京都 西本願寺は12月6日、新たに制定したブランドロゴとタグラインを発表する記者会見を行った。ブランドロゴとタグラインの制定は、400年を超える西本願寺の歴史の中で初の取り組みとなる。浄土真宗の信者に限らない、広く一般の人々に親しんでもらい、寄り添っていくためのシンボルとして、今後あらゆる情報発信の場面で使っていくという。
ブランドロゴのモチーフになったのは、国宝でもある西本願寺の御影堂と阿弥陀堂の2つのお堂。境内の大イチョウの葉のイメージも重ね合わせて制作されている。
これまで西本願寺の紋として使われてきた“下り藤”とは別に、各種コミュニケーションツールに使用される予定だ。
タグラインは「人はひとり。だからこそ、ご縁を見つめたい。」。浄土真宗の「人は本来孤独であるからこそ、人とのご縁のありがたさに感謝し、ご縁を大切に生きることができる」という思想を反映させている。
今後、西本願寺の社会的な役割を広く内外に伝えるための言葉として使われる。サブのタグラインも制定し、伝える内容やシーンによって、2つのタグラインを使い分けていくという。
メイン・タグライン
「人はひとり。だからこそ、ご縁を見つめたい。」
「無縁社会」と言われるほど人々の孤独・孤立が社会問題になるなかで、西本願寺とその僧侶が果たしていく役割を表現。僧侶と一般の人々との“ご縁”や、一般の人々同士の“ご縁”を大切に、自他共に心豊かに生きられる社会の実現を目指すという意志を込めている。
サブ・タグライン
「誰もが、ただ、いていい場所。」
西本願寺は誰もが自由に入れて、様々な思いを持って過ごせる場所。孤独を感じたり、自分の居場所がないと感じる人たちの気持ちに寄り添い、耳を傾ける存在が西本願寺とその僧侶であるべきという原点を確認し、伝えるための言葉。
西本願寺の安永雄玄執行長は会見で、次のように述べた。「現代においてお寺は、葬式やお墓が主体かのように捉えられている。しかし元来は人々の生活の中心にあり、生きる喜びも悲しみも共有する存在だ。宗門が掲げる『自他共に心豊かに生きることのできる社会の実現』とは、現代風に言えば『ウェルビーイングの実現』となるだろう。そのためには、西本願寺はもちろん、どこのお寺も魅力づくりに励み、一人でも多くの方に参拝いただくことで、お寺や僧侶とご縁を結ぶ機会を増やすことが重要だと考えている」
また、会見には、ブランド全体のコンセプト設計とタグラインを手がけたクリエイティブディレクターの原田朋氏も出席。原田氏は「タグラインのテーマはご縁を見つめ、ご縁を大切にすること。つまり『無縁社会を、ご縁社会へ』に変えていこうという、西本願寺の意志表明だと思っている。クリエイティブディレクターとして、そのための貢献ができれば」とコメントした。原田氏は西本願寺のクリエイティブディレクターに就任し、今後もさまざまな情報発信に関わっていくという。
アドタイ編集部からのお知らせ:12月から原田朋さんの新コラム「51歳CD、お寺のブランディングディレクターになる」がスタートします。ご期待ください。
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