メール受信設定のご確認をお願いいたします。

AdverTimes.からのメールを受信できていない場合は、
下記から受信設定の確認方法をご覧いただけます。

×

ブラッシュアップのプロセスに、自分を超える秘訣がある 「アートとコピー」第三期生に聞く、現状“不”満足の活かし方

share

エントリー締切が2月25日に迫る、阿部広太郎さん(電通 コピーライター)が主宰を務める第四期「アートとコピー」。デザイナーとコピーライターが月替わりでコンビを組み、競いながら腕を磨く講座です。過去の受講生の活躍もめざましく、講座での出会いから広告賞をはじめ様々な成果につながるコンビが後を絶ちません。待望の第四期の申し込み締切が目前に迫った2月3日、第三期の最終課題でグランプリを獲った二人を迎えて体験講座を開催しました。グランプリを獲った作品はどのように生まれたのか、制作過程で二人は何を得たのか。詳しくお聞きしました。

なかなか結果を出せない自分にもう言い訳したくなかった

――まずはお二人の自己紹介をお願いします。

島田:アート生枠で参加していた島田陽生と申します。2020年にweb制作会社に入社し、一年半後に転職して今は小さな広告会社に勤めています。

嶋元:コピー生の嶋元司です。2018年に博報堂に入社し、経理からクリエイティブ局に転局してアクティベーションプラナーとして働いています。よろしくお願いします。

写真 人物 プロフィール 島田陽生

島田陽生
デザイナー/ディレクター

2019年にWeb制作会社に入社。その後、広告代理店へ転職。ディレクターやデザイナーとして、デジタルプロモーションの戦略設計~クリエイティブ制作までワンストップで対応。現在はそれらの経験を活かし、ライブ動画学習サービスのSchoo講師や書籍発行などを行い、Schooの月間人気動画ランキング1位を獲得。

――講座に参加した動機をお聞かせいただけますか?

島田:僕の場合、参加理由は非常に単純で、デザイナーとしての表現の幅を広げたかったからです。というのも、ちょうどエントリーする少し前、仕事でアートディレクターの方から徹夜しても終わらないほどのデザインの修正指示を受けていたんですね。デザインを始めたばかりの新人ならまだしも、僕はもうデザイナーとして働き始めて二、三年経っていましたから、「ここまで修正が入るのか」と自信を無くしてしまって。デザイナーとして今後どう自分を磨くのが正解かがわからなくなってしまった時に、知人からアートとコピーの存在を教えられ、何か指針が得られるのではと参加を決めました。コピーライターと組むことで、デザインを0ベースで言語化して作り上げていく経験ができるのも楽しみでした。

嶋元:僕は講座を受けた動機として、ポートフォリオに「結果を出したい。今すぐに。」と書きました。僕も島田さんと似ていて、仕事でなかなか企画が採用されず、もがいていたんです。そんな自分に対して悠長に「少しずつ学んでいけばいい」とは思うことができなくて。実力が足りないなら今すぐ身につけたい。組むデザイナーがいないならすぐ見つけたい。何も言い訳せずに今すぐ結果を出したい。アートとコピーは現状に満足していない人だけが参加する講座だと思っていましたから、自分もここに参加して、今すぐ結果を出せる強いチームを組みたいという思いでエントリーしました。

写真 人物 プロフィール 嶋元 司

嶋元 司
アクティベーションプラナー

早稲田大学商学部卒業、2018年博報堂入社。経理部門を経て、2021年クリエイティブ局に異動。
販促会議賞で2020・2021年シルバー、BOVAで2022年協賛企業賞。業務ではなかなか自分のアイデアが採用されず歯痒さを感じるなか、デザイナーとの掛け算で今すぐ結果を出せる強いチームを組みたいと思い、「アートとコピー」に参加。

お互いの領域を超えて一つの作品を磨き合う

実データ グラフィック

――お二人は「アートとコピー」の広告をつくるという最終課題でグランプリを獲られています。制作の過程をお伺いします。

嶋元:第2回目の講義で、講師のアートディレクター 副田高行さんから「ただの正論じゃつまらない。大爆発を起こす。「このお題でこう来たか」を期待したい。」というメッセージを講座全体にいただいていました。この言葉に触発され、他の16ペアの中で絶対に被らない、大爆発を起こせる切り口を探すことを目標にしました。そこで改めて第一期、第二期でグランプリを獲ったポスターを見た時に、どちらも「二人の力を掛け合わせること」をポジティブに表現しているなと。一方でこの講座の認知度は年々上がっており、「コンビを組んで相乗効果を生み出す」という今までのポスターが描いている内容はそろそろ世間に浸透してきているんじゃないかと。むしろ、そうした情報を知った上で受講を迷っている人には何を伝えたら響くだろうかを考えました。

