メール受信設定のご確認をお願いいたします。

AdverTimes.からのメールを受信できていない場合は、
下記から受信設定の確認方法をご覧いただけます。

×

記者との関係性構築で得られる第三者の目を持つことが広報のミッションのひとつ コミュニケーションの学びを次世代につなぐ

share

広報、マーケティングなどコミュニケーションビジネスの世界には多様な「専門の仕事」があります。人事異動も多い日本企業の場合、専門職としてのキャリアを積もうとした場合、自分なりのキャリアプランも必要とされます。現在、企業のなかで広報職として活躍する人たちは、どのように自分のキャリアプランを考えてきたのでしょうか。

横のつながりも多い広報の世界。本コラムではリレー形式で、「広報の仕事とキャリア」をテーマにバトンをつないでいただきます。竺原 薫さんからの紹介で今回、登場するのは石川ひとみさんです。

写真 人物 プロフィール パナソニック オペレーショナルエクセレンス ブランド・コミュニケーション部門 コーポレート広報センター 石川ひとみ氏

パナソニック オペレーショナルエクセレンス
ブランド・コミュニケーション部門 コーポレート広報センター
石川ひとみ氏

パナソニックグループにおいて、対外広報を担当する東京広報課の課長を務める。事業会社を含めると200名強の広報担当者が在籍し連携している中、グループ経営やブランドイメージ向上に貢献する広報活動を行っている。これまでに、パナソニックグループのさまざまな情報を国内外に発信し、グループの認知度や好感度向上に貢献してきた。また、メディアとの信頼関係を築き、正確でタイムリーな情報発信を心がけている。今後も、広報の力をさらに活用して、パナソニックグループの価値を社会に広く伝えていきたいと考えている。

Q1:現在のお仕事の内容とは?

パナソニックグループにおいて、在京日系メディアの広報窓口を担当しています。パナソニックグループが2022年4月より事業会社制(ホールディングス制)へ移行したのに伴い、ホールディングスと一体運営し事業会社の下支えをするパナソニック オペレーショナルエクセレンス(株)ブランド・コミュニケーション部門のコーポレート広報センターに所属しています。事業会社がそれぞれの製品やサービスの事業情報発信を担当するのに対し、我々はグループ全体に関わる経営発信を担っています。具体的には、経営基本方針に沿ったグループCEOによるグループ全体の方向性を示す事案を中心に、グループ戦略方針、決算、技術の発表、ホールディングス役員の発信などを企画立案実行しています。

Q2:これまでの職歴は?

三洋電機の実業団バレーボール部に入団し、社長室広報課に配属されました。現役時代は午前勤務、午後練習が基本だったものの、合宿やリーグ戦で勤務は殆どなく、ほぼバレーボールだけをしていましたが、経営環境の変化で実業団チームが解散となり、広報の仕事に専念することになります。その後、三洋電機のパナソニック子会社化と同時に(旧)パナソニック(株)の広報へ異動となり、現在に至ります。

業務としては対外広報に偏っており、製品に紐づいたマーケティング広報、事業部門経営陣の一画でリスクから方針まで一貫して担う事業広報、経営と製品を重ね合わせたブランド構築を行うブランド広報と、それぞれ異なる立場で、広報活動に携わってきました。

直接顧客であるマスメディアの記者の皆さま、社内の同僚から経営幹部まで、社内外のお客様が私の大事な広報の先生でした。

Q3:転職や社内異動などに際して、強く意識したこととは?

素直な気持ちでいることです。

三洋電機からパナソニックに所属替えになった時には、メディアからの頻繁な問合せの殆どが全く知らないことばかりで、自分の無知さと向き合う日々でした。電話を取るたび「パナソニッククイズってやつだ!」と周囲にも無知さを示しつつ、知識を高める学びの機会と捉え、教えを請う範囲を同僚から徐々に社内半径を広げました。素直に知らないことを教えてとお願いすると、誰一人として拒む方はいませんでした。その後、記者に対しては、プロパーでは話しにくい、客観的なパナソニックの良さを伝えたりするようになるのですが、これも本心で良いと思うパナソニックらしさ、実直さを素直に伝えるだけなので、記者の皆さまに違和感なく受け取ってもらえているように感じています。

Q4:国内において広報としてのキャリア形成で悩みとなることは何?

バトンを渡して頂いた鴻池運輸の竺原さんのお悩みに共感しました。社内での広報部門の位置づけ、存在意義を経営幹部はじめ社内にどのようにどれだけ浸透させられるか、が企業広報においてはかなり重要な課題と思います。良い時も悪い時も、多くのステークフォルダーとのコミュニケーションを形成する広報部門ですが、経営の中枢に位置する企業広報部門は限定的です。数値的なKPIはもちろん、他にどのようなアプローチがあるのか、価値を上げられるのか。昨年より日本PR協会の企業部会活動に携わり始めたので、同じ悩みを持つ仲間たちに素直に相談せねば、と考えています。

Q5:広報職の経験を活かして、今後チャレンジしたいことは?

無意識のうちに対外広報に携わっている時間が長くなりました。学んだことは、広聴の重要性です。リリースの字面だけでなく裏側にある本音や想いを記者へ伝えるのと同時に、記事の見出しや短い文面に囚われず、記者の本音をお聞きし、次に活かす。メディアというより個々の記者との関係性構築で得られる第三者の目を持つことが広報のミッションのひとつであると考えます。媒体やツールが変化しても受け取るのは人である点は不変で、聞く耳を持つ企業姿勢を否定的に捉える人はいないと考えます。定性的ではありますが、コミュニケーションの基本となる学びを次代に、つないでいきたいです。

【次回のコラムの担当は?】

次にバトンをお渡しするのは、昨秋よりOsaka Metroで広報戦略部長を務める弓家田さんです。オレンジページ社に新卒入社、料理から家事全般、美容、旅行などさまざまなジャンルの編集に携わられていた後、メディア目線ならではの知見・経験を活かし、ミールキット宅配のヨシケイ開発、ボンカレーで有名な大塚食品にて、広報、宣伝、SNS戦略、CSRなどの業務を取り仕切り、2023年秋、それまでの<食>ジャンルとは180度違うインフラ企業の大阪市高速電気軌道(愛称:Osaka Metro)の広報戦略部長にご就任。大阪で初の単身赴任中です。

advertimes_endmark