自分の中の「頑張れるレベル」が段違いに上がる 人生でいちばん純度の高い8ヶ月

“アートディレクターとコピーライターの出会いの場をつくる”をコンセプトに、2021年に始まった「アートとコピー」阿部広太郎クラス。「卒業生の活躍がすごい」と瞬く間に大人気講座となり、先日終了した第三期からも続々と結果を出すコンビが輩出されています。第四期の開催が決定したことを受け、去る12月16日、第三期受講生のアート生3人をゲストに迎えた「デザイナー座談会」が開かれました。デザイナーとして、あるいは一人の人間として、3人がこの講座から得たものは何だったのでしょうか。阿部さんを交えてお話しいただきました。

 

力があるのに抜け出せないのは「言葉」の力不足かも

―最初に、皆さんがなぜこの講座を受講されたか教えてください。

江口:はじめまして、江口です。私は2021年に多摩美術大学を卒業し、広告制作会社でデザイナーをしています。受講を検討していたのはちょうど社会人3年目になる頃で、そろそろ「初心者マーク」を外さなきゃいけない時期なのに、先輩の指示なしに自分がどこまでできるのか正直不安で。また、業務に追われるうちに「デザインって楽しかったっけ…?」なんて思う日もあり。そんな時にSNSでこの講座の存在を知り、「同じ熱量を持った方と一緒に作品制作に取り組むことで、今の自分を変えられるのではないか」と思い応募を決めました。

江口光希 氏
デザイナー/アートとコピー3期生

神奈川県横浜市出身。2021年 多摩美術大学統合デザイン学科卒業、同年電通クリエーティブXにデザイナーとして入社。広告グラフィックを中心に、新聞広告やOOHなどの紙媒体から、ロゴ・Webサイト・バナーなど様々な媒体のデザインに取り組む。3年目に差しかかった頃、自身の成長に伸び悩み「自分を変えたい。」という気持ちで「アートとコピー」に参加。講座内の課題でコンビで制作した作品が、「枠を超えていく新聞広告賞 ワクコエ。」にて広告主特別賞を受賞。

辻村:私は青森県青森市在住でグラフィックデザイナーをしている辻村です。二児の母です。元・任天堂デザイナーの前田高志さん率いるクリエイター集団「前田デザイン室」というコミュニティに所属しており、この講座を知ったのも前田さんを通してでした。

阿部:前田さんは2023年に講師として登壇いただきましたね。

辻村:はい。その前田さんが、「実力も経験もそこそこあるけど、なんだか抜け出せないって人は多分言葉が足りていない。言葉を考える人と(組んで)競争することで、デザイナーとして輝きそう。(そして言葉を学ぶのであれば、人から教わるよりは)コピーの話をせざるを得ない環境にいる方が学べる」と、コミュニティ内のデザイナーたちに向けて講座のお誘いをされていたんです。この「なんだか抜け出せない」ってまさに私で、だったら私にピッタリなんじゃないかと。そもそも私は地方にいて、常に「東京で活躍する人たちに比べて自分はレベルが低いのかな、お話にならないんじゃないかな」と自信を持てずにいたんです。この講座を受けることで、「言葉」という新鮮な世界から刺激を受けるのはもちろん、自分のデザイナーとしての力量も確かめられるんじゃないかと思い受講を決意しました。

阿部:デザイナーも言葉を学ぶことで、より力を持った提案ができる。逆に、コピーを書く人もデザインを意識して学ぶことで言葉がより立体的になる。化学反応を自分の中に起こそうと前田さんはおっしゃっているんですね。まさにそうだなと嬉しくなりました。船曵さんはいかがでしょうか。

