの役割を拡張する
  • 奥山真司(グーグル日本法人)
  • 〇業種専門性を高め知見を蓄積 伴走型の支援で「クライアントの顧客を知る」
  • 大山俊哉(ADKホールディングス)
  • 〇AIへの投資を引き続き強化Facebook Japanが支えるコミュニティ
  • 味澤将宏(Facebook Japan)
  • 〇LINEを起点に「繋がり続ける仕組み」をつくる新会社で目指す統合ソリューション
  • 池端由基(LINEヤフー)
  • 〇リサーチ·メディア·AIプラットフォームまでトータルマーケティングソリューションを提供
  • 石角裕一(楽天グループ)
  • 〇電通グループ新経営方針から、変わるコミュニケーションビジネスを考察する