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顧客に価値あるブランド体験を提供する「顧客価値マーケティング」とは?

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顧客価値マーケティングとは何か。なぜ、顧客に価値あるブランド体験を提供することが重要なのか。大広 顧客価値開発本部副本部長の菱田 和宏氏が、顧客価値を指標とし、ブランド体験を設計することの具体的な効果を、事例を交えて紹介する。

顧客がブランドに感じている価値=顧客価値

「顧客価値を積み重ね、ブランドの活動をつくる」をブランドプロミスに掲げる大広。「モノ消費からコト消費へ」といわれるように、顧客の欲求はモノの豊かさからコトの豊かさへと変化している。それに伴い、ブランド評価も商品の機能や使用、サービスのメニューに留まらず、顧客がどんな体験をしたか(ブランド体験)によって評価されるようになってきた。この「顧客がブランドに感じている価値」こそが、「顧客価値」だ。

ここでいう顧客とは、すでに購入した人だけではなく、購入の可能性がある人(見込み客)も含めた「商品・サービスを販売する対象」全体を指す。そして顧客がブランドに感じる価値の対象は、「製品やサービスが提供する効用だけではなく、企業の持つ思想や理念、社会との向き合い方も対象になる」と菱田氏は話す。

「顧客価値を捉える際には、顧客のニーズだけはなく、企業と社会をつなぐ中心にある価値を考えることが必要。企業は社会背景や業界の課題を受けてビジョンや戦略を策定するが、顧客はその商品やサービスを利用することでそれぞれのニーズやウォンツを満たす。そしてそこには顧客がそのブランドに賛同する理由があるはず。それこそが顧客価値」(菱田氏)

実データ グラフィック 株式会社大広の資料 顧客価値

大広が知見を積み重ねてきた領域のひとつであるダイレクトマーケティングは、新規顧客獲得費用をCRM活動によって回収・利益化するビジネスモデルを持つ。すなわち、認知から理解、購入はもちろん、購入後の満足度やリピート(再購入)、ほかの生活者への推奨と、守備範囲が広いのが特徴だ。

「当社では徹底的に顧客を理解するためにさまざまな手法を開発してきた。そこで発見した顧客価値は新規活動の改善に生かし、長く商品を購入する顧客を新規獲得時点から取り込むような活動につながっている」(菱田氏)

実データ グラフィック 株式会社大広の資料 リバースプランニング

顧客価値、どう指標化するか

では、その「顧客価値」をどのように指標化し、活用するか。菱田氏によると、顧客価値指標は、「顧客がどのような価値を感じているか」(QoV)と、感じている価値の大きさ(VoV)で表現できるという。

QoVは機能的な価値と意味的な価値があり、「品質感」「価格面」「効率性」「審美性」「娯楽性」「新規性」「好印象」「利他性」の8つのファクターがある。VoVは、「愛着・共感」といった情緒的な軸と、「継続」と「推奨」2つの行動の軸、合計3つの軸を数値化する。顧客価値指標は、QoVという質的要素とVoVという量的要素の両面をみていく。

実データ グラフィック 株式会社大広の資料 QoVとVoV

大広の自主調査結果をもととしたアウトドアブランドの例では、「VoV」のトップは「ブランドC」だった。次いで「ブランドF」「ブランドD」「ブランドE」となった。

「QoV」では、「ブランドC」と「ブランドF」は「新規性」や「娯楽性」、「ブランドD」は「審美性」や「品質感」、「ブランドE」は「価格面」「効率性」が高い結果となった。

実データ グラフィック 株式会社大広の資料 QoVとVoV
実データ グラフィック 株式会社大広の資料 QoVのアウトプット

アウトドアブランドの中で、たとえば「ブランドA」のプランニングを行うとするならどうか。同ブランドは、今回調査した6ブランドの中では、唯一「新規性」を評価されているのが特徴的だ。つまり、「さらに新規性を高め、リピーターを増やすことで、さらに独自のポジションを築けるのではないか」という仮説が立つ。自由回答には「初めての体験を、ブランドAのスタッフ(とツール、ギア)がサポートしてくれる」というものがあり、店舗を中心としたコミュニティ、スタッフと顧客、顧客と顧客がつながり、新しい体験やつながりを提供することが、新しいブランド体験として提案できる。

評価項目が他ブランドと重複している場合でも、深く掘り下げれば違いは見つかる。たとえば「ブランドC」と「ブランドF」はいずれも「娯楽性」が支持されているが、自由回答では、「ブランドF」の顧客は娯楽性について、「キャンプ」や「非日常」、「バーベキュー」「テント」「焚き火」といったフレーズが見つかる。他方、「ブランドC」のほうは、「気分が上がる・前向き・背筋が伸びる、遊び心・楽しく、有意義な時間」「人を笑顔にする、リフレッシュ・癒される・のびのび」といったフレーズ。「ブランドF」はキャンプやバーベキューに新たな楽しさを提供するようなブランド体験、「ブランドC」は、遊び心で暮らしの気分をあげる体験といった方向性が考えられる。

「顧客価値マーケティングの主眼は、こうした顧客価値指標『QoV』『VoV』の変化をウォッチし、さらにブランド体験を積み重ねること。顧客がブランドに感じる価値を的確に把握し、それに合致あるいは向上させるブランド体験を次々と提供し続けることが重要だ」(菱田氏)

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写真 人物 プロフィール 菱田和宏氏

菱田 和宏 氏

1994年新卒で大広入社。以来、幅広いカテゴリーのコミュニケーション戦略・マーケティング戦略・ブランド戦略に携わる。戦略立案から戦術展開まで一貫してプランニングするのが強み。顧客価値指標の開発にも携わり、その活用をリードする。



お問い合わせ
株式会社 大広 総務局広報チーム
Email:info@daiko.co.jp
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