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デジタルで何ができる? 企業発コミュニティの「ファン度」を高める、コメダの取り組み

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宣伝会議は2024年3月11日(月)~15日(金)の期間、「AdverTimes.Days(アドタイ・デイズ)2024(春)」を開催した。「アドタイ・デイズ」は、広告・マーケティングの実務者、多様な視点、構想、実績を持った講演者と共に、業界がその時々に直面する課題を提示し、解決の方向性を導き出していくことを目的とする、「講演者と参加者の共創を目指すハイブリッド型のイベント」。
 
「アドタイ・デイズ2024(春)」では、テーマを「Humanity 「人」と「思考」と「感性」-AI浸透時代のマーケティングとクリエイティブを考える-」と設定。テクノロジーの力でマーケティングが進化した時代、マーケター、プランナー、クリエイターに求められるクリエイティブとは?実務の世界のトップランナーとの議論を通じて、コミュニケーションビジネスにおけるクリエイティビティを再定義した。本記事では、「アドタイ・デイズ2024(春)」の中でも、注目のセッションをレポートする
 
本稿では、2023年にはグループ合計で全国1000店舗開店を達成したコメダのカスタマーリレーション本部の松岡達矢氏が、ファンコミュニティの熱量を高める取り組みについて解説する講演をレポートする。
グラフィック バナー アドタイ・デイズ

居心地の良い空間でくつろぎの時間を提供するコメダ珈琲店

コメダは「コメダ珈琲店」を全国に展開しています。代表的なメニューは自社抽出のコーヒー「コメダブレンド」や1977年に販売を開始した看板デザート「シロノワール」です。1993年からはフランチャイズ展開を本格化し、2019年には全都道府県への出店、2023年にはグループ合計1000店舗を達成しました。

スライド 品質へのこだわり
スライド 接客へのこだわり
スライド 居心地へのこだわり

コメダ珈琲店は3つのこだわりを持って、お客さまにくつろぐ一番いいところを提供しています。まずひとつ目は品質へのこだわりです。二つ目は接客へのこだわりです。フルサービス型の喫茶店であるコメダ珈琲店は、いつ来てもお客さまが居心地の良さを感じていただける、そんな接客を目指しています。過去にお客さま満足度を測った調査では「カフェ部門」で第1位を獲得できました。最後は居心地のいい空間へのこだわりです。座り心地の良いソファー、高さや幅にこだわったテーブルなど、ご家庭のリビングにいるようにくつろいでいただける設計にこだわっています。

これらの品質や接客、空間の居心地の良さを追求して、お客さまにくつろぎの時間をお届けすることを提供価値として運営しています。

時間や場所に関わらず交流を生み出すファンコミュニティ「さんかく屋根の下」

スライド コメダのオンラインコミュニティ「さんかく屋根の下」とは?

今回のテーマはコミュニティについてです。コメダ珈琲店では2020年から「さんかく屋根の下」というファンコミュニティを運営しています。設立の背景としては、各店舗の常連同士がつながることができれば面白いのではないか、また、お客さまのさまざまな声に耳を傾けられる場所が欲しいという思いから、リアルイベントを企画したことがきっかけです。

スライド 設立の背景

2017年に開始したイベントでは、SNSで参加者を募り、東京や名古屋、大阪で試作品の試食会や理想の商品について話し合う座談会を実施しました。イベントの様子は当時発行していた「くつろぎの時間」という雑誌で紹介していました。しかし、雑誌ではこちらの伝えたい思いが一方通行になってしまいますし、交流していただける方も限られてしまうので、時間や開催場所に関わらず交流できる場所としてオンラインコミュニティの運営が始まりました。

スライド オンラインコミュニティ化

オンラインコミュニティ「さんかく屋根の下」は2022年のリニューアルを経て、現在は約44000人の「コメ友」に登録いただいています。私を含めて二人の担当者がコンテンツの企画や運営、簡単なものであればグラフィックの作成まで内製しています。イベントなどの人員が必要な場合は同じ部署や関連部署に協力を仰ぎながら運営しています。目的は、ファンの声を集めることはもちろんですが、ブランドとお客さま、お客さま同士の交流の場としての要素を持たせることが他のSNSとの違いだと考えています。

