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生成AI を使って業務効率化?生産性向上? 「掛け声」で終わらせないAI 導入への道

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従来、実務レベルのAIを活用するためには膨大な資金力と技術力のある一部の企業に限られていましたが、そのハードルを圧倒的に下げ、世界を席巻したのが生成AI。その筆頭である「ChatGPT」はその汎用性の高さから、個人の利用から企業内での利用へと活用フィールドを拡大させています。 しかし活用の度合いに企業間で大きな差が出始めています。そこで宣伝会議教育講座「ChatGPTを活用したビジネス文書作成講座」で講師を務めるナイルの石原翔太郎氏に、企業内で活用するための方法を聞きました。

ChatGPTはチャット型という扱いやすさと、アカウント登録さえすれば無料で使える利用ハードルの低さから2023年に世界を席巻し、日本国内でも利用者数が急増しました。そして現在、最初の物珍しさは消え、「どうすれば私たちの業務でAIを使って業務効率を上げられるのか」という実務に落とし込むフェーズに入りました。ところが、ChatGPT活用して業務の効率の遙か手前、「そもそも社内で浸透しない……」という悩みを数多く聞くようになりました。そこで本記事では、社内浸透の障害となる3要素を可視化し「掛け声」で終わらせないAI 導入への道を解説します。

浸透しない企業その1:ChatGPTでメリットを示せない企業

まず筆頭として挙げられるのは「ChatGPTを使う」という手段が目的化していることです。これでは社内で浸透するはずもありません。なぜなら、社員にとってのメリットが存在していないからです。必要なのはメリットで社内で説くことです。 例えば「コスト削減をして、浮いたお金でやりたかったマーケティング施策を実行しよう!」のように目標を掲げたりすることです。実は当社では既に、ChatGPTを活用することによって年間4,000万円以上のコスト削減に成功しました。ChatGPTで業務を効率化させ、外注費を減らすことによって可能になったのですが、このような会社にとってのメリットを可視化することができれば、一気に軌道に乗せることができます。

しかし、その目的を示さず「ChatGPTを使えないと、時代に乗り遅れる」のような危機感からの掛け声は、ChatGPTを使うことを目的にしてしまうので、わざわざやり方を変えたくない社員からしてみれば、活用の優先度は下がってしまいます。

浸透しない企業その2:担当者の理解が浅い企業

二つ目に、ChatGPTの活用を社内推進する担当者が、実はChatGPTの実務への応用を想定できていないことがあります。ChatGPTの使い方は、どんなプロンプトを書くのか、どんなAPIと組み合わせるのか、どんなプラグインを活用するのか、などによって、非常に幅が広くなります。使い方によってアウトプットが大きく変わるのですが、推進担当者がChatGPTのことをよく分かっていないと、実務で活用できる有効なアイデアも湧かず、改善効果も推測しづらいため、導入は一気に停滞します。まずは担当者が、部分的にでも業務レベルでChatGPTを使えるようにトライ&エラーをする必要があります。そこで大事なのは、いきなり大きく始める、ということをしないことです。簡単な文章作成など日常業務からChatGPTの活用を始めるとスムーズに進んでいきます。例えば、業務報告や依頼メール、FAQなども、ChatGPTで作成が可能です。そういった身近なところから初めてみる姿勢が重要です。それに慣れた後は、例えば会議後など、その担当者が自分のパソコンを見せながら、会議で次までの議題になった項目をChatGPTで一緒に調べてみる、なんて方法も有効です。さらに基本的な業務をChatGPTでできるようになった段階では、全社的な業務効率化プロジェクトを担当するなどもよいでしょう。

(例)使い方のイメージ:ChatGPTで「業務日報」を作った場合

ChatGPTへの指示内容

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ChatGPTの回答:

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浸透しない企業その3:リスクへの「イメージ」が先行し、それを払拭する手立てがない企業

最後にリスクへの理解が甘いことがあげられます。 ChatGPTに入れた情報が悪用された、などのニュースがありますが、正しくリスクを恐れて、正しく対処できるリテラシーをもっていれば、ChatGPTの活用を組織で進めることはできます。下記がその一例です。

1:情報漏洩リスクへの対処法

ChatGPTに入力された情報はモデルの学習に使用され、その情報を他のユーザーに回答として出してしまうことがあります。ただし、ChatGPTでは学習に使うかどうかを「選択」するコマンドが存在します。これでOpen AI経由の情報は学習に使用されません。また、他ツールと接続するようなAPI利用の場合は、モデルの学習にインプットデータを活用しないことになっています。こうした知識があれば情報漏洩をさせずに実務でChatGPTの使用ができます。

2:各種権利の侵害リスクへの対処法

AIは既存のものから学習して情報を回答しているため、ChatGPTで作成した文章などが既存の作品などの著作権を侵害してしまうことがあります。また生成AIのツールによっては商用利用がNGのものもあるため、商用利用の可否や著作権侵害した内容になっていないかは事前に人間の目で確認が必要です。そして、対外的に発表する文章については、素案はChatGPTで素早く作り、必要な要素や構成をある程度参考にしつつ、発表する本体の文章については情報の追加や加筆修正などを行うことで、従来の作業時間よりも圧倒的に素早くアウトプットが作れるようになります。

他にも、誤った情報をChatGPTが回答してしまうリスクや、生成AIが偏った情報元から学習してしまうことによりバイアスがかかったコンテンツを作り出してしまう場合もありますので、AIを100%信頼するのではなく、あくまで最後は人の目による確認をすることで有効活用できる範囲を拡大させることができます

ChatGPTを使うコツ!

担当者に訪れる障害とその乗り越え方を書いてきましたが、一番大事なのは、とくかく初めてみることです。ただ、その始め方を失敗した人は「案外ChatGPT、使えないね……」と言ってそのまま放置している人がいますが、そうならないために、この2つをまず覚えてからやることをお勧めします。それが「Zero Shot プロンプティング」と「Few Shot プロンプティング」です。ちょっと難しく聞こえるかもしれませんが、内容はいたって簡単です。

  • ●Zero Shot プロンプティング:モデルに例示などを与えずに、アウトプットを一定生成AIに委ねる手法
  • ●Few Shot プロンプティング:モデルに例示を与えて、より望ましい回答を生成する手法

この違いによって、ChatGPTの回答も随分と変わってきます。

  • ●Zero Shot プロンプティングの例
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●Few Shot プロンプティングの例→望ましい形に出力されやすい

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ChatGPTはリスクがありますが、正しく使えば業務効率を上げることは簡単にできます。そこで、リスクの対処法とそもそものChatGPTの使い方を、イチから解説している講座が「ChatGPTを活用したビジネス文書作成講座」です。2時間にわたって、基礎、応用に分けてChatGPTを文章作成にどう活用するのかを解説しています。ChatGPTを用いてまずは日常業務を効率化した体験を得たい方や、ChatGPT活用の実務的な知識を得たい方はぜひ御覧になってください。

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写真 人物 プロフィール 石原 翔太郎 氏 ナイル   DX&マーケティング事業部 DX&AI事業推進課

石原 翔太郎 氏
ナイル
DX&マーケティング事業部
DX&AI事業推進課

組織開発を主な領域としたコンサルティング会社にて、組織文化変革・新規事業領域開発・業務改革などを主軸としたソリューションセールスに従事。その後ナイルに入社。現在は生成AIコンサルティングサービスの立ち上げを担い、生成AIの導入支援やコンサルティング、関連セミナーなどを各社にて実施。宣伝会議教育講座「ChatGPTを活用したビジネス文書作成講座」を担当。