――「第三期として」、誰に何を伝えるべきかを改めて整理したんですね。

嶋元:そうです。そこからテーマを「反骨精神」に、伝えたい相手は「現状に満足していない人」に設定しました。日頃悔しい思いをしている人が集まって腕を磨き、結果を出す場がここなんだと。とりわけ伝えたかったのは「負けたことにも価値がある」「負けたから成長する」ということで、いかにそれを綺麗事じゃなく、信じられるリアルさで伝えられるかを模索しました。企画段階で書いていたコピー「負けには価値がある。」だと、まだ嘘があると思いました。適当に取り組んで負けても成長にはつながらないので。最後に書いた「全力の負けには、価値がある。」になってようやく自分でも真実だと思えたので、このコピーにしました。

――ビジュアルも色々と検討されたのでしょうか。

嶋元:「悔し涙で滲む帰り道」や、「深夜のパソコンから反射する光を浴びている人物」など、さまざまなパターンを考えました。ただ、いずれも記号的だったりリアルさじゃなかったりと決定打に欠けていました。その中で僕が出した案の一つが、ずらりと壁に貼り出されたポスターの前で、後ろ姿の人物が拳を握りしめている絵でした。表情は見えないけれど、拳で悔しさを表現し、そこにコピーがあれば伝わるのではないかと。それを島田さんに見せたところ、「いいですね。でもこれ、拳だけの方がいいかもしれません」って言うんです。僕としては、(え、拳だけじゃ伝わらないのでは……?)と思ったのですが、とりあえず島田さんを待ってみると、こちらビジュアルが出てきて「すごくいい!」と。

島田:ビジュアルの情報が多すぎると伝達速度が落ちるので、思い切って引き算してもいいと思ったんですよね。ただ、拳は拳でも、どんな拳がいいかはかなりの数を描きながら検証しました。たとえば力強く握った拳だと、悔しさは伝わりますが、暴力的にも見えかねない。逆に緩く握るだけだと、「あ、自分はダメだったんだ」と分かった時の虚脱感は表せても、手に力が入っていないので特に何も感情の宿らない「単なる手」にも見えてしまう。その他、陰影をつけたり血管を浮かせたり、小指の方に黒く鉛筆の汚れをつけたりと色々と試行錯誤をしたのですが、結果的に傷のないシンプルな拳が下を向いている今の絵に落ち着きました。これが一番リアルで伝わるなと。

――押さえのコピーとして「ここで、終われるか。」という一行が入っています。こちらはどのようにして生まれたのでしょうか?

嶋元:「全力の負けには、価値がある。」というメインのキャッチコピーと、これが講座の広告であるという事実との間にもう少しブリッジが欲しいなと思ったとき、押さえのコピーでそのブリッジをつけるのが良いんじゃないかなと思ったんです。そこで言葉を探していたところ、島田さんが「ここで、終われるか。」というコピーを出してくれました。

――ここのコピーはアート生の島田さんが書いたんですね!

嶋元:そうなんですよ!「悔しいけど成長させてくれる講座だよ」ということを、参加者の感情のこもったセリフで表現しているのが没入感があっていいなと思い、「それで行きましょう!」と。そして迎えた最終審査会。全作品が並んだ時、自分たちと方向性が被るものが一枚もなかったので、まずは達成感がありました。

島田:本物の広告賞の審査会さながらで、当たり前ですが「選ばれる過程」を体験するのは初めてでした。僕たちの作品、最初はそんなに評価が高くなかったんですよ。でも推してくれる方たちのコメントもあって、どんどん評価を集めていったんです。選ばれるとこんなに嬉しいだとか、この人こんなふうに思ってくれているんだというのをリアルタイムで経験できて、とても貴重な体験でした。

7回もコンビを組むから体で理解することができる

――講座を受けて、ご自身の何が成長したと思いますか?

島田:講座を通じて、僕は誰かの力を借りる大切さをすごく実感できました。それまでは自分一人でできて一人前、自分一人で何事も達成するべきだと考えていたんです。でも卒業後はわからないことがあるとすぐに人に聞きに行き、協力を仰ぐようになりましたし、以前よりスムーズに案件も普段の業務も進められています。広告自体、周りを巻き込んで意見やアイデアを引き出しながらみんなで作る方がいいものができるし、仕事をしていて楽しいなと感じられます。それが一番の成長です。

嶋元:講座の名前でもある「アートとコピー」を、体で理解できたのが僕の成長だと思っています。「絵と言葉の距離感が大事」「デザイナーとコピーライターが互いの領域を超えて掛け合わさっていいものができる」、こういう話は聞いたことはありますし、大切なのは分かっていましたが、やるのは決して簡単じゃありません。やはり実際に課題を与えられて、誰かと組んで失敗や成功をしてみないと本当は理解できないものだと思います。講座では毎月新しいコンビを組み、1ヶ月以内に課題を出すというハードなことに挑戦しましたが、それをくぐり抜けたからこそ本当に理解することができた気がします。

島田:自分たちのつくったポスターの通りのメッセージにはなりますが、現状に満足していない、悔しい思いをしている方にこの講座は本当におすすめです。そういう人ほど、新しい出会いや発見の中で、今までの自分ができなかったことがちょっとずつできるようになっていく過程をまざまざと味わえるんじゃないかなと思います。