スライド 会員構成のグラフ

会員の年齢構成は10代が3%と少し少ない以外は他の年代に偏りはなく全年代で大体10%台の構成になっています。男女比は女性が6割以上を占めています。私の実感としては「さんかく屋根の下」でアクションしていただいているコアなユーザーは30代後半から60代の方が多い印象です。地域としては愛知県や東京都など首都圏の会員さまに比較的位多く参加いただいています。

ファンコミュニティとリアルイベントの組み合わせはブランド強化を加速させる

オンラインコミュニティを運営して感じるのは、オンラインの活動に加えて、リアルのイベントで実際に会ってコミュニケーション体験をしていただいたお客さまは一段と熱量が上がっていることです。会員同士や運営担当と顔を合わせることで、親近感やブランドへの理解が醸成され、後日、コミュニティの中での活動が活性化する様子がたくさんありました。

ブランドへのファン度が高まるとコミュニティの中でも変化がありました。お客さま同士が利用店舗の垣根を越えたお客さま同士の交流も生まれています。本店リニューアルの際に実施したツアーでも、参加者同士が後日コメダ珈琲店でオフ会を開き、その様子をコミュニティに投稿するということもありました。

ファンコミュニティをきっかけに、ファン同士の自発的な交流が生まれるようになりました。ファン度が高くなると生まれる効果としては、コミュニティの温かい雰囲気を会員が作りだす効果も生まれました。

コミュニティ活性化のために、会員数増加目的のキャンペーンや、閲覧を主としたユーザーに対してアクション体験を促すものなどを行っています。

スライド キャンペーン試作事例①

直近で大きな効果を感じた施策を2つ紹介します。ひとつがグループ1000店出店をしたときに企画した「おうちコメダセット」のプレゼントキャンペーンです。普段はお客さまが入手できないグッズ、机やソファーなどの景品がSNSでも話題になり、若年層にコミュニティを知ってもらうきっかけになり、多くの方に新規会員登録をしてもらうことができました。

スライド キャンペーン試作事例②

2つ目はログインや投稿のアクションでコミュニティ独自のポイントが貯まり、溜まったポイントに応じて応募抽選に参加できるポイントキャペーンです。コミュニティを運営されている企業には、日々の活動に応じてポイントが貯まるプログラムを実施している企業もあると思います。当社では公式アプリで同じようなプログラムを実施しているため、コミュニティでは1カ月の期間限定キャンペーンとして実施し、閲覧やコメントが新規会員獲得キャンペーンよりも増える結果となりました。

このように、活性化したファンコミュニティは、来店動機の醸成、ブランド強化につながっていると感じています。

顧客のファン度を可視化するコミュニティは社内のモチベーションにも効果がある

スライド 社内認知度調査

社内から見たファンコミュニティについて。昨年、全社向けに認知度調査を実施した結果、約8割の社員が知っていましたが、具体的な内容まで知っている社員は約3割ほどでした。一方で知っている従業員からは「さんかく屋根の下」を見て愛されているブランドであることを知り、普段の業務のモチベーションになったという評価が得られました。こういった効果をもっと広げるために、活動を社内の広報や他部署を絡めてコミュニケーションをしていくことが今後の課題だと感じました。

当社ではファンコミュニティを、ブランドを強化するものと位置付けて運営しています。ファンコミュニティはLTVの上昇、UGCの獲得など、様々な側面があります。LTVは来店頻度の指標になるため、今後注視したい分野ですが現時点ではブランドのためにコミュニティを活用しているので、UGC獲得を重視しています。日々の運用では会員数やアクション率を計測しており、定期的な発信によってその率を高めることを意識しています。

今後の展望としては、独立したコミュニティサイトであるために、どうしても取り組みが広まりにくく、知ってもらえていない現状があります。そのため、自社SNSでコミュニティ活動の発信強化やファンイベントによって他部署を巻き込んだ全社的な取り組みを増やすなど、ブランド強化の効果を社内外に広めていきたいと考えています。

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【登壇者】

コメダ
カスタマーリレーション本部
松岡達矢氏

広告代理店・HP制作会社を経験後、2021年株式会社コメダへ入社。デジタルコミュニケーション部にてファンコミュニティ運営、HP・アプリ運営を担当する。ファンコミュニティ運営では、2022年にサイトのリニューアルを行い、会員数増加施策のキャンペーンやイベントなどの活性化施策を推進。