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広告会社にメディアとも共創 競合の概念の先にある、講談社の「『超』メディアビジネス」とは?

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講談社は2023年10月30日にリアルイベント「講談社メディアカンファレンス2023」を開催した。テーマは「Inspire Impossible Stories ~コンテンツの共創で生まれる価値~」。

冒頭のあいさつに登壇した講談社の野間省伸社長。

2022年に同カンファレンスを開催した際には、「語ろう。メディアのミライ」というテーマが掲げられていた。このテーマのなかで見えてきたのが、講談社という出版社を取り巻く多様なステークホルダーとの共創の可能性だ。そこで2023年のカンファレンスでは、共創によってどのような価値が創出されているのかが、紹介された。

会場となった東京會舘には広告業界関係者が多く集まった。

すでに2022年からリアルで再開していた「講談社メディアカンファレンス」だが、今年は真の意味でのポストコロナを象徴するようなイベントとなった。コロナ前に実施していた本来のカンファレンスの構成が完全復活し、メディアと広告の現在とミライを読み解くトークイベント「ミライトーク」、交流イベントの「ビジネスハングアウト」をリアルイベントとして開催。「ミライトーク」は2024年1月31日までオンラインでも視聴が可能だ。

3本の企画が行われた「ミライトーク」では、講談社の編集者が音部大輔氏など外部の有識者とパネルディスカッションを行った。期間限定でアーカイブ配信も行われている。

また、当日は「講談社メディアアワード2023」の受賞企画の発表、ならびに贈賞も行われた。2022年7月~2023年6月に発表された広告企画の内、特に優れたものが顕彰の対象となり、審査基準となるのは、「課題発見・設定力」「プロジェクトデザイン力」「コンテンツ力」「コミュニティ力」「マーケティング成果」の5つ。2023年は6つの企画が受賞した。

さらに、そのうち2つの企画が新設の「パートナーシップ賞」も受賞。広告主に限らず、企画において共創しパートナーシップを発揮した企業を称えた。また「講談社メディアアワード」の公式サイトでは企画の詳細に加え、スタッフリストもクレジットするなど、パートナー企業にも焦点を当てた点に今回の特徴がある。まさに、講談社の共創の姿勢を体現するアワードとなった。

メディア、クリエイティブ、さらにマーケティングのパートナーを目指す

カンファレンスでは、ライツ・メディアビジネス局 局次長 兼 メディアビジネス部 部長の佐藤 栄氏が登壇し、従来の「雑誌広告」にとどまらない、クライアントに対する講談社の各種ソリューションの最新動向についても説明があった。

メディアカンファレンスでプレゼンテーションを行う講談社の佐藤栄氏。

講談社では、2022年にコンテンツマーケティングを軸とした課題解決型コンサルティングサービスの「KiisS(キーズ)」、読者コミュニティも生かしたマーケティングリサーチや調査・分析サービスの「MCL(講談社メディア・コミュニティ・ラボ)」、読者データを活用したデジタル広告配信など、デジタルマーケティングサービスの「OTAKAD」の3つのサービスをそろえ、クライアントにとってクリエイティブパートナー、マーケティングパートナー、メディアパートナーとなることを目指してきた。

佐藤氏は「2023年はこれらの柱となるサービスが揃ったことに満足せず、提供の幅やクオリティを上げるなど、進化しつづけることに重きを置いてきた。2024年はそれらを基盤とした営業方針として『「超」メディアビジネス』を掲げることにしたい」と話す。

実際、同社では「メディアアワード」も受賞した『FRaU』と徳島県とのサステナブル×旅をテーマにした「S-TRIP」企画を筆頭に、地方創生、政府や地方公共団体・教育機関との連携、インバウンドなど多種多様なマーケティング課題に対応している。さらに講談社のグループ会社であるキングレコードに所属する人気声優を起用した商品のプロモーションやVR映像の制作など、手持ちのカードも豊富になってきている。佐藤氏は「クリエイティブのみならず届け方も含めて相談可能」と説明する。

こうした守備範囲の広がりから、「講談社は広告会社の役割を担っていくのか」という見方をされることもあるという。しかし、ライツ・メディアビジネス局 局次長 兼 メディア開発部 部長の長崎亘宏氏は、こうした見解を否定する。「広告会社は『全体を見る力』『最適化』『バジェット管理』など、私たちが持ち得ないスペシャルな役割をたくさんお持ちです。それに対して、我々が担うのは、情報発信とビジネスマッチング、そして、コンテンツ開発とIP活用など、広告会社さんを補完する役割。広告会社さんが全体をグリップして企画を進め、同様のサービスを持つ我々がスムーズにいくように多面的にサポートをする。いわば、広告会社さんと講談社は『アダプターとコンセント』の関係です」(長崎氏)。

実際、「メディアアワード」の受賞企画でも広告主と広告会社と講談社の共創が様々な効果を生み出していることがわかる。2023年4月に開催した「美肌フェス」では雑誌『VOCE』、@cosme、美容家・石井美保氏がトリプルコラボ。誌面・WEB・リアルで、商品の紹介から販売チャネルまでをセットで展開した。

2022年に引き続きアワードを受賞した、前述の徳島県と『FRaU S-TRIP』の取り組みでは、1冊まるごと徳島県を特集した号を販売。TOKYO MXで30分の特別番組『わたしのS-TRIP SDGsをまなぶ徳島旅』が放送されるなど、メディアミックスも。いずれも、雑誌の販売だけではなく、課題解決を第一の目的にしたことがポイントだという。「得意領域のかけ算をすることで、よい共創が生まれたと思います。結果として、広告会社さんも講談社の雑誌を半分自分の商品だと思って提案していただけたと思います」(佐藤氏)。

メディアカンファレンス会場内では、メディアアワードの受賞企画の概要の展示も行われた。

中長期の取り組みで事業支援を。未来を見据えた取り組みで「世の中ゴト化」を目指す

2024年の目標に「『超』メディアビジネス」を掲げた講談社。単発や短期の広告やタイアップ企画だけではなく、中長期的なプロジェクトに取り組むことで企業の事業支援を目指したいという想いを込めた言葉だ。

「我々は同じような課題や思いを持っている方々をビジネスマッチングさせることを得意としています。また、メディアは中立でいられることも強みのひとつ。マッチングした企業同士で新しいサービスや取り組みを作り、それを中長期的に運用していくことで、課題解決はもちろん、ムーブメントを作り、『世の中ゴト化』したりすることが可能です」と佐藤氏。

具体例としては、今、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)に取り組もうとしているという。「各広告会社さんの強みを活かしつつ、『FRaU』や『COURRiER JAPON』などの媒体から、よりライフスタイルに沿った形でお届けすることで、企業の課題や社会課題の解決を第一の目的に取り組んでいく予定です」(佐藤氏)。

また、昨年に引き続き、メディア運営のノウハウをサービスとして提供することも大きな目標として掲げる。佐藤氏は2024年の展望を「私たちが試行錯誤しながらやっている『メディアの運営』や『記事を出し続ける』ことは、ほかの企業さんから見れば、特別なスキルだと、言われて気づくことがありました。そうしたノウハウを自分たちのメディアにとどめることなく提供することで共創していきたいと考えています」と語った。

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「講談社メディアアワード2023」
受賞企画の詳細は、特設サイトでご覧いただけます。
◆特設サイト https://ad.kodansha.net/KMC2023/



お問い合わせ
株式会社講談社
MAIL:media_conference@kodansha.co.jp
URL:https://c.kodansha.net/