LINEでの対話で不安払拭、会員化

エン・ジャパンが「DMMチャットブーストCV」で成果を伸ばしている。活用しているのは30代・40代を中心とした「ミドル世代」の転職/採用を支援する求人情報サイト「ミドルの転職」と、 若手ハイキャリア向けスカウト転職サービス「アンビ（AMBI）」の2つ。「ミドルの転職」では、導入前後で月間の会員登録数が110％超となった。この結果を受け、「アンビ（AMBI）」への導入を決定。同様の伸びを見せつつある。

ランディングページ（LP）に着地しても会員登録に至らず、離脱してしまうユーザーにフォーカスした。「DMMチャットブーストCV」の要点は、この離脱者を「LINE」の専用アカウントに誘導したのち、改めて会員登録を促す点にある。「ミドルの転職」を担当するデジタルマーケティング部の月成健瑠氏によると、登録促進LPからは約9割が離脱してしまっていたという。この離脱者をターゲットに、「LINE」上で行うコミュニケーションがカギだ。

「直ちに登録を促すのではなく、たとえば『現在の転職活動の状況に近いのはどちらですか？』として選択肢を提示するなどして、ユーザーの真の状況を汲み取るような会話を行いました。LP自体のメッセージが響かなかっただけで、このコミュニケーションを経て会員登録される方もいらっしゃいますし、転職意向がかなり高く顕在化していなくても、まずは『LINE』で『友だち』登録をしていただき、情報を得るという状況になったのち、登録へという方もいらっしゃいます。対話型でユーザーの状況に合わせたメッセージを送ることができるのは、『LINE』の強みではないかと思います」（月成氏）

このメッセージをどのように出すか。「DMMチャットブーストCV」を開発・運営するAlgoage（アルゴエイジ）で、プロダクト部門長を務める成田穂高氏は、「実は当社で最も人員を割いている」と話す。実に約50％（人）がそうしたコミュニケーション・プランニングの担当者だ。

「目的とするコンバージョン（CV）へ至るために、どのようなメッセージ、アンケートを実施すればよいか。離脱しそうな方へ表示する『LINE』への誘導ポップアップ画面から、『LINE』内でのコミュニケーション、その後のCVまで当社で一貫してシナリオの検討と改善を行い、運用しています」（成田氏）

「ミドルの転職」にとっては、「30歳代後半から40歳代に差し掛かってくると、転職が難しいのではないか」という転職者の“思い込み”も、会員登録する際の心理的な障壁となり得る。ポップアップで表示されるのは、「今の年齢でも転職できるかな？」など、利用者のインサイトに寄り添うようなメッセージだ。また、現在の待遇よりも向上させられるか、という転職後の不安もある。「LINE」上で表示されるアンケートに「年齢が不安」と応えれば、回答した年齢での転職事例などを提示する。こうしたコミュニケーションを通じて、ユーザーの不安を解消し、会員登録へと導く。

導入したのは2023年1月ごろで、導入後の会員登録数は月間110％超となった。成田氏は、「『DMMチャットブーストCV』の会員登録後の応募転換率は、検索連動型広告と同等となっています。今後、サードパーティCookieがほぼ扱えなくなることを考慮すると、『DMMチャットブーストCV』を介し、『LINE』上で関係を築いていくほうが、より効率的に求人応募を促していけるのではないかと考えています」と話す。実際、「事業上最重要な、深いコンバージョンに貢献するのが『DMMチャットブーストCV』」だという。

「ただむやみやたらに会員転換させるのではなく、応募される方のようなより深いコンバージョンが増えるように、会員を増やしていくということを実施しています。単なる会員獲得ではなく、その事業全体の顧客をいかに増やし、ビジネスに貢献できるパートナーであることが、『DMMチャットブーストCV』の強みだと考えています」（成田氏）

そのための分析とプランニングを図るために組織にも厚みを持たせているのだ。

エン社内で水平展開

エン・ジャパンでは、「ミドルの転職」が「DMMチャットブーストCV」で一定の手応えを得たことを受け、若手ハイキャリア向けスカウト転職サービス「アンビ（AMBI）」にも導入した。担当のデジタルマーケティング部 田渕日南人氏は、「アンビ（AMBI）でも同様の成果が出そうだと感じています」と話す。「マーケティングの課題は『ミドルの転職』と似ていたので導入したところ、想定の成果を早く出すことができました」(田渕氏)

さらに今後は、「ミドルの転職」と「アンビ（AMBI）」において、「LINEに『友だち』登録した人に直接求人情報を届ける施策にも挑む。「LINE」内で実施したアンケート結果や、遷移先のWebサイト閲覧状況を踏まえて、ユーザーに合った求人情報を配信する。これらも、サードパーティーCookieが一層扱いにくくなる中で、強い味方となる。

より深いコンバージョンの改善こそ、「DMMチャットブーストCV」の特徴と言える。「DMMチャットブーストCV」は完全成功報酬制で、導入費やランニングコストはかからず、導入後の改善も一貫して引き受けている。