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リテールメディアの導入が進む小売店 「宣伝会議マーケティングサミット東京2023」

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東芝テックとEYストラテジー・アンド・コンサルティングが登壇

東芝テックとEYストラテジー・アンド・コンサルティングは2023年11月29~30日に開催された「宣伝会議マーケティングサミット東京2023」で、小売事業者の「POSデータ」(購買情報)を生かしたリテールメディアの活用事例を紹介した。消費者の価値観が多様化することで従来のセグメンテーションが通用しなくなる中、商品の販売だけでなく広告媒体として店舗を生かす動きが加速しているという。

東芝テックのリテールソリューション事業本部データビジネス統括部データサービス推進室の山田陽一朗室長と、EYストラテジー・アンド・コンサルティングの中川遼シニアマネージャーが登壇。POSレジを開発する東芝テックはPOSデータの活用方法について、新規事業をサポートするEYストラテジー・アンド・コンサルティングの協力を得ながら研究を進めている。

冒頭で山田氏はPOSデータについて、購買データから消費者の生活リズムや生活ステージの変化といった動向だけでなく、売れている商品なども把握できると指摘。人や商品だけでなく、事業者や業界全体の動きを捉えるのにも役立つという。分析の対象を地域や社会に広げることで、廃棄ロスや人手不足の解消といった社会課題の解決につなげることも可能としており、山田氏は「POSデータからいろんな可能性が考えられる」と強調した。

写真 人物 個人 山田 陽一朗 氏 大手小売り業にて売り場担当者、その後社長室、EC・ネットスーパー担当者。東芝テックに入社し主に新規事業やデータサービスなどを担当。
山田 陽一朗 氏
大手小売り業にて売り場担当者、その後社長室、EC・ネットスーパー担当者。東芝テックに入社し主に新規事業やデータサービスなどを担当。

中川氏も「データを検証して商品開発に生かすこともでき、消費者軸にも商品開発軸にも役立つ」と指摘。小売店以外での活用事例として、データに基づいた行政や自治体施策の実現、次世代型店舗の実装、家計管理の高度化・合理化などを紹介。また、社会課題の解決手段として、経済・社会動向の把握やカーボンニュートラルの実現のほか、需要予測による食品ロスの解消やエシカル消費の促進といった活用も考えられるという。

実データ グラフィック 東芝テック 業務改善から社会課題解消まで幅広く活用されるPOSデータ

中川氏は「多様な働き方の普及や少子高齢化により消費者の価値観が多様化している」と小売流通業を取り巻く環境について指摘。「小売店は従来以上の役割が求められている。POSデータの所有者としての強みを軸にメディア事業へのシフトを模索している」と説明した。


リテールメディアの導入が進む中で「メディア事業への展開にとどまらず、より踏み込んだマーケティング支援事業者へと変革する可能性がある」とし、今後は広告の掲出だけでなく、集客や商品訴求まで請け負うBPO事業への参入や、テストマーケティングを行う場として店舗を利用する動きも加速するとみている。


これらの動きについて、中川氏は「顧客接点を生かした新規事業を起こしていく土台にもなりえる」と期待を込める一方で「メーカーや広告代理店もこれらの変革を捉えていかないと、不利な立ち位置になる可能性がある。リテールメディアがどういうものか知見を有していくことが必要だ」と指摘した。

写真 人物 個人 中川 遼 氏 日系大手金融子会社、大手外資系コンサルティングファーム2社を経て、2021年より現職。エネルギー、素材、ハイテク、通信業界等、複数業界を対象に、IT構想策定や業務改革等から、チャネル戦略や組織立ち上げ等、複数領域での支援経験を有す。直近は特に、データを活用した新ビジネスの検討に注力しており、複数ビジネス案の策定実績を有す。
中川 遼 氏
日系大手金融子会社、大手外資系コンサルティングファーム2社を経て、2021年より現職。エネルギー、素材、ハイテク、通信業界等、複数業界を対象に、IT構想策定や業務改革等から、チャネル戦略や組織立ち上げ等、複数領域での支援経験を有す。直近は特に、データを活用した新ビジネスの検討に注力しており、複数ビジネス案の策定実績を有す。

東芝テックはリテールメディアの事例として、POS搭載買い物カートを紹介。小売店の人手不足解消のほか、消費者行動を捉えることができるツールとして普及が進む。商品を手に取った順番のほか、カートに入れた商品を取り消して戻すといった行動履歴も把握できる。山田氏は「店内の購買行動を変える、新たなツール」だと強調する。

レシートをスマホで確認できる「スマートレシート」も紹介。東芝テックのスマートレシートアプリは全国約1万5000店舗で利用されている。写真で保存するより高解像度で保存できるため、レシートの細かい記載情報を正確に把握できる。スマートレシートを通じて決算手段や商品番号といったデータも蓄積しており、ポイントクーポンをターゲティングしたり、購入直後にアンケートを配信したりできる。

実データ グラフィック 人手不足の小売店を支えるカートレジ/スマホレジ 消費者のエコ意識や家計簿ニーズにこたえるスマートレシート
写真 人物 複数 山田 陽一朗氏(左)、POS搭載買い物カート(中央)、中川 遼氏(右)
山田 陽一朗氏(左)、POS搭載買い物カート(中央)、中川 遼氏(右)

リテールメディアについて山田氏は「小売の業務を支える土台のレジを通じて、様々な可能性がある」と改めて強調。一方、現在は構想段階の部分も多いと実感しており「皆さんと一緒に、新たなメディアを作っていきたい」と会場の参加者に呼びかけた。

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