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マーケ部門中心に事業化を模索 明治、カカオ廃棄部位の美容成分

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明治は1月10日、チョコレートの原料となるカカオの実で廃棄していた部位に、スキンケアなどに活用できる成分が多く含まれていることを発見し、素材化に成功したと発表した。食品分野での活用のほか、化粧品領域も視野に入れて事業化を目指す。明治の全社プロジェクト「ひらけ、カカオ。」の一環で、同プロジェクトは明治カカオマーケティング部CXSグループを中心に、バリューチェーンを担う各部署で連携して進めている。

チョコレートの原料となるカカオ豆の種皮=カカオハスクに、肌の潤いを保つ効果などがあるセラミドが、ほかの植物よりも多く含まれていることを発見した。成分研究で協力した帝京大学の古賀仁一郎教授(バイオサイエンス学科)によると、セラミドには肌に塗る用途の「ヒト型遊離セラミド」と、食品用途の「グルコシルセラミド」の2種がある。カカオハスクは「ヒト型遊離セラミド」が特に多く、カカオハスクの持つ遊離型セラミドのうち36%を占めるという。

「通常、植物が含むヒト型遊離セラミドは少ないので、化粧品用途には合成セラミドが用いられることが多い。カカオの未活用部位から本格的に抽出できるようになれば、ヒト型遊離セラミドの大幅なコストダウンにつながる可能性がある」(古賀教授)

写真 人物 明治 松田克也社長
明治 松田克也・代表取締役社長

カカオハスクの国内の廃棄量は年間で約5000トンで、グローバルでは約50万トンに及ぶ。明治の松田克也社長は、事業化に向け、「カカオに携わる人すべてを笑顔にする。そのためにカカオの持つ価値を高めたい。今回の美容成分も実用化できれば、素材面でも、カカオ産地への還元としても、インパクトは世界規模になる。原産地の大使館の協力などもいただきながら、明治としてカカオ全体の活用をリードしていきたい」と話す。

先行して食品用途の「グルコシルセラミド」を用いたチョコレートを、コーセー傘下の化粧品メーカー、アルビオンと共同開発した。昨年12月28日から阪急阪神百貨店オンラインストアで先行販売しているほか、1月5日からは「サロン・ドュ・ショコラ東京」のeコマースサイトで、同17日からは「サロン・ドゥ・ショコラ東京」のイベント会場でも販売する。価格は3240円(税込、9枚入り)。

車軸はマーケティング部

カカオの美容分野での活用は、原料調達から製造、出荷といったバリューチェーン全体でカカオの経済価値向上を目指す全社プロジェクトとして、2022年3月に発表した「ひらけ、カカオ。」の一環。23年6月にはプロジェクトではカカオハスクを素材とした家具や雑貨などを開発する「CACAO STYLE」をスタートしている。

写真 人物 明治 カカオマーケティング部CXSグループ長 木原純氏
明治 カカオマーケティング部CXSグループ長 木原純氏。CXSは、「カカオ(C)・トランスフォーメーション(X)・ウィズ・サステナビリティ(S)」の略記。「ひらけ、カカオ。」に関連した発信では、明治が制作協力した映画の公開や、絵本の発刊も控える

「ひらけ、カカオ。」プロジェクトの車軸となっているのは、明治カカオマーケティング部CXSグループだ。同グループ長を務める木原純氏は、「明治は2026年にチョコレート100周年を迎えるが、長きにわたって携わってきた『カカオ』から、事業とサステナビリティの融合を図ろうという方針を掲げている」と話す。

「カカオ」における事業とサステナビリティの融合は、松田社長の思い入れも強い。チョコレートにおいてはカカオの実全体の10%ほどしか用いず、豆の発酵に果肉が必要であることを加味しても、活用できているのは約3割に留まる。大半が廃棄されるカカオに新たな付加価値をもたらすことは、事業面でも持続可能性においても重要だ。

『ひらけ、カカオ。』では調達や生産、商品開発、サステナビリティ推進などで分科会を組成し、それぞれにマーケティングセクションが参加する。明治のカカオにまつわる商流のすべてを巻き込んだプロジェクトのまとめ役が、なぜマーケティング部門なのか。

「社内としては部門ごとに向いている方向や用いる“言語”が異ならないようコミュニケーションを円滑にすること。対外的には、ニーズやシーズの探索から最終的なコミュニケーションを担うマーケティングセクションとして、事業と顧客をどのようにつなげるか、という役割も果たしたい」(木原氏)

昨年2月には、明治が新たに素材開発した、カカオフラバノールエキスやカカオグラニュールを用いた商品を、クラウドファンディングサイトで公開。1000万円を超える資金を集めるなど、大きな反響を得た。ただ、すぐには市販に移さず、ターゲット層のリアクションをさらに精査する。

「各商品を届けるべきお客さまと商品をどのようにつなぐか、市場拡大の目処や事業性の確認を経て、地盤を固めていく」(木原氏)

カカオセラミドについても、「どれくらいのヒト型遊離セラミドを安定的に原料として抽出できるのかを研究している。協業パートナーと共に、素材化、原料化する計画を立て始めた段階」と話す。食品用途で発表した製品も「食品用途のグルコシルセラミドの、まずは一歩目」として、堅実に市場性を見極める。

「サステナビリティと事業の融合のモデルケースを、チョコレートでつくる。そこに、社内関係部署のメンバーも共感していると感じる。マーケティングセクションとして、関係各所と連携して、着実に実施していきたい」(木原氏)

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