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エリア×リレーションシップで新たな提案 50年超の折込広告の知見をデジタルに生かす――オリコミサービス

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全国にスーパーマーケットチェーンが拡大し始めた1970年代に創業し、拡大していく折込広告市場を牽引してきたオリコミサービス。企業と生活者の接点がデジタルシフトしていくなかで、同社が提供するソリューションも折込広告だけでなく、折込で培った生活者理解をベースに、デジタル広告までソリューションの幅が広がっている。創業から50年の月日を経た今、オリコミサービスはどのような進化を遂げようとしているのか。同社、代表取締役社長の櫻井浩一氏に展望を聞いた。

オリコミサービス 代表取締役社長 櫻井浩一氏

購買時点の消費者理解は緻密な消費動向把握につながる

2023年3月1日で50周年を迎えたオリコミサービス。同社は業界に先駆けて新聞の折込広告や車両広告を事業化したオリコミ(現・オリコム)の事業部門を分離する形で設立され、祖業である折込広告を基盤としながらも、エリアマーケティングの知見を活かし、現在はデータや各種デジタル広告も駆使したマーケティング支援事業を展開している。

「メディアが細分化されていくなかで、折込広告が生活者にとってどのような役割を果たし、クライアントにとっての価値をもたらすべきなのか。私たちは変わりゆく時代の中で都度、その役割を見直してきました」と櫻井氏は話す。

単にエリア全体にチラシを配布するのではなく、生活者の特性や思考に特徴はあるのか。どのようなアプローチが有効なのか。1990年代よりGIS(地理情報システム)を導入し、GPSによる人流分析や国勢調査のデータを基に、独自のロジックを確立してきた。今、新たな事業として取り組むのが、多様な生活者に着目した「リレーションシップマーケティング」の支援だ。

「私たちがサポートしたいのは、人々が店舗に訪れて購買に至る、タッチポイントの最後の部分。クライアントの皆さんのデータも共有いただきながら、より緻密な消費動向や思考を捉えられるのではないかと考えています。店舗に足を運ぶ方、あるいは通販で購入する方、一人ひとり個性が違います。それらを分析しながら、クライアントの価値向上につなげることが、私たちの一番のミッションだと考えています」。

エリアデータを基盤とした独自の分析システムを開発

こうした折込広告事業を通じて培った生活者に関するデータやその解釈は、オフラインだけでなくオンラインチャネルでも活用できる【図1】。

【図1】

エリア理解・店舗理解をしたうえでの戦略設計の方法

新聞自体の購読者の減少で折込広告の到達率も減少しつつある中で、同社はエリアターゲティングが可能なデジタルソリューションも提供してきた。ディスプレイ広告やSNS広告といったWeb広告の出稿・運用を支援。この他にも、長年蓄積してきたデータを基にした分析ソリューションも提供する。

例えば、国勢調査によるジオデモグラフィックデータ(地理的人口データ)を基に、居住者のライフステージやライフスタイルを分類した「AREA CLUSTER(エリアクラスター)」。商圏の分析やプロモーション、店舗計画の立案に役立つデータを基に、企業のエリアマーケティングを支援する。また2021年には、販促投資に基づき来店客を予測する「Print to Digital Navigator」を提供開始。店舗の周辺環境が、新聞折込広告やWeb広告の効果に影響を与えているという分析結果を手掛かりに、来店客数最大化のための投資プランを導き出すシステムだ。

事業の拡大に伴い、同社の取引部門は従来の小売店の販促部門から、出店計画を行う開発部門へ広がった。またコロナ禍以降、自宅でゆっくりと目を通すことのできるメディアとして、通販事業を行うメーカーとの取り組みも増えているという。

「いま危惧しているのは、折込広告が大手総合広告会社や企業マーケターの方々のメディアプランの中に入らなくなってくること。選ばれ続ける媒体であるように、今後改めて価値を高めていきたい」と話す。

企画から出稿、入稿までを効率化改善したプロセスの外販も視野に

同社では2023年度、新たに「人材創造部」を設立した。いわゆる人事部の役割を持つ部門で、人事制度や研修制度も体系化していく方針だという。その背景にあるのは、営業が担うオペレーションの煩雑さだ。

「お客さまからのオファーを受け、エリアや価格を提示するフローは正直なところ、旧来の手法から変わっていない点も多い。こうしたプロセスにこそ、AIなどを導入し、効率を改善。競合他社でも使ってもらえるようなシステムを開発していきたいと考えています」と展望を語る。

日本新聞折込広告業協会の副理事長で、メディア活性化委員会としても活動する櫻井氏。同協会は2023年の11月に大阪で開催された折込広告全国大会で「折込広告の未来を本気で考える!」をテーマに、会員企業の若手社員が登壇するディスカッションを実施。今年は第2回新聞折込広告大賞の作品募集も開始した。「旧来の仕事のやり方を変えていきながら、業界としての魅力を発信していきたい」と櫻井氏。「実は最近減ってきているのですが、“広告が好きな人”に入ってきてほしいと思っています」と続ける。

オリコミサービスには、創業当時の50年前から取引がある小売り企業もあるという。オンラインメディアへ事業を拡大しながらも、その基盤となるのはエリアに根差したオフラインメディアであることは変わらない。櫻井氏は改めて、紙媒体であることの強みを提示する。

「ひとつのスペースの中に自分の興味のある情報、興味のない情報も様々という状況で、そこに何か気付きがあればと思っています。例えばスーパーのチラシでは、商品によって季節を感じられるものです。パーソナライズされていない“要らない情報”を、どう“気付き”として受け止めてもらえるか。今後様々なメディアが出てくるかと思いますが、紙媒体はそうした位置づけで残っていくのではないかと考えています」。

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お問い合わせ
株式会社オリコミサービス
住所:〒104-8139 東京都中央区銀座3-9-11紙パルプ会館7階
TEL:03-6734-7150
MAIL:khamada@orikomi.co.jp
URL:https://www.orikomi.co.jp/