嶋元:沸々とした感情って、一人で維持するのも難しかったりします。でも自分と似た境遇の人や同じ野望を持っているような仲間ができると、「この人たちに置いていかれたら悔しいなぁ」という気持ちがまたモチベーションになりました。僕は「結果を出したい。今すぐに。」が受講動機でしたが、講座を終えてグランプリも獲って、その気持ちが解消されたかというと逆なんです。もっともっと結果を出したくなりました。それも自分の成長だと思っています。

阿部 広太郎
電通/コピーライター

電通入社後、人事局に配属されるも、クリエーティブ試験を突破し、入社2年目からコピーライターとして活動を開始。自らの仕事を「言葉の企画」と定義し、広告クリエーティブの力を拡張しながら社会と向き合う「クリエーティブディレクター」を目指す。2015年より、連続講座「企画でメシを食っていく」を主宰。「企画する人を世の中に増やしたい」という思いのもと、学びの場づくりに情熱を注ぐ。著書に『待っていても、はじまらない。ー潔く前に進め』(弘文堂)、『コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術』(ダイヤモンド社)、『それ、勝手な決めつけかもよ? だれかの正解にしばられない「解釈」の練習』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『あの日、選ばれなかった君へ 新しい自分に生まれ変わるための7枚のメモ』(ダイヤモンド社)。

 

(質疑応答)

Q. 参加できる人のレベルの目安を教えてください。

A. 何より大事なのはやる気です。というのも、どれだけできるかというより、それよりは人それぞれに積み重ねてきたものに注目したいと考えるからです。この講座では、自分の力と相手の力を組み合わせて最大限にしていきます。過去には学生で参加されて伸び伸びと取り組み結果を出された方もいますし、デジタルに知見のある方が参加して朝日新聞広告賞のデジタル連携の部で結果を出された方もいます。レベルやジャンルより、やる気。そう思っていただければと思います。

Q. 参加にはポートフォリオの提出が必須ですが、どのような内容だと良いですか?

A. 必ず「こういう内容がないといけない」というものはありません。これまでに書いたものやつくったもの、してきた活動を「伝わる」ようにまとめてください。選考の際に見ているのは、どんな人なのか、出会う準備ができているかという点です。あとはご自身の解釈で構いませんので、気持ちのこもったものをお待ちしています。

※受講決定後、講座同期生にそのままポートフォリオを共有しますので、共有が難しい件は記載しないでください。

Q. 講座当日にどうしても都合がつかない場合のアーカイブ受講は可能ですか?

A. 残念ながらアーカイブ受講は実施しておりません。ただ8ヶ月の中で不測の事態も起きうるかと思います。その際には別途ご相談ください。

Q. コンビを組んだ受講生同士はどのように連絡を取り合っているのでしょうか?

A. zoom、Miro、LINE通話、Google Meetなど、それぞれがやりやすい手段で連絡をとりながら制作を進めています。遠方からの参加者の場合、講座の期間を通して一度も直接会っての打ち合わせをしたことがないという方もいますが、問題なく受講いただいています。

Q.忙しくて課題への時間が割けない時などはどんな工夫をしていましたか?

A. 課題とコンビの発表は、毎回の講義の最後に行われます。そこから課題の提出まではおよそ3週間あります。この3週間を毎回フルで全力疾走する必要はなく、事前に忙しくなる時期がわかっている場合はそこを避けたり、各々がアイデアを考えてくる時間と詰めて作業する時間を分けて緩急をつけたりと工夫されています。アート生は締め切り直前にどうしても作業が増えるので、職場や家族に理解してもらってサポートを受けるという方もいらっしゃいました。

Q.講座の中での、講義と課題へのフィードバックの時間配分を教えてください。

A. 二時間の講義の中で、前半一時間が講師による講義、後半一時間が課題へのフィードバックというのが基本的な設計です。

Q. コピーライターとしての実績はなくても参加する場合、どのように努力すれば良いでしょうか。

A. 肩書きに囚われる必要はありません。過去の受講者でも実務でコピーを書いている人は決して多くありませんでした。言葉で何かを表現したい、課題を解決したい、言い当てたい、宣伝会議症に応募したことがある、コピーが好き、という気持ちがあれば乗り越えていけると思います。

 

広告業界を超えて活躍する、最強のコンビを、ここから。

コピーライター養成講座×アートディレクター養成講座
「アートとコピー」コース 阿部広太郎クラス

第4期、アート生追加募集、エントリー締切(2月25日)迫る!
コピーライターとデザイナー・アートディレクターが共に学び、切磋琢磨し合う特別な講座です。
現在、デザイナー・アートディレクター枠を追加募集中です。

◯2024年3月9日(土)開講
◯コピーライターとデザイナー・アートディレクターをそれぞれ25名ずつ募集します。
◯2024年2月25日(日)エントリー締め切りです。
◯エントリーのためにはポートフォリオ提出が必要です。

詳細・お申し込みはこちら

 

advertimes_endmark