船曵:インハウス広告代理店で、アートディレクターをしている船曵と申します。受講動機はたくさんあるのですが、いちばん大きかったのは「コピーライターの方と共同作業をしてみたい」ということでした。実務ではコンセプトがまとまった段階から参加して、グラフィックでどう見せるかを担当することが多くて。本当はコンセプト開発の段階から入りたいと思いつつ、自信がなくて言い出せず…。少しでも経験を積めれば、やりたいと言えるんじゃないかと悩んでいた時に講座の存在を知りました。「8ヶ月で7人と組める」という、短期集中でたくさんのトライアンドエラーができることにも魅力に感じて応募を決めました。

船曵香代 氏
アートディレクター・デザイナー/アートとコピー3期生

神奈川県茅ヶ崎市出身。東京デザイン専門学校卒業。 医学書出版社、デザイン制作会社を経て、現在はインハウス広告代理店でおいしさを伝えるビジュアルコミュニケーション制作に携わる。宣伝会議の講座でコピーを学んだことをきっかけに、もっと言葉とビジュアルを組み合わせた表現に取り組みたいという考えから「アートとコピー」3期に参加。第71回朝日広告賞にて小型広告賞受賞。

 

うまいラーメンをつくれているか?

―この講座には多くのゲスト講師が登壇します。講師からの言葉で印象に残っているものはありますか?

船曵:私は副田高行さんの「よくできただけじゃダメ。琴線に触れないと」という言葉が印象に残っています。副田さんの講義を受けられる・制作物を見て頂けるというのも受講動機の1つだったので、間近で副田さんのパッションに触れられたことは貴重な体験でした。「琴線に触れないと」という言葉は、相手に届けるにはどうすればいいんだろうと考えていた自分にとって、意識すべき大事な視点を与えてくれたように思います。

辻村:私も副田さんの言葉になってしまうのですが、「デザイナーって楽しい仕事じゃん」とおっしゃっていたのがすごく印象に残っています。つまんないデザイナーでいればつまんないんだけど、デザイナーとしてのレベルが上がれば上がるほど楽しい職業なんだよって。それをラーメンに喩えて「うまいラーメンをつくろうよ。うまいラーメンをつくれば仕事って途絶えないよ」と表現されていたことが心に残っています。今でも時折思い出して、「今の自分、うまいラーメンつくれてるのかな」って思ったりします。

辻村郁子 氏
デザイナー/アートとコピー3期生

青森県青森市在住。2012年「弘前大学教育学部 生涯学習課程 芸術文化専攻」卒業。大学在学中にアルバイトで入ったデザイン事務所「マスグラフィックス」にそのまま就職。主に、地元の企業・店舗などのロゴ制作、広告、イベント関連、伝統工芸品ブランドの運営などに携わる。2022年、オンラインコミュニティ 前田デザイン室に入会。室長の前田高志さんから「アートとコピーを受けてみては?」というお誘いをいただき、本講座を受講することに。本講座で取り組んだ、「枠を超えていく新聞広告賞 ワクコエ」で、審査員特別優秀賞と広告主特別賞をW受賞。

江口:私は鈴木智也さんの「たくさん受賞を逃しましょう」です。私はそれまで「コンペに挑むなら結果を出さなきゃ意味がない」とずっと思っていたのが、この言葉で「必死になって考え抜いた過程こそが財産だったんだな」と感じられて。コンペに出すことの意味が自分の中で一新されました。なかなか賞が取れずに落ち込んだ時も、「何度も挑戦し続けている人がいる。だから自分も頑張ろう、次に繋げよう」と思えるようになりました。

阿部:僕はかつて、鈴木智也さんと組んで何度もコンペに挑戦し、何度も受賞を逃しているんですよね。結果が出ると嬉しいのですが、結果が出なくても課題に向かって考えた時間は筋力になっていて。そこに自分で目を向けてあげることって、とても大事なんですよね。

 

「あと、出会いだけが足りない」人へ。

―最後に、この講座で得たものを教えてください。

江口:私は苦手意識のあったアイデア出しへの抵抗感が少なくなりました。今まではただやみくもにアイデアを考えていましたが、毎回違ったコピーライターの方々が、多種多様なアイデアの出し方や考え方をされているのを身近で見続けたことが意識の変化に繋がったと思います。テーマに対してwhat to say/how to sayを言語化して整理してくださったり、出していただいたキーワードからデザインを考えたことも沢山ありました。

「ワクコエ」という広告賞に講座で取り組んだ際も、何十個もの案を出して打ち合わせを重ね、最後の一週間は夜中の3時4時まで相方と「ああでもない、こうでもない」と言っていて。しんどかったけど、青春だったなって思います。そんな時間を経て作った作品が、受賞という形で見た人に届いたことを実感できて嬉しかったです。

そうした時間を振り返るに、この講座は「もがきたい人」にぴったりなんじゃないかと思います。成長したい、変わりたいという思いはあるけれど、自分一人だと一歩踏み出せなかったりする経験が私にもあります。でもここに来れば、とりあえず挑んでみたり、とにかく手を動かしてみたりする環境や仲間が揃っている。自分一人では諦めてしまうような場面でも、講座の仲間がいることで乗り越えられる。そんな8ヶ月間の経験が自信に繋がりました。

阿部:この環境が自分を突き動かしていくというのはありますよね。

辻村:私はデザインだけではなくコピーも意識して制作するようになりました。以前はほぼデザインしか見ていなかった私が、普段街中で目にする広告など、デザインだけではなくコピーも意識して見るようになりました。受講後、仕事で「QRコードと社名が載っていればいいから」と言われるような小さな広告を任された時に「自分なりにコピーを書けないかな」と思って。それで試しに書いてみて上司に見せたら、「あ、こっちの方がいいね!」と言ってもらえてそれに決まりました。小さい仕事でもひとつの「企画」として捉えて、自分なりにコピーを書き出してみる。明らかに自分が大きく変わったところだなとすごく思いました。これを読んでいる方の中にも、変わりたい人、仲間を求めている人はたくさんいると思います。そういう人にぜひ受講してほしいと思います。受講中は相方とともに真剣に課題に向き合い、

これまでにないくらい熱量の高い、スポ根漫画のような日々でした(笑)。そして受講後も「これ一緒にやろうよ!」と誘っていただいて、いろんなことに挑戦する日々が続いています。

船曵:私はこの講座をやりきったことで、自分の中の「頑張れるレベル」が段違いに上がった気がします。人生でいちばん純度の高い前向きな気持ちでやりきれた8ヶ月で、それは組んでくださったコンビの方々の存在があってこそです。「ここまで頑張れる」というレベルを格上げしてもらったと感じていますし、この経験を自信に繋げたいという強い気持ちがわきました。ですから、この講座は「もうちょっと頑張りたいと思っている人」や「頑張り方がわからなくなっている人」にぜひおすすめしたいです。やる気に満ちたコピーライターやデザイナーが集まって、魅力的な講師陣から面白い課題を出して頂ける。そんな舞台を整えてもらっていて、あとは取り組むだけ。学ぶには最高の環境だと思います。

阿部:船曵さんは、仕事でも何か変化はありましたか?

船曵:プレゼンが苦手なのですが、コンビの方々との打合わせの日々を重ねた結果、以前よりは話すことへの抵抗が少なくなりました。先日会社でちょっとしたプレゼンをした時に、尊敬する上司から「話すのが上手くなった」という言葉を頂ける機会もあって。意外な形で自分の中に残った成果もあったんだなと嬉しく思いました。

阿部:広告賞の受賞だけじゃない、そんな副産物もあったんですね。それを聞いてすごく嬉しくなりました。最後に、第四期の受講をご検討くださっている方に向けてのアナウンスです。この講座はコピーやデザインを手取り足取り添削する講座ではありません。実際にコンビが作ったものを、みんなで「何が良いのか」「こうすればいいよね」と語り合い、受け止めて、徐々に「選ぶ目を育てていく」講座です。僕たちは全力で舞台を用意しますが、あくまでも主役は参加者。集まる人の思いが何よりも大事です。「あと、出会いだけが足りない」と思っている方にとっては良いご縁がたくさん生まれていく場になるのではないかと考えています。修了生の声もぜひ参考にしていただき、ご参加のご検討をいただければ幸いです。

阿部 広太郎
電通/コピーライター

電通入社後、人事局に配属されるも、クリエーティブ試験を突破し、入社2年目からコピーライターとして活動を開始。自らの仕事を「言葉の企画」と定義し、広告クリエーティブの力を拡張しながら社会と向き合う「クリエーティブディレクター」を目指す。2015年より、連続講座「企画でメシを食っていく」を主宰。「企画する人を世の中に増やしたい」という思いのもと、学びの場づくりに情熱を注ぐ。著書に『待っていても、はじまらない。ー潔く前に進め』(弘文堂)、『コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術』(ダイヤモンド社)、『それ、勝手な決めつけかもよ? だれかの正解にしばられない「解釈」の練習』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『あの日、選ばれなかった君へ 新しい自分に生まれ変わるための7枚のメモ』(ダイヤモンド社)。

 

(質疑応答)

Q. 参加できる人のレベルの目安を教えてください。

A. 何より大事なのはやる気です。というのも、どれだけできるかというより、それよりは人それぞれに積み重ねてきたものに注目したいと考えるからです。この講座では、自分の力と相手の力を組み合わせて最大限にしていきます。過去には学生で参加されて伸び伸びと取り組み結果を出された方もいますし、デジタルに知見のある方が参加して朝日新聞広告賞のデジタル連携の部で結果を出された方もいます。レベルやジャンルより、やる気。そう思っていただければと思います。

Q. 参加にはポートフォリオの提出が必須ですが、どのような内容だと良いですか?

A. 必ず「こういう内容がないといけない」というものはありません。これまでに書いたものやつくったもの、してきた活動を「伝わる」ようにまとめてください。選考の際に見ているのは、どんな人なのか、出会う準備ができているかという点です。あとはご自身の解釈で構いませんので、気持ちのこもったものをお待ちしています。

※受講決定後、講座同期生にそのままポートフォリオを共有しますので、共有が難しい件は記載しないでください。

Q. 講座当日にどうしても都合がつかない場合のアーカイブ受講は可能ですか?

A. 残念ながらアーカイブ受講は実施しておりません。ただ8ヶ月の中で不測の事態も起きうるかと思います。その際には別途ご相談ください。

Q. コンビを組んだ受講生同士はどのように連絡を取り合っているのでしょうか?

A. zoom、Miro、LINE通話、Google Meetなど、それぞれがやりやすい手段で連絡をとりながら制作を進めています。遠方からの参加者の場合、講座の期間を通して一度も直接会っての打ち合わせをしたことがないという方もいますが、問題なく受講いただいています。

Q.忙しくて課題への時間が割けない時などはどんな工夫をしていましたか?

A. 課題とコンビの発表は、毎回の講義の最後に行われます。そこから課題の提出まではおよそ3週間あります。この3週間を毎回フルで全力疾走する必要はなく、事前に忙しくなる時期がわかっている場合はそこを避けたり、各々がアイデアを考えてくる時間と詰めて作業する時間を分けて緩急をつけたりと工夫されています。アート生は締め切り直前にどうしても作業が増えるので、職場や家族に理解してもらってサポートを受けるという方もいらっしゃいました。

 

広告業界を超えて活躍する、最強のコンビを、ここから。

コピーライター養成講座×アートディレクター養成講座
「アートとコピー」コース 阿部広太郎クラス

第4期、エントリー締切(2月15日)迫る!
コピーライターとデザイナー・アートディレクターが共に学び、切磋琢磨し合う特別な講座です。

◯2024年3月9日(土)開講
◯コピーライターとデザイナー・アートディレクターをそれぞれ25名ずつ募集します。
◯2024年2月15日(木)エントリー締め切りです。
◯エントリーのためにはポートフォリオ提出が必要です。

詳細・お申し込みはこちら

